頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「殺し屋イチ」  妄想の終着点

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この作品、私から見ると(※あくまで私の目からすると、ですので注意)

ドS(♂)とドM(♂)のラブストーリーを通じて「精神は現実を凌駕しうるのか」という思考実験をやってる作品に見えました。

実際ドSもドMもなかなかにぶっ飛んでいて、両者が対峙するまでは現実を凌駕するドMがありうるのではないか、と思わせるような展開でした。 しかし、最後の最後でやはりドSやドMなだけでは「死」という絶対的現実だけは越えられない、という身も蓋もない結果が待ち構えていました。 

愛だけでは死を越えられない。なんて切ないお話なんでしょう。……最後爆笑しながら読んでましたけども。

いいか、痛みを感じるんじゃない。痛みを考えるんだ。痛みを制してんのは皮膚じゃねえ、頭だ。痛みってものは怖がるもんじゃねえ、感じるもんだいわば味わうってことだ。そう、その顔。喜びの裏側にある偽物の苦しみ

お前は痛みを性という価値観に置き換えて楽しんでただけなんだよ。だが、もう無理だな、楽しむのは。お前の脳とは別に、オマエの身体が単純に危険を察知しちまってるんだよ。ついにお前自身も制御出来ない絶望の始まりだ。それこそ本物の必然性!だろ


ドS側の人間は、現実の相手を己の妄想に取り込み、○してしまうことによって己の妄想を強化していくため、「死」はむしろ彼の味方であったのですが、そうやって現実を凌駕していると思われたドSもまた、圧倒的な現実に敗北してしまう。

あいつのすごいところは瞬発的に妄想に浸れる。そこだったんですよ。その妄想を現実に応用して人を○しちまう。まさにバケモンですよ。本当の過去の事実は60%くらいで、あとの40%は、○す相手に見合った妄想を意図的に創りだすんですよ。だから彼の瞬時に出てくる妄想は事実と作り話が混ざってるんだ。そうなんすよ。そのブレンド加減が絶妙なんですよ。へへ・・・・・

それでも一年新宿にいただけでダメに成っちまったんです。妄想ってのは結局満たされない欲望の塊なんですよ。その妄想に一番必要な欲望が、この街にはありすぎたってことですわ。新宿の街には人間が妄想など抱える余地が無いほど欲望が渦巻いている。だから新宿という現実に妄想を飲み込まれてしまったイチは普通の人間になっちまったってことですわ。本当に恐ろしい街ですよ。


そんなわけで、どれほど強固な妄想であっても、それは現実と触れた時に現実サイドに本人の意志でも制御出来ないほどの力で勝手に移行していくと思うので、卒業とかそういうものは必要ないと思いました。まる。