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「塚田農場」のリピーター作りへの取り組みについて

※2014年に書いた過去記事を編集・追記したものです。

スタッフ総出での「意地でもリピーターになってもらおう」っていう執念というか、もう1回お店に来ざるをえない動機作りの連続が凄かったです

というツイートを読んで「塚田農場」に興味を持ったので行ってきた。


うん、言ってみたら確かに上のツイートの通りだと思った。 ①話題になること ②リピート作り の2つのためにすごく力入れてる

「サービス良かった、また来たいね」と言わせるだけでは満足してない。「リピーター作りの為にここまで意識的な飲食店ははじめてだ」って感じさせる。もちろん、されて気分が悪くなるサービスはなかった。ブログでもなんでも「来てくれた人へのサービス」について考える人は塚田農場の取り組みは参考になると思う。

1 まず店員の数が多い

私大学時代居酒屋でバイトしてたことあるからなおさらそう思うのかもしれないけど、店員の数がめちゃくちゃ多い。私の働いてた居酒屋は極力少ない人数で客をさばこうって感じだった。そんな居酒屋や、他に今まで行ったことがある居酒屋とくらべても塚田農場は店員の数かなり多いと思う。店に入った時点で、なんか雰囲気ちょっと違うぞ、と思った。

おかげで、常に店員が誰か近くに居るので、注文頼みやすいというのもあって、小刻みに色々注文出来たのも店員が多いことのメリットとしてあると思う。(これだけ店員設置できるということは利益率高いんかな?) 

店員が多いだけでなく、サービスも良かった、後述するけれどほかの店ではやらないことも色々やってくれた。他にも店員の衣装も独特で、*1こういうところでもほかの店と一目でわかる差をつけようとしてるんだなと感じる。


2 お通しの時点で、素材の良さをアピールする。

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生野菜がデン、と置かれて面食らう。素材に自信がないとなかなかこういうことは出来ないだろう。最近流行りの生産者の顔写真とかも載っていた。もちろん生で食べても美味しいが「秘伝の味噌」のアピールをされる。実際、味噌と一緒に食べると美味しい。あとこれ伏線な。

3 メニューがやたらと豪華

写真とってないけど、ものすごくかねかけて作ってる感のあるメニュー。一つ一つの料理の素材へのこだわりをしつこくない感じでアピールしてくる。あと、店員がちゃんとお店のイチオシを理解していて、しっかりおすすめしてくる。

……と、ここまでは良いんだけど、最初に飲み物とおすすめを頼んだあと、あとでメニュー見て頼もうとすると、結構選びにくいというか、組み立てにくい感じがした。 というか、それほど食べ物は品数が無いような気がした。もうちょっと品数欲しいかなとは思う。でも、これもコスト戦略なのかも。
(普段行く店と比べて単価が高いからちょっと躊躇してただけかもしれないけど)


4 遊び心のあるアイテムがサービスとして出てくる

お通しが1人あたり380円なのだけれど、2以外にこういうサービスがついてくる。
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「宮崎で一番甘い醤油です。これでお通しのキャベツ食べてみて下さい。美味しいですよ」と言って出てきたのがこちら。写真が見えにくくて申し訳ないけど、これマヨネーズでアンパンマン作ってるみたいです。この時たまたまやなせさんがお亡くなりになったばっかりなのでちょっとしんみり…。

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あと、その店のおすすめ品を頼むと、ハート型のゆず胡椒とかも出してくれます。

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条件不明だけれど、何かを頼むとガーリックライスが出てきます。あとこれはどこにでもあるけど、最後に頼まなくても温かいお茶出してくれたりとかした。


5 料理が美味い

やっと飯の話。当たり前だけど、どんだけサービス良くてもここダメだったらどうしようもない。けど美味いです。塚田農場は「ワ○ミ」など安めの居酒屋と比べると、大体一品あたりの単価が2倍~2.5倍するけれど納得できる味だ。「サラダ系」「チキン南蛮」「鍋」あたりはそういう安い店とくらべてもボリュームあってお得な感じしました。 メニューに鍋ものが多いので、もうちょっとあとの時期に行くと良さげ。

お酒については、私があまり詳しくないので詳しい人に聞いて下さい。メニューの半分くらいお酒だったので、充実はしてると思います。

「お客さんに写真を撮ってもらう」ということも、現代飲食店プロモーションにおいては、とっても大事な要素になってきます。お客さんが撮った写真が間接的にお店の宣伝をしてくれる可能性があるからです。

http://matome.naver.jp/odai/2137519567651685701

写真を撮りたくなるような見た目にもこだわってると。


6 ポイントカードならぬ「昇進制度」

会計時に、ポイントカードの代わりに名刺をもらえる。これで、何度も通うとだんだん名刺の肩書が上がっていくという仕組み。ちなみに、「半年以内に来ないとリストラになり、また1からやり直し」になるという仕組みになっている。一度リピートしてしまったら、最低でも半年に一度は足を運ぶという仕組みになっている。

詳しくはこちらで。
http://blog.bot.vc/2011/11/tukada_farm/

リピーターを、お金を書けずに優遇するためのアイデアということだろうなと。餃子の王将の会員権みたいなやり方もあるけど、個人的にはこっちのほうが好き。この時に「ニックネーム」を聞かれるので、適当に答えておこう。


7 初回の客にはニックネーム入リプレートでデザート無料プレゼント

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私が眼鏡あけてたら、イラストにもちゃんと眼鏡が書き加えられるなど芸が細かい。

「来てくれてTANKS」。。。TANKS?


8 まぁお手頃価格なのでは

最初単価が高いから最初ちょっと不安になったけど、お酒1杯飲む程度だったらお腹いっぱいまで食べても1人あたり3500円かからないくらい。リピートしやすい価格だと思う。お酒が好きな人はどうなるか知らん。 

1時間半くらいで店出てこの値段なので、他の客も私達と同じような感じだったとしたらワ○ミと比べるとだいたい同じ客単価で回転率2倍ってことになる。もっとお酒飲めば客単価上る感じかな。お手軽だけど「1人客が来にくい=誰かを連れてこようという動機付け」雰囲気作りをしてるのとかも商売としてはうまいなと思った。

9 おみやげにプレゼント有り

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「2」の時点で試してみて美味しいって感じた味噌をプレゼントしてくれる。「またなくなったら来てください。空っぽの状態で持ってきてくれたらまたいっぱいにしてお渡しします」とのこと。店で食べて終わりじゃなくて、ミソを家でも使ってもらえたらしばらくは覚えてもらえるし、話のネタにもなるよね。


10 近い距離に集中して出店

店内にも近くの店の案内が大きく貼りだされていた。店ごとにバラバラではなく、この店が気に入ったら他の店でも同じようなサービスやりますよ、という自信があるのだろうと思う。コンビニほどではないけれどドミナント戦略を意識してるのか、あるいは「そういうところでないと成り立たない」のか。このあたりは気になるところ。


5割の固定客がいる。チェーン店でこれができているところは少ない。リピート率にこだわるのは、路地裏の個人店と競争していかなければならないから。既存店売上高の前年対比は100%を超えて推移しているが、これはリピート率に比例している。昨年の弊社のリピート率は55%、今年も50%超を維持している。

http://toyokeizai.net/articles/-/12230

おまけ 「レベルが高い接客」を実現する教育の仕組み

http://togetter.com/li/454195

①販売戦略が、直接教育につながっている。


②自信のあるスタッフを育てる。
原価一組400円の裁量をアルバイトに与える。値引きは感動をよばない。忘れて怒られるリスクが高い。客単価4000円、原価率40% 平均3組くるので、一人の裁量は400円。400円のジャブを繰り返してOKを生む。いきなりストレートを打つと気まずさがでる。明確な武器を持たせる。新人には確実にお客様の喜ぶ武器を持たせる。成功体験が着く


③改善活動もゲーム化
社内SNSがあり、思いついたアイデア(ジャブ)を写真をつけて投稿できる。1位には2万円の賞金も出している。

なんかいろいろ表に出していってるのね。


自らの業種をサービス業ではなくて製造業・小売業として考えているらしい

http://toyokeizai.net/articles/-/12230

大事なのは製造・販売業の会社であるという、われわれとしての位置づけだ。食産業は97兆円の市場規模がある。23兆円の外食は不況と言われるが、APカンパニーを外食でくくらないでほしい、いち早く居酒屋だけの会社から抜け出さなければとやってきた。

追記 「塚田農場」のやり方だけでは足りないのだろうか?

この当時はすごい話題になってたしみんなすごいなって言ってた気がする。私も「塚田農場」すごいな、ほかにないことやってるなと思ってました。ここから一気に成長していくんじゃないかなって思ってたし、実際それを期待して株価もすごい高かった。

ただ、実際はこんな感じで店舗は増えて、売り上げは伸びてるんだけど競争に巻き込まれてどんどん利益率が悪くなっていってる。利益が出ないから出店計画もどんどん下方修正とジリ貧の状態に。

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その結果、だんだん期待されなくなって株価も3分の1にまで。

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なぜこんなに苦戦してしまうのだろう?

今でも「塚田農場」の接客の質の高さは評価が高いし、ここでアルバイトした人は飲食業界ならどこの会社に行っても即採用って言われるそうです。それでも、こういう優秀なアルバイトを雇って教育するしてると、その分コストはかかる。 

それでいて、お客さんはそこにそんなに高い金を払ってくれないのだ。サービスとして面白いとは思うけれど、本質的な価値ではないとうことか。 実はリピート率も少しずつ落ちてる。そういわれれば私もあんまり行かなくなった。

それはなぜだろう。

消費者がどんどん宅飲みや安飲みにシフトしているからだとか、いくらエンタメ要素をつけたり「居酒屋」として差別化を図っても駄目だという人もいる。本当にそうなのだろうか。

居酒屋業界の現状と今後の動向を調べてみた | Synapse Diary
居酒屋業界の現状、動向、ランキングなど-業界動向サーチ

居酒屋全体の売上自体は上がってるんですよね。必ずしもそうではない。でも世の中の人が求めていたのは塚田農場ではないということなのだろうか。「接客」だけでは決定的な差別化にはならない。それより従業員にコストをかけすぎだって言われちゃう。「従業員に優しい」企業ではだめなのだろうか。本当に必要な差別化とな何なのだろう。「コストカット」は確かに大事だけれど、そっちを頑張る企業のほうが成功しやすいとなってしまうのだろうか。 


みなさんは、今どういう居酒屋が求められていて、成功していくと思いますか?

という話で次に続く。

*1:「塚田農場は健康なキャバクラみたいなものだ」といってる人までいた