を読んで気になったものの、よくわからないので、
ワタミは十分に体力がない企業なので最低賃金での雇用を継続するべき - 斗比主閲子の姑日記
と似たような事情があるんじゃないか?
つまりもともとそんなに利益が出せない構造だから給与も出せないのでは?と考えて簡単に調べてみた。
…けどよくわからなかったので、おすすめの文献など教えていただきたいです。
一般的には結構こういう感じで、
http://zinger-hole.net/entry/458/
「経営者がピンハネをしたり、不当に労働者を搾取して儲けているのでそこをしばいて金出させれば解決する」というようなストーリーがまことしやかにささやかれているわけですが、当然ながらそこまで単純な問題ではなさそうです。
まず前提として、介護の「発想」にもいろいろあるみたい
asuka_miのtumblr (日本の介護職はなぜ低賃金、重労働なのか?)
『毎月の保険料さえ払っていれば、介護が必要になった時に国が9割方の面倒を看ますよ』という日本の介護制度は、一見すると理想的なものにみえるが、実際には高齢者の数が増えるほど、現場には介護依頼が殺到して、制度自体が成り立たなくなってしまう。ある意味、老親の介護は“家事や育児と同じ”といえるわけで、その労力をすべて外部の業者に任せた場合のコスト(人件費)は莫大になってしまう。
その上で「介護保険制度」における「介護報酬」規定と、事業運営のための「固定費負担」が低賃金の原因なのかな?
介護保険制度により、必要な人員とサービス形式が決められてるから。
月額利用料(個人負担)のほとんどが「ホテルコスト」であり、建物や設備の償却にまわされます。また、特養の場合は介護保険法とは別に、「老人福祉法」に設置基準があるため、建設時に公的な補助金が出る事が多いですが、有料老人ホームの場合、ほとんどが自己資金となります。ゆえに「1床1千万以上」が相場といわれる、老人ホーム建設にあたっては、その巨額な返済が大きな問題ともなっています
つまり、2つ原因がある、と。
1つは、法の縛りにより、サービスによる介護報酬の差別化ができない、のかな?今ひとつよくわからないので、もうちょっと知りたい。
もう一つは、運営コストが高く、かつ急成長中の産業であるために、固定資産の減価償却等が終わる前にどんどん進出していかなければいかず、常に経営側としては資金カツカツになるわけですね。これはすき家などの「急成長中の」外食産業・教育産業など全てにいえることかと思います。 土地代や建物代の返済や減価償却が終わった後であれば、固定費負担がそれほど多くないので、成長力や知名度がそれほど高いわけでもない古い中小企業が意外に高賃金な場合がある、ということは有名な話ですね。
ただ、これについてはあとで検証したい。
じゃあその「介護報酬」規定ってどんなん? =一定以上の利益を出そうにも出せない構造?
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/dl/hoken.pdf
の8P目の図がわかりやすい。認定者について費用の9割を保険が負担する仕組みになってますね。
http://www.isfj.net/ronbun_backup/2013/aa2.pdf
介護報酬とは、介護保険適用内の介護サービスにおいて、事業者が要介護または要支援と認定された利用者に提供した介護サービスに対して支払われる報酬である。その介護報酬はサービスの種類ごとに決められており、要介護度や施設の所在地などから平均的な費用を考慮して決定すること
どうも、これが一律で、しかもあまり高いとは言えないようですね。まあ、一旦介護保険料を国が徴収して、それをサービス業者に支払うという形になっているので、不当に高い金額を払えないのはそりゃそうかな、と。 医者の集まり(全医協連など)と違って、圧力団体のロビー活動が弱いとかもありそうだし、規模がでかすぎる上、旧拡大中というのもあって、あまり高値を標準にできない、と。
もちろん、国も問題視はしていて、随時報酬の改定を行ったり、補助金の増額などはしている様子。
平成 24 年度の介護報酬の改定に伴って、「介護職員処遇改善交付金」は「介護職員処遇改善加算」となった。これは今まで交付金によって得られていた処遇改善効果を継続するために、交付金を介護報酬に移行することを目的としたものである。
ただ、いずれにせよ、医者ほど報酬は高くないし、サービスによる差別化はできない状況にある、と。
利益を産み出すには、コストを一生懸命削減するしか無いという構造なのかな。
かといって、削減し過ぎたら、国が報酬を削るだろう。
つまり、一定以上の利益を出そうにも出せない構造になってるのかもしれない。
医師と違って、介護関係は、就職のハードルは低く、人材確保が「今のところは」まだだいぶやりやすいこともあって
重労働である部分はともかく、低賃金でも人材確保ができてしまうのだろうな。実際、離職理由のトップは低賃金、ではない。
このあたりは、退職率御三家(退職率で小売業を上回る3業種)である
「教育・学習支援業」「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」は
すべて共通してるな―と思う。
※追記 : topisyuさんから教えていただいた記事によると、
発言
介護報酬の低さが事業主を中心に多くの人々によって強調される。しかし、筆者はこれには大きな疑問をもつ。というのは、介護保険制度が2000年にスタートして介護報酬が切り下げられるまでの間、多くの事業所が潤沢に利益をえていたにもかかわらず、介護の賃金はほとんど上がっていないからである。つまり、介護報酬は賃金上昇のための必要条件かもしれないが、十分条件ではない。
最大の原因は「介護労働の賃金が低い最大の理由は、この職種への参入がこれまで容易であったことに求められよう。」ということであり、やはり「だれでも出来る(熟練を要しない)が、きつい仕事」とされる業種全般の特徴に当てはまるようです。つまり、現状としては
①「そこまで給料あげなくても、今の条件で人が集められる、辞める人も多いがそれ以上に確保できているから問題ない」
②従業員を大事にし、サービスを向上させるよりも、安く使い倒したほうが経営者にとって現在の条件では合理的
構造になっている、ということでしょうか。
ちなみに上のは「介護ホーム」事業だけの話で、それ以外の分野に活路があるみたい=多角経営ができる体力のある企業が今後生き残る?
つまり、介護ホーム事業単体だと
「スケールメリットの追求」とか「効率化に寄るコスト削減」くらいしか差がつけられない。
もちろん、サービス向上による「空き室を減らす」というのが重要だろうが、天井が見えている。
本当にこれだけだと、おそらく不動産業より効率が悪い気がする。
ただ、実際は、急成長産業であるし、かなり多くの企業が参入し、多種多様なサービスを展開している。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material&sid=27387&code=6062
この資料の17Pや28Pを参照。ここだけでも20以上のサービスがある。
上場企業も多い。ワタミも進出しているのはとても有名ですよね。
介護サービス業界の上場企業一覧-業界地図 2010 | 上場企業情報サイトKmonos(クモノス)
こういう企業であれば、急成長中で固定資産の負担が大きくてもちゃんと利益を出して、従業員に還元出来るのかもしれない。
…と思うんだけれどどうなんだろ。
グループホームの割合が高い上場企業の財務諸表が見てみたけど、これだけじゃよくわからんかった
介護事業で上場している企業のうち、グループホーム事業の割合が高い
「チャーム・ケア・コーポレーション」のIR情報など確認してみました。
https://kmonos.jp/ufo/data/E26444/S000DD0J/
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material&sid=27387&code=6062
確かに長期借入金多いけれど、上場企業だとそれほど大きくはないと思う。
そもそも粗利が15%くらいあって、営業利益率も5%越えてる。
人件費を従業員数で単純に割ってみたら、年収は大体380万。
月給20万ということはない様子。決して高くはないけどね…。
ちなみに上場企業ですら、運営している施設が20程度、顧客は1万人にも満たない。
しかし、要介護認定者は2015年で570万人。
つまり、今のところ、中小企業による運営が圧倒的に多いと思われる。
問題なのは、やはりこの中小企業が運営している側なのかなと思う。
上で「多角経営によって利益を上げるのが活路かな?」と書いたけれど、
そういうことができない中小企業メインなのが現状…うーん、今後どうなるんだろう。
「ステーキけん」で有名なエムグラントフードサービスのように、
倒産した中小企業から土地や建物を安く手に入れ、急成長していく会社が出てきたり、
だんだんと大企業に集約されていく形になったりとかするのかなー。
ちなみに、多少賃金をあげた程度では、離職を食い止められないっぽい =問題は賃金以外にもいっぱいある
http://www.isfj.net/ronbun_backup/2013/aa2.pdf
・労働環境(重労働)
・人間関係
・社会的な地位(職業威信)の低さ
などが主な退職要因であり、これらは賃金を上げるだけでは解決しないため、まだまだ課題は多そうだな、と思いました(小並感)
ここから先は、googleさんに聞いただけではわからないので、
「こういう本読めや」「お前のような初心者はこれでも読んどけ」というものがあれば押してください。