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 抽象的だった「嫌われる勇気」の続編である「幸せになる勇気」は具体的で使える話が多い

アドラー心理学ほど、誤解が容易で、理解がむずかしい思想はない。「自分はアドラーを知っている」と語る人の大半は、その教えを誤解しています。真の理解に近づく勇気を持ち合わせておらず、思想の向こうに広がる景色を直視しようとしないのです。

「幸せになる勇気」は「嫌われる勇気」の続編です。当ブログでは「嫌われる勇気」については数記事費やして言及していますが、とにかくアドラー心理学は「幸せ」と「人付き合い」について考えるのが本分です。


その点において、前作「嫌われる勇気」は土台として必要な知識を語っているとはいえ、読んでてしんどかったと思います。なぜなら前作「嫌われる勇気」だけだと自分の中にある「こうでなくてはならぬ」という考えを解きほぐす部分に終止していて「では具体的にどうすれば自分の人生はもっと良くなるのか」という点について抽象的な話にとどまっていたからです。具体的にどうすればいいかは自分で考えなければならない、という読後感を得た人が多いのではないかと思います。

しかし実は「アドラー心理学」はかなり具体的に、詳細に、何をすべきか示してくれています。私が初めてアドラーの教えに接したのは「子供の教育」に関する本を読んだ時でありそこではステップを踏んで実践出来るように、具体的な指摘がちゃんと書かれていました。




今作ではアドラーの「具体的な教え」部分が結構出てきます。 たとえばこんな感じです。

アドラーは「子育て」と言わずに「子付き合い」という。

アドラーは、子が10歳位過ぎたら親が子供を自分の所有物であったり上位者であるように扱うのをやめるべき、という考え方をします。
上限関係はあるにしても、早い段階から対等な人間として扱うことを推奨する。
親が一方的に育てるのではなく、双方の人間関係で子供が成長するのを手助けする、そういう関係を意識しなさいというわけですね。

普通の子育てだと「親が正しくて、子供はそれに従うべきだ」という前提で行われることが多いです。その結果叱ったりほめたり、という方法がよく取られます。ですが、アドラーはこれを否定する。

「子づきあい」では、子が親の思った通りに行動しない時、そこで叱ったり、保護者として代わりに問題を解決してしまうするのではなく、「家族であっても別個の人格である」子供を理解するチャンスだと捉えます。そして会話を通じて理解していくよう努めよう、と説きます。


たとえばこんな感じ。子供の問題行動は5段階あって、それぞれを理解して接しないとどんどん問題はエスカレートする、と言うわけです。

①問題行動の第1段階「称賛の要求」
親や教師に向けて、またその他の人々に向けて、「いい子」を演じる。組織で働く人間であれば、上司や先輩に向けて、やる気や従順さをアピールする。それによってほめられようとする。入口は、すべてここです。

②問題行動の第2段階「注目喚起」
存在を無視されるくらいなら、叱られるほうがずっといい。たとえ叱られるというかたちであっても、存在を認め、特別な地位に置いてほしい。それが彼らの願いです。

③問題行動の第3段階「権力争い」
誰にも従わず、挑発をくり返し、戦いを挑む。その戦いに勝利することによって、自らの「力」を誇示しようとする。特権的な地位を得ようとする。かなり手強い段階です。

④問題行動の第4段階「復讐」
かけがえのない「わたし」を認めてくれなかった人、愛してくれなかった人に、愛の復讐をするのです。「わたしを愛してくれないことは、もうわかった。だったらいっそ、憎んでくれ。憎悪という感情のなかで、わたしに注目してくれ。」と相手に憎しみを与えることに徹します。

⑤問題行動の第5段階「無能の証明」
自分がいかに無能であるか、ありとあらゆる手を使って「証明」しようとします。あからさまな愚者を演じ、なにごとにも無気力になり、どんな簡単な課題にも取り組もうとしなくなる。やがて自分でも「愚者としてのわたし」を信じ込むようになる。

問題をこうやって理解できていれば、きちんと対処できますよね、と。このあたりを考えずにとにかく叱ったりほめたりしていうことを聞かせようとすると、余計に問題を悪化させるから気をつけようと

具体的にはこういう心構えをもって接しなさい、と言うわけです。

「子供相手だと軽くみるのではなく、相手を尊敬し、相手から常に学ぼうという意識を持て」

・操作しようとしない・・・親子の関係は上下関係ではない。子育てではなく子づきあいと意識しよう。
・会話をしよう   ・・・一方的に言って聞かせるのではない。会話を通じて学ぶようにしよう
・あまやかさない  ・・・子供の課題を親が取り上げない。見守ることを覚えよう
・支援をしよう   ・・・子供の主体性をまかせ、後から手助けをするというイメージで接しよう
・失敗をしよう   ・・・失敗したからといって怒るのではなく、学びのチャンスととらえてむしろ喜ぶ心構えを持とう。

ね、具体的でしょう? 

しかもこれ、相手が子供に限った話じゃない。もっと応用範囲は広い。

例えば上の「子供の問題行動」の行動パターン、ネットではよく見かけますよね。そう、炎上大好きブロガーさんたちです。 炎上を繰り返すブロガーとかはこの問題行動をおとなになっても繰り返している成長しきれなかったガキなわけです。

でも、それがわかってたら対処出来ますよね。第3段階までの状態の人なら「勇気づけ」のような形での会話を試みることもできるし。
第4、第5段階まで言ってると、素人程度では手がつけられない可能性が高い。「はてブ数やPV」を自慢したり「誰かへの恨みの強い記事を多く書いてしまう」ような人の中には、専門家である精神科医のシロクマ先生ですらさじを投げた人もいるらしいから、こういう人を見たら一歩引いたほうが良いかもしれない…(できてない)


といったように大人の対人関係にも活用できます。(作品中には社会人同士の会話の教えも有ります)
こんな感じで進むので、前作と違って「役に立つ」度合いは高いので、ぜひ読んでみるといいと思います。





※注意点
①アドラーの教えはあくまで哲学からくるものであり、科学とは言いがたい。明確なエビデンスがあるわけではないです。
あと、やっぱり「マッチョな話」ではあるので、そこは気をつけたほうが良いです。

また、いきなりこの本から読み始めても効果を発揮するとは思いますが、
なんだかんだいって「嫌われる勇気」で語られている基礎部分「課題の分離」などが飲み込めてないとやりにくいと思います。
まずは具体例がしっかり書かれている「幸せになる」を実践しつつ
効果があるなと思ったらそこから「嫌われる勇気」に戻ってみるのがおすすめです。

まずは軽めにこのあたりを読んでみると良いのではないでしょうか。

アドラー心理学=マンガで分かる心療内科・精神科in池袋 第1回「トラウマなんて存在しない!」 | 【池袋心療内科・精神科】ゆうメンタルクリニック池袋駅0分
嫌われる勇気こそ人に好かれる極意!アドラー心理学の5原則まとめ



②アドラーは最近人気すぎて、アドラーって名前付けてるけど、あんまりアドラー関係ない本がいっぱい出てます。「もしドラ」ですらまともに見えるくらいひどいからね。アドラーはたくさんの著書を出していますがドラッカーのマネジメントほど明確な代表作がないのでいろんな人が自分の売り物に都合の良い部分を切り取ってアドラーを名乗ったりするようです。なので、あんまり変な本に引っかからないように予め注意しておきましょう。