新約に入ってから最も読むのが苦痛だった……。
今まで1日1冊ずつ読んできていたのだけれどこの巻は3日かかりました。
そして頑張ってよんだ挙句に、この巻は最後の数ページだけ読めばよかったということがわかったときの徒労感……。
読んだ後、誰も見てない自室で本をベッドに叩きつけたりしてみました。
あのね、そういうことして許されるのは、のは、そこに至るまでのシーンが面白かった場合だからね。いいかげんにせえよホンマに……。
いやまぁ、でも作品がつまらないってわけではないのです。好きな人はすごく好きだと思います。実際にAmazonでの評価は軒並み高め。
新約 とある魔術の禁書目録 (8) (電撃文庫) | ||||
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しかし私はもうこれ、さすがに一回激おこぷんぷんしておきたい。ツンデレとかではなくてアカンと思うところはちゃんとアカンでしょ!って一度ぶちまけておいて、自分がこの作品をどう見ているかという部分をもう一度再確認しておきたい。そうすることによって改めて9巻以降を読む気力を呼び起こします。
(そこまでして読む必要あるのかこれ……)
そもそも神話って……「Wiki」でバラバラに読んだほうが面白くね?
ところでみなさん。神話ってちゃんと読んだこと有りますか?先に「異論は認める」といっておきますが、ぶっちゃけ「神話」って、今読んだらストーリーは無茶苦茶退屈じゃないですか?私は面白いと思ったことがあまりありません。これ聖書もそうですね。こういう作品の面白さってエンタメとしての面白さというよりは「資料」としての面白さですよね。 そういう楽しみ方はできるにしても、エンタメとしてはそれほどではないって思いませんか?
例えばこの巻で使われている神話は主に北欧神話なんですが……北欧神話っていろんな作品で登場して、そこに出てくるキャラクターたちや、キャラが持つ設定がすごく魅力的だから実際に読んでみたら、実際の北欧神話はめちゃくちゃつまらなくて1冊読みきれずに挫折したことが有ります。
ファイアーエムブレムだとか、ヴァルキリープロファイルとか、FGOとか、その他いろんな作品で登場するキャラクターやそのエピソードの断片はものすごくおもしろいのに、そのキャラが描かれている「原典」は、今の時代のアニメやらゲームといったエンタメに慣らされきった私には「そんなに面白くないな」ってなってしまうものなのです……。 これについて「ラノベはぬるま湯だ」とか「アニメ見てたら阿呆になる」みたいな意見を言う人もいると思うんですが、私はあえて「それだけ洗練されてる」「贅沢な娯楽体験を提供してくれている」と言いたい。
でも「個々の要素」、つまり設定や各キャラクターが持つエピソード自体はすごく魅力的なんですよね。なので「物語」として読んだときは全然面白くなかったのですがWikipediaや図説として、キャラクターごとに、あるいは短い断片として区切って読むとすごく面白くて、いくらでも読める、そんな感じです。
あくまでエンタメという領域における「神話」の役割(世界のなりたちの説明とかそういう話は今はどうでもいいです)は、そういう「荒唐無稽なキャラクター」や「今の想像力ではありえないような無茶苦茶な設定」を描き出すことにあると思います。 ぶっとんだ設定のキャラクターがたくさん出てきて、各々が好き勝手やらかす中で生じる化学反応みたいなのを楽しむと。「中二病」心は揺さぶられますよね。
禁書目録シリーズは各キャラを取り上げて一つ一つ見ると面白いけど、ストーリー犠牲にしてまでキャラの説明をくどくどとするのなんとかしてほしい
で、この作品は、作品設定自体が、そういう「神話の神々すげー」って話を現代にアレンジする魔術サイドと、「昔の神々が何だ、科学の力を発展させまくったらその神々に負けないくらい強くなれる」って科学サイドを通して、もうほんとにアホみたいにたくさんキャラを出していきます。それ自体はもちろんええんですよ?ええんですけど、そればっかりやられると作者の「ぼくが考えた最強のキャラ設定ノート」を読まされてるだけになってしまうよね、と。
それだけだったら最初から北欧神話のWiki読むほうが面白いから。
頼むから、ストーリーもちゃんとやってほしい。
新約禁書目録になってから、「とりあえずキャラ出したかっただけやろ」って思うことが非常に多い。しかも出したキャラはその巻だけで出てきてはすぐに使い潰されていく。旧約の時点ですでにキャラ出しすぎて処理できる量がオーバーフローしてることもあり、いい加減にしろって感じになってるのに、さらにキャラを大量に投下して、そのキャラクターについていちいちクドクドと説明して、でもやっぱり面倒見きれないからといってどんどん潰していく。
穴をほって埋める、みたいな作業を延々やらされてる感じです。
8巻だけ見返してみてもこれだけキャラ出してます。
敵キャラ | 味方キャラ |
モックルカールヴィ | (オッレルス) |
ヨルムンガンド | ステイル=マグヌス |
フレイア | 上条当麻・御坂美琴・インデックス |
(ニーズヘッグ) | (ベルシ) |
(フレースヴェルグ・ムスペル) | レイヴィニア・雲川鞠亜・レッサー |
ヘル | シルヴィア・ブリュンヒルド |
フェンリル | オリアナ=トムソン |
ロキ | キャーリサ・騎士団長・ウィリアム |
イドゥン | ??? |
シフ | ?? |
さらにフレイアは「ニーズヘッグ、ヒルディスビラ、フレースヴェルグ、ムスペル」などを召喚してますからさらに多いです
これらが、ワンピースの60巻の時みたいに「総力戦」の楽しさになってればいいのです。実際にそういう形で楽しめた人もいるのだと思います。フレイア戦において「上条当麻・御坂美琴・インデックス」が共闘するシーンなど、シリーズファンとして嬉しいシーンもあります。
でもね、なんというか、この作品はそういう戦闘の描写がひたすらに冗長であんまり楽しくないんですよ。単なる「キャラ性能の説明」な感じなのです。Wikipediaを読んでるみたいな感じなんです。ただひたすら敵キャラの説明を延々と聞かされて、しかもそのキャラの大半はこの巻限りの使い潰し。
よくよく考えてみると、新キャラの説明以外でストーリーが進んだのってどのくらいだっけ……みたいなことが多々ある。
……だるいよ!こいつらほんとに要るの?要ら無くない?いるとしても、説明長すぎない?ってずっと思いながら読んでたわけです。新約に入ってからキャラの使い捨てがひどくなってて、大丈夫かな……って気持ちがすごい強かったんですね。
そうしたら……
茶番だぁああああああああああああ!!!
この巻まで来て、一番いやーな形でこの感覚に答えが出た。
ほんとにこんな感じ。
うんまぁなんというか、今までの時間がすべてむだだったとは言わない。全然面白くなかったとも言わない。
だけどこれは読者として怒っていいというか怒るべきじゃね?って頭で考えて、ワンテンポおくれてふつふつと怒りが湧いてきたのでした。
ここまでやらかしたんだから、9巻から頑張って、ほんとに頑張って!
でも、まぁここまで茶番だったのはまぁいいよ。
ここからはちゃんとやってくれるんだよね? 信じていいよね?
もうこれ以上不必要にバカスカキャラ増やしたりしないよね?使い捨てのキャラの説明に無駄に時間取らせるみたいなことしないよね?
もうちょっと、うまくやってくれるよね?頼みますよ。頑張って最新刊まで追いつくから、ホント勘弁してください。
うん、ほんとにね。「とある科学の超電磁砲」にはそういうめんどくささを感じたことってほとんど無いんだけども。あれってやっぱりコミカライズ担当してる人がすごいうまいんだろうな……