「魔法少女育成計画」のアニメを観終わったので続編もさくっと読んでみました。
この作品シリーズは「善悪」という概念はあまり強調されず「それぞれの人物の目的や信念」とそれにあった「合理性」が重視されます。淡々とした文体もあり、自分の中の信念に合わない描写は受け付けないという人や、特定の誰かに感情移入するような読み方が好きな人にはオススメしません。
私は文体はちょっと苦手なのですが、デスゲームものに有りがちな「特定の主人公が独善的にふるまい、それに主人公補正が加わって簡単に受け入れられがち」な展開になっていないため、個人的には好みです。
大勢の人物を登場させながらも特定の主人公に依らず、そもそも誰が主人公かもわからないくらい相対化しつつも物語をまとめているこの作品はかなりスゴイなと思います。
ナンバリングがされていないため「読む順番」がわからないという方もいらっしゃると思うので順番に感想をサクッとかいていきます。
魔法少女育成計画(魔法少女狩り「スノーホワイト」の誕生)
アニメ化された「魔法少女育成計画」は個人的にはあんまりおもしろくなかったです。これは作品の問題というよりタイミングの問題だと思います。刊行された当時ならより面白く読めたと思います。この作品は登場する人物すべてがスマホゲーを通して「魔法少女育成計画」というデスゲームに取り込まれるところから始まりますが
まずスマホゲーに取り込まれる前の登場人物そのものに悲惨なものが多く、むしろ魔法少女同士の戦いや散り際の悲劇よりも、その人物が現実においてスマホゲーを拠り所にするしか無いような孤独な状態に追い詰められていることの方が切ない、まである。スマホゲーについてのイメージが今と違ってて素直に楽しめなかったというのがあります。そういう意味で「スマホゲー」というものがよくわからない時期に読んだほうが、そこに魔力のようなものを感じて楽しめたと思います。
アニメ化に合わせて各キャラの日常を描いた短編集が出たようです。上に述べたように、私は魔法少女のバトルよりもこちらの方が興味あったくらいなので後で読むかもしれません。
魔法少女育成計画 16人の日常 (このライトノベルがすごい! 文庫) | ||||
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魔法少女育成計画restart
続編一作目が「restart」ですが、これも個人的にはいまいちでした。というか、さらにその次の作品を読んで、本当にこれはrestart(仕切り直し)であって、2巻かけて壮大な話の導入をやった、という感じの位置づけになると思います。
こちらでは登場人物はスマホゲームではなくて「MMO-RPG」に取り込まれます。イメージとしてはソードアート・オンラインに近いですね。やっていることも既視感が非常に強い。
もちろん見どころはあります。「殺し合うのは少女同士」という部分や、「少女どうしの関係性特有のギスギスした部分」、さらに少女たちの中に「人狼」と「妖狐」的な存在がいるという推理要素など独自性もしっかりしているし、それから前作の生き残りが登場するところもぐっとくるものが有ります。完成度はシリーズの中でも高く、これらが好きな方にはオススメできる作品かと思います。
しかし個人的にはこれらの要素は好みではなく、淡々とした文体とあわせてどちらかというと読むのがしんどかったです。
魔法少女育成計画 restart (後) (このライトノベルがすごい! 文庫) | ||||
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短編集としてepisodesという作品があるそうですが私はまだ読んでません。
魔法少女育成計画 episodes (このライトノベルがすごい! 文庫) | ||||
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魔法少女育成計画limited ここからがほんとうの始まり
この作品も終盤に入るまでは微妙かなと思っていましたが、最後に「うおおおお!」と興奮する展開が待っていました。いままで読んでいたものがぐるんとひっくり返る感触。もちろんrestartも含めて、です。もしrestartをアニメ化するならこの部分まで絶対にやってほしいですね。
この作品で行われるゲームは「鬼ごっこ」です。もちろん単に追いかけっ子をするだけでもないし、時間制限があります。この時間制限が良い。restartはこれがなかったので特に序盤は緊張感が薄くダレる展開でしたが時間制限があることで物語に緊迫感が生まれ、展開がスピーディーになっています。(自分がこんな状況に巻き込まれたら絶対に嫌ですが読み手としては嬉しいということで勝手なもんですね・・・)
しかしなんといってもこの作品の最大の見所は終盤です。「ここまで読んできてよかった」と思える瞬間がありました。
魔法少女育成計画 limited (後) (このライトノベルがすごい! 文庫) | ||||
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魔法少女育成計画JOKERS 三部作の一番目
JOKERはlimitedの勢いを借りて読んだのですんなり読めましたが、つなぎ的な位置づけになると思います。restartやJOKERを読んでいても、実はこの作品結構構想として長く続くのかなと思ったり思わなかったり。この作品も紹介したいのですがどうしてもlimitedを読んでることが前提になるので説明しづらい。
この作品ではようやく現実世界に干渉してきている「魔法の国」が、なんでもありの設定だけの存在ではなく実体のある、今後関わりをもっていくものとして感じられるようになります。
魔法少女育成計画 JOKERS (このライトノベルがすごい! 文庫) | ||||
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私が読んだのは現在ここまでです。続く2作品は読んだら感想簡単に追記したいと思います。
魔法少女育成計画ACES 三部作の二作目
読んだら追記します。
シリーズとしての位置づけは現状こうなっているようです。
これから読む方たちへACESの立ち位置紹介をしておきます
魔法少女育成計画(俗にいう無印)→restart前後→episodes→limited前後→JOKERS→<ACES>→episodesΦ
また本として,特別編集版魔法少女育成計画があります。こちらは短編スノーホワイト育成計画を含んだものとなっていますその他に
このライトノベルがすごい!文庫 スペシャルブログ
月刊魔法少女育成計画
での短編ドラマCD「魔法少女育成計画 in Dreamland」
魔法少女育成計画FANBOOK
魔法少女育成計画 C88 英雄志願者のためのスーパー魔法少女セット
での短編がありますまた各巻についていた特典小冊子については とらのあなの 「魔法少女育成計画」とらのあなポータルページ に詳しく載ってるのでご参照ください
https://www.amazon.co.jp/review/R26NPQX6CX0SQK/ref=cm_cr_rdp_perm?ie=UTF8&ASIN=4800245869
魔法少女育成計画 ACES (このライトノベルがすごい!文庫) | ||||
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魔法少女育成計画 episodesΦ(エピソーズ・ファイ) (このライトノベルがすごい! 文庫) | ||||
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短編集も出てるようですが、正直ここまでは手が回らんかも……。
魔法少女QUEENS 三部作の最後
魔法少女育成計画 QUEENS (このライトノベルがすごい!文庫) | ||||
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『JOKERS』『ACES』と続いた三部作の完結編!
とあるように、JOKERSからは全て○○○が主役となる三部作という位置づけのようです。いいタイミングで読み始めたなと思うのでこれも年末に読み切ってしまいたいところです。