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大人が子供に一方的に「なぜ勉強するべきなのか」を語るべきではないと私は思う

「勉強する意味は?」と問う子に刺さる言葉 | ぐんぐん伸びる子は何が違うのか? | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

この記事読んだ私げきおこぷんぷん丸ムカ着火ファイヤーですよ。この手の話何度も出てくるけど、いい加減にしろよと言いたい。

「なぜ勉強するべきなのか」をいくら熱心に語っても、短期的にはほとんど意味がない。

私は数年間、某学習塾で講師兼教務を務めていました。
教務というのは、生徒一人ひとりの勉強の進捗状況を管理し、励ましたり、勉強を進める上での問題があれば相談にのったりしてやる気を促すという仕事です。1年で70人くらいの生徒の相手をしてました。

その経験だけなのでサンプル数は少ないかもしれませんがそれでも私は確信をもっています。こんな話を聞いただけで「なぜ勉強するのか」がその場でわかって勉強する気になる生徒はほとんどいません。 いたとしても、例外中の例外です。

将来的にそういう話が役に立たないとは言いません。でもこういうのって理屈じゃないんやで。生徒にとって、もっと大事なことがあるでしょう。こういうのを美談みたいに宣伝するのやめて欲しいし、一般化するなんて勘弁してほしい。


「なぜ勉強するべきなのか」について万人に当てはまる答えなんてないし、それを大人が一方的に押し付けるなんて論外です

そもそもこの問いへの答えは、大人が一方的に教えようとするものではないはずです。子供が考えて自分なりの答えを見つける手助けをするべきでしょう。何で普遍的な答えがあるような前提でそれを押し付けようとしてるんだよ宗教かよ。違うだろ。そんな「他人から与えられた答え」を模倣することを強いるなんで私は絶対いやだよ冗談じゃないよやめてよ。自分が子供だったら泣くよ。

もちろんだけれど、一人のサンプルとして「自分はこう思って勉強していた」という意見を言うのはいいと思う。それは参考になるでしょう。 でも、できれば一つだけじゃなくてたくさんの声を聞かせてあげてほしいし、子供たちで自由に考えたり話し合う自由を与えてほしい。

もっといえば「本当に勉強しなければならないのかわからない」「みんなが勉強する理由はわかるけど私は今は勉強しなくてもいいんじゃないの?」という答えも許容してあげてほしい。間違っても「ヤンデレ五段活用」みたいにその結論ありきで、そこから理由をこじつけるような形になってはいけない。

アニヲタWiki(仮) - ヤンデレ五段活用

「あなたは勉強するべきよ」
「勉強しなさい」
「勉強して」
「勉強しろ」
「勉・強・し・ろ」

上の記事ってわりとこれに近いオーラ感じました。


将来の目的がまだはっきりしてない生徒を一番やる気にさせる、最も重要な要素だと思うもの

この話などより、こちらの話のほうがよほど役に立ちます。断言する。
明日TED紹介の方でも取り上げようと思いますが「周りの空気」が圧倒的に大事だと思う。

アレックス・ラスキー: 行動科学で電気代が安くなるわけ | TED Talk | TED.com

そこに不便さがあるならば 節約が重要だと分かっていても 良心への訴えや経済的インセンティブでは人を動かせません。しかし社会的プレッシャーはとても強力です うまく利用すれば世のため人のためになります

私の経験上、一番生徒をやる気にさせたのはこれです。

「周りのみんながちゃんと勉強をやってるから」「先生が一生懸命教えようとしてくれてる」「親も私のために期待するだけじゃなく一緒に頑張ってくれてる」。つまり、こういう周りの環境が「勉強をする空気になってる」「特に親しい人が真剣に頑張ってる」
これに勝るものはないと思っています。


上の記事は、個々人の内発的動機や根性というものを信奉しすぎではないでしょうか。確かに立志伝中の人物なんかはみんな一人で孤独に耐えて勉強してきたというような描写ありますね。ほかの人が絶対に進まないような道を目指す学生ならこういうものが必要でしょう。でも、そういう目的がはっきりしてる子ってそもそも「勉強しなくてはいけない理由は何ですか?」なんてきかないでしょ。

自分の内発的動機だけでNKT(長く苦しい戦い)を乗り越えられる人は限られています。そこまで求めなくてもいいじゃないですか。それよりも「周りのみんなが頑張ってるから、それに刺激されて、負けたくなくて」っていうのすごく大事ですよ。オンライン授業が充実してきている今、勉強に関しては子供学校や塾に通う理由があるとしたらただこれだけといってもよいと思ってます。


大人たちとしては、第一にこの部分の規律や空気づくり、それからサポートなんかををしっかりすべきだと思うんですよね。なぜ勉強するのかとか将来の目標は漠然としていてまだわからなくても、目の前のみんなが頑張ってるのは目で見える。先生が子供たちのために勉強を大事に教えようとしているのは見ればわかる。そういう目に見える部分をしっかりしてほしい。


もちろん塾では他にもいろいろやってます。生徒たち一人一人に将来の夢や目標を考えてもらいますし、スケジュールを立てて尻を叩いたり、親と面談したり、頻繁にテストをやって励ましたり、外部講師を招いて刺激を与えたり、夏期講習したり、補習授業もしたり。ほんとにいろいろやってるんです。でも何を一番の軸に置くかといったときに「生徒の内発的動機が大事だ」という考えでは少ししんどいかなと思う。


「内発的動機」も大事だけど「エンゲージメント」をもっと重視してほしい

この考え方、上の動画ではSocial Pressureと言っていますが、職場のマネジメントでは最近この「ワーク・エンゲージメント」といわれ、今とても注目されています。


教育に関しても、このあたりの考え方をもとにした意見がもっと出るようになってほしいなと思います。
正直、もう「ビリギャル」だのこういう例外的な美談だのを喜んでる余裕ないですよ日本の教育現場。