頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「ロバ売りの親子」

なんとなく思い出したので。

粉屋とかれの息子が、となりまちのいちで、ロバを売るためにロバを曳いていった。


①歩き出してからすぐ、彼らは、井戸端会議をしている女将さんたちに出合った。「ほらみてごらん。」一人が叫んだ。「あの人たちときたら、ロバに乗らずに、とぼとぼ歩いているよ。みんなはあんなのを見たことがあるかい?」粉屋はこれを聞くと、すぐさま息子をロバに乗せた。そうして、自分はその脇をさも楽し気に歩き続けた。



②それからまたしばらく行くと、老人たちが熱心に議論しているところへやってきた。「あれを見なさい。」その中の一人が言った。「ほら、わしの言うとおりじゃろう。近頃では、年寄りにどんな敬意が払われているのだ? 年老いた父親が歩いていると言うのに、怠け者の息子はロバに乗っておる。やくざな若者よ、下りるのだ! そして、年老いた父親を休ませてやりなさい。」こうして、父親は息子をロバから下ろすと、自分がロバにまたがった。



③こうして歩いていると、またすぐに、彼らは母親と子供たちの一団に出くわした。「あんたときたら、なんて、いけずな年寄りなんだい。」数人が粉屋を非難した。「可哀想に小さな息子は、あんたの脇を、やっとの思いでついて行っているというのに、よく自分はロバに乗って、平気でいられるね。」気のよい粉屋は、すぐさま息子を自分の後ろに乗せた。




④こうして、彼らは町の入口にさしかかった。「おお、正直な我が友よ!」ある市民が言った。「これはあなたがたのロバですか?」「その通りですよ。」年老いた父親がこう答えた。「本当ですか? あんたがた二人がロバに乗っているのでは、誰もそうとは思わないですよ。」男はそう言うと更に続けた。「ロバに乗るよりも、自分たちでロバを運んだ方がよいのに、なぜそうしないんですか?」「あなたの言うとおりですね、とにかくそうしてみます。」こうして、粉屋は息子と共にロバから下りると、ロバの脚を束ねた。そして棒を使って肩に担ぐと、町の入口の橋までロバを運んでいった。この様子を見ようと人だかりができ、人々は笑い転げた。ロバはうるさいのが嫌いなのに、その上、へんてこりんな扱いを受けたので、縛っている縄を破ろうと、棒を揺さぶった。そして川に落ちてしまった。
 


⑤苦い思いをして、恥ずかしくなった粉屋は、家に引き返すしかなかった。こうして粉屋が得たものは、全てを喜ばせようとすることは、結局誰も喜ばせないことであり、そのうえロバまで失うということであった。

童話だからしょうがないけど、この作品の息子の気持が全く想像できなくて恐ろしい。