数日前に
善意が正しく発揮されて正しく受け取られるのはいかに難しいことか - この夜が明けるまであと百万の祈り
と書きましたが下記の記事は「善意のつもりで人を傷つけてしまう」という不幸な事例について紹介があります。
がん告知を受けてドン引きしたお見舞いのことば - はてこはときどき外に出る
正直な所、傷つけようと思って言ってる人はそんなにいないと思うのですが、気をつけておきたいですね。
支援の基本は「当事者が自分の気持ちを上手く処理できるように助けよう」
「子供が聴いてくれる話し方、子供が話してくれる聴き方大全」では、理不尽な目にあって悲しんでいる人間に対し、周りの友達がとる8つの方法について紹介しています。
1:気持ちを否定する
「そんな風に感じるのは君のほうがおかしい」
「なにもそんなに腹をたてることはないじゃないか。」
「スルー推奨。大げさに騒ぎすぎ」
「ほら、怒らずに笑ってごらん?」
2:哲学的な反応
「人生とはそういうものだ。物事は思い通りに行かないことが普通だ」
「人間はこういう時に逆境を乗り越えることを学ぶべきだ」
「完璧な人生などない、完璧な絶望がないのと同じようにね」
3:忠告
「どうすべきか教えてあげよう。~~~しなさい」
「もっと利口になりなさい」
「二度とこんなことが起きないよう気をつけなさい」
4:質問する
「こういうことをしたらこういう反応が返ってくるって思わなかったのかい?」
「どうして~~しなかったんだい?」
「君の側にも問題があったんじゃないのかい?」
5:他の人をかばう
「相手にだって、こうこうこういう事情があったと思うよ」
「~~という相手の事情を考えたら、怒るべきじゃないのでは?」
6:哀れみ
「ああ、かわいそうにね。同情するよ」
7:素人心理分析
「君がこのことでそんなに腹をたてる本当の理由について考えてみたんだが
それは○○が○○○を象徴しているからじゃないか?」
「君には幼少時に○○○のような経験をしてきたんじゃないのかな?」
正直、自分が言われたら「きっつー」ってなりますよね。冷静なときにはありがたいアドバイスでも、頭に血が登ってる状態ではとても冷静に受け止められない。
善意は必ずしも良い結果を保証しないし、逆に悪い反応だからといってそれが悪意から来るものでもない
もちろんこれらは、嫌がらせで言っているのではなく
「あなたのために」「善意で」発せられる言葉です。
善意で思ったことを語った結果こうなることが多いのです。
善意そのものは、相手にとって良い結果を必ずしも保証しないということです。
みんな、善意があっても、それをどう相手に役立てるべきなのかがわからない。
善意そのものは否定スべきではないけれど、
善意故に行動を誤りやすい、ということは気をつけないといけない。
しかし、こういうのって本当に難しいですよね。いざというときに望ましい反応をしたければ、日頃冷静なときにちゃんと考えて準備しておいたり普段から訓練しておかないと難しいと思います。この本では「相手の感情を否定せずに共感する」ために、多くの分量を割いて説明をしてくれています。相手の気持ちを否定するパターンがあることをしっかり認識し、「相手の気持ちを否定せず」「共感する」「寄り添う」ことを心がけなさい、と説明しています。その際、言葉よりも態度が重要で、場合によっては「寄り添う沈黙」が効果的だと述べます。
今回ははて子さんが「どうして欲しかったか」を述べているので
それを参考にするのも良いでしょう。
こういうときに間違いがないのは、口頭や手紙で「回復を祈っている」と伝えること、あとで「返してくれ」と言わないでいい程度のお見舞いを包むこと、病人の都合のいい時間に顔を見せにいくことだ。
まずは何より落ち着くこと。パニック状態のまま自分がいいたいことを思いついた順に闘病中の当事者や身内に語って困らせないこと。当事者である病人や看護している身内以上に治療にあつくならないこと。
はて子さんはこういう記事を書いたら1、4、5みたいな反応が返ってくるのは予期されていたと思います。私も正直ちょっと「間違った反応とはいえそこまで言わんでも」という気分にはなりました。しかし、それでも書いてくれたおかげで、当事者がどういうことを考えているのか分かってありがたいですね。