うん、1巻の途中まで読んで食わず嫌いで読まなかったけど、改めて5巻まで通して読んだら面白いわー。
作品の紹介はする必要ないだろうから簡潔に感想だけ。自分用のメモなので比較も平気で使います。
要素要素を見てみると「既存」のものばかりなのに、なぜここまでオリジナリティを感じさせるのだろうねこの人は。そこがすごい。
古今東西の英雄が出てきて戦う話というとfateを思い浮かべてしまったのだけれど、根本的に違う。
召喚された人間はfateの英霊ほど強くないし、古今東西の歴史を知っていたりしない。あくまでその当時を戦って生き抜いていた「人間」だ。(黒王軍はそうではないような気がするんだがずるくね?)
また、この舞台は「現代の我々の世界」との接点がない。部隊はファンタジーの世界であり、登場人物はみんな過去の人物だ。
そして、英霊だけが戦ったりするような話でもないし、「まおゆう」のように「先の時代」から「旧い時代」を見てオリエンタリズムがーということもない。
むしろ「漂流者」や「廃棄物」といった個々人の力には限界があり、それゆえに戦いに勝利するためにはその時代を巻き込む必要がある。しかも、自分たちは「ジパング」の戦艦のような圧倒的な武力を持ってない。あくまで自分たちはその時代その舞台の中で、その世界の人間たちとは違った考え方を持っているだけだ。そのちっぽけな力と知恵を使って、国盗りをやる、と。
たしかに私たちのしってるすごいやつらがたくさん出てくるが、ドMといってよいほどの縛りプレイになってる。
「ヘルシング」では「人と魔の戦い」といいつつも最終的に超人たちのバトルが勢いを決してしまうようなところがあったと感じている。それに対して、この作品はきっちり「人」が戦う話になるのだろうか。
でもやっぱり面白いのはそういう「ガワ」の部分ではなくて、一人一人の描き方よね。 信長の策略が三国志時代や殷周時代なみにえげつないのもこの人らしくてよいし。サンジェルミの駆け引きも、実にゲスい。豊久なんてほんとに相手を殺すことだけ考えてる。
なんもかんも本音むき出しだ。過剰なくらいさらけ出してぶつけあってる。すげえ暑苦しいw
うん、私はかなり楽しかったです。でも、これ、あまりに暑苦しすぎて元気がないときに読むと疲れてついていけないと思うw 絵の線もやったらぶっといし、ここまで暑苦しいマンガをかけるということがほんとすごい。
おまけ 「国家」や「歴史」へのリスペクトが感じられる部分大好き
作れはするでしょう。作れは、ね。でも割に合うものができるかしらね?
これは、大人口と農村と家畜の大小便を営々と抱え込んだオルテという人間帝国にしか生み出せない代物なのよ。いくら資金があっても新興の海上商人ギルド連合国家では、逆立ちしたってこればっかりはどうしようもない。
だから言っている。積み重ねたウンコの量が違うのよ。
どれだけ非効率に見えても、「国家」「大人口」「歴史」というものの積み重ねの持つ力は大きい。
こういうのってなかなか座学で歴史とか勉強してもわからない。これを非常にわかりやすい形で示してくれてる。
知らないとないがしろにしてしまうこともある。そうではなくて、こういう漂流者たちこそ、依存はしないが、利用するために「国」を「歴史」を守ろうとする。ただフリーライドするだけじゃない。持ちつ持たれつ。
ここら辺の駆け引きが面白い。