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おせっかいBBAというジャンルの楽しみ方が問われる「ヒモザイル」

ヒモザイルの話をしようと思ったら洲崎西の話になってしまった……。なぜなのか。

ヒモザイル / 東村アキコ - モーニング公式サイト - モアイ

1話の導入でいきなりシリアス臭を出したがゆえに「そんなん真顔で言われても……」と思ったけど2話からはバッチリ東村アキコ!で面白かったです。


東村アキコさん作品

この人の作品は「ママはテンパリスト」「かくかくしかじか」「東京タラレバ娘」「海月姫(途中で挫折)」を読んでるけど、毎度毎度悲哀に満ちたシリアス調の語り部分(言葉のセンスがめちゃくちゃいいと思う)と、やたらハイテンションなギャグ調部分の往復の生み出す振れ幅が大変おもしろいです。さじ加減を一歩間違ったらアウトやろ、と思わせるところに上手に踏みとどまって、力技で笑いに変えてくるところはほんとにすごいと思う。「主に泣いてます」は正直良くわかりませんでした。「OLたちのすべて」と比較すると、面白さや笑いのパワーでは「OL」のほうが上だと思ってます。本当この作品は電車の中で読んでると笑いこらえるの辛い。ただ「OL」についてはひとしきり笑った後、えっと今回何の話してたっけ?ってのをすぐ忘れてしまうことが多い(これってほんとにすごいことだと思う)。東村アキコさんの作品は、笑った上で、なにか心にちょっと刺さって残るものがある感じ。東村さんの作品は読んだ後でなんかちょっと考えされられちゃったりします。 どっちがいいとか悪いとかじゃなくタイプの違いの話です。




それはともかくとして「ヒモザイル」です。

東村さん、自分がやってることがおせっかいだなんて百も承知だし、それをマンガのネタにするなんてありかよってツッコミも承知の上でやってるはずです。問題はそれが面白いかどうかです。で、個人的には清々しいまでの東村さんの「おせっかいBBA」ぶりが楽しいと感じます。



洲崎西に学ぶ「おせっかいBBA」を楽しむための2つの要素

「ヒモザイル」2話を見ていて、こういうノリの楽しさはなんか「洲崎西」の洲崎綾さんっぽいかも、と思いました。

洲崎さんはラジオ「洲崎西」ではリスナーや投稿などあらゆるものを軽快にdisりながら、一方で親しみを感じさせる接し方をします。だから嫌な感じが全然しないというか、もうみんな彼女のDISを親愛表現の一種と思って喜んで受け入れてるわけです。この「DISりながらも相手を気遣ってなにかできることをしようとする」という様子を指して「おせっかいBBA」という渾名がつきました。



①というわけで、まず一つ目のキモは「DISりの中に親愛や気遣いを感じられるか」です。
具体的に言うと、相手から距離をとった、引いた位置からのDISりというのは全く親愛が感じられません。そういう安全圏から発せられるDISは鬱陶しいだけです。そうではなく、あくまでお互いの距離が近い状態で、一歩踏み込んだところから発せられるDISが心地よいです。そういう距離で発せられるDISって、それによって相手が傷ついたら不快に思えば自分にもダメージ跳ね返ってきます。だからなかなか言いにくいものだと思うのですが、あえてそのリスクのある距離で言う。これって単に気遣って物を言わないだけでなく、相手への深い理解と、それを元に相手なら受け止めてくれる、笑ってくれる、という信頼も必要ですよね。

そういう近い距離感とか、こちらへの信頼に裏打ちされたDISりやおせっかいであればそれは結構楽しいものです。その空気が出ていれば、あんまり不快感って感じないと思います。どうしても最初はそのあたりの空気を伝えるのは難しいですが、これについては、東村先生のアシスタントへの視線が非常に丁寧なもんですから心配してません。そのうち見ているこっちも馴染んでくると思ってます。



②2点めは「双方向感」というか「相方感」です。
どんなに愛があろうが、面白かろうが、「おせっかいBBAが一方的におせっかい焼いてるだけ」の話では、どんどん端っこに追いつめられていく壁ドン的な感じがあってだんだんしんどくなってきますし、何より飽きますよね。しかしここで、おせっかい受ける側もちゃんとやり返して双方向のやり取りになっていると、すごく安心感有るし、飽きないと思うんです。

洲崎西」の場合、まず洲崎さんがリスナーに対して愛をこめてDISったりいらんおせっかい的なコメントを多くしてるわけですが、リスナーも負けじと洲崎さんをネタにしたりおせっかいネタを返していくんですよね。アニメでは可愛い役柄が多いのに中身はおせっかいBBAの洲崎さん。そんな番組を聴いてるリスナーも洲崎さんに対していらんお節介ネタでいじって洲崎さんが「うるせー!」と返す。実際は西明日香さんも混じって三つ巴になってるのでバリエーションは豊富です。


現時点では、東村さんの場合とアラサー女やヒガザイルとの関係において、明らかに東村さんが一人で突っ走っていて、男性陣はまだ乗り切れてない、ポカーンとしている、という関係です。片方の車輪で走っているというか、東村さんが無理やり一人でタイヤ引いてるようなイメージ。まだまだこれからです。

ですが、男性陣もある程度ノリ気になってきて、男性陣からも東村さんにあーだこーだ言い返すようになってくると、すごく面白いと思うんですよね。すでに2話の時点で、東村さんがアシスタントの男性からかなり多くの要素を引き出してますから、あとはこれが能動的に動くかどうか。 さらにここから女性陣も参戦ってなったら、もうそのカオスぶりは想像するだけで楽しそうです。





そんなわけで、長々と書きましたが、言いたいことはまだ連載2話目の段階でほとんど何も決まってない状態だけど「ヒモザイル」すごく面白くなりそうなので期待せざるをえない!というだけです。みなさんもぜひ読みましょ―。



余談。
この記事で書いた話は日常系アニメの序盤は、見ているこちらが緊張して楽しめない問題とも絡む話だと思ってます。「日常系」は序盤より後半、1期より2期の方が絶対に面白いというのが私の持論ですが、このお互いの「おせっかい」や「ツッコミ」「DISり」といったものはどうしても最初はぎこちないのが徐々にしっくり来るようになってきてからが本番だと思うのです。