評価★★(個人的評価★★★★★)
類似作品
ベイビィ・ステップ | ★★★★★ |
咲 | ★★★★ |
あさひなぐ | ★★★ |
ゲーマーズ! | ★★★ |
ステラのまほう | ★★ |
ハイスコアガール | ★★ |
百合姫新連載十傑集の1つ
百合姫は2017年1月に月刊化しましたが、その際にいきなり10本新連載を開始しました
コミック百合姫、ついに月刊化!怒涛の10本新連載が巻頭カラーで始動 - コミックナタリー
あおと響「明日、君に会えたら」
梅原うめ「ロク+イチ暮らし」
竹嶋えく「晴れの国のあっぱれ団!」
tMnR「たとえとどかぬ糸だとしても」
西あすか「いつかみのれば」
Hitoto*「週末なにしにいこう?」
広瀬まどか「みみみっくす!」
みかん氏「Now Loading…!」
未幡「私の百合はお仕事です!」
椋木ななつ「私に天使が舞い降りた!」
このうち、「私の百合はお仕事です!」はこのブログで紹介しており、
また「たとえとどかぬ糸だとしても」と「私に天使が舞い降りた!」などはいつか紹介しようかなーと思ってたりします(他にも「課金済みガールフレンド」とか)が、この「いつかみのれば」は掲載順位的にはいつも後ろであり、完全にスルーしてました……。今日下記のツイートを見て存在を認識し、早速購入!
ヤバすぎる。僕もツイッターで存在知って慌ててKindleて買ったんですが、百合姫連載の格ゲー漫画(???)『いつかみのれば』が"真理"に満ちすぎていて最高すぎて声が出る漫画なので買ってください……。https://t.co/wKSfCKBqSz pic.twitter.com/ATXI7Ss6uG
— 2年ぶり3回目コミケ落選マン (@barzam154__) 2017年11月22日
このコマは格ゲーマー的にはまさに「真理」ですよね……。ネットバトル好きな人にも価値ある金言が多いです。
「格闘ゲームって何が楽しいの?」に対するいろんな答え
勉強も運動も苦手で友達もいない少女、揺篭みのる。プロゲーマーを目指す少女・四条と出会ったことで、彼女の世界は一変する。「対戦して勝つこと」を目指す格闘ゲームという世界の中で、「楽しむこと」「勝つこと」「負けること」様々な感情と向き合うみのる。「格ゲーって何が楽しいの?」そんな疑問を抱えながらも、彼女は今日も筐体の前へと足を運んでいく――。少女たちが織りなす青春格ゲー物語、堂々開幕!!
この作品、1話と2話が微妙だったのですが3話から面白くなりますね。
この作品は、格闘家の娘であるミノちゃんが、プロゲーマーを目指す女の子「四条ちゃん」と出会って格ゲーを始めるというお話です。主人公は、格闘家の娘ということで反応速度や動体視力、判断力に優れてはいるものの、格闘ゲームは完全に未経験です。そもそもゲーム自体あんまりやらないため「格ゲーって何?」「格ゲーって何が楽しいの?」ということがわかりません。
だからズバリその質問を四条ちゃんにぶつけます。。。すると意外な答えが。
「格ゲーって何が面白いの?」
「え……面白くはない……
私もみんなも、こんなことよくやってるなぁって思う……
負けたら悔しいけど、勝っても楽しくないときもある……」
「!?じゃあなんてやってるの……」「陸上選手に「走ってて面白い?」ってわざわざ聞く?」
「でも……面白くないならなんでやってるの?」
「……勝ちたいから。強くなりたいから」
「そういうものなのかな……四条ちゃん?……寝てる」
ああ、これはガチでやってるやつだ……。格闘ゲーというと、ゲームって名前がついてるから「楽しむ」ことが第一と思うかもしれないけれど、四条ちゃんはガチでスポーツと同じような競技としてとらえてるわけですね。確かにスポーツ競技についていちいちこういう聞き方しないですね。彼女にとってはつらくてもそれをやるのが当たり前、なわけです。
ここで難しいのが、じゃあこういう風に真剣に楽しさ抜きでやってる四条ちゃんが一番うまいのかというとそうではなく彼女より強い格ゲープレイヤーがいて、その女の子は真逆の考え方で、こちらは楽しむことが第一って考えてる。これって「帯をギュッとね!」とか「鉄風」でも出てきたテーマだけれど、本当に何が正解かってわからないですよね。結局大事なのは、他の人がどうかではなく、自分がどう感じるか、なんですよね。
自分が「こういう風にやりたい!」って思ったらそれが正しいと思います。
「で、ミノちゃんから見て、ミノちゃんとゲームしてる四条ちゃんはどんな風に見えた?
つまらなさそうだった?」
ミノちゃんは、四条ちゃんを横で見ていて、楽しそうだと思って格ゲーを始めることにしたのでした。尊い……。
百合マンガなのに、格ゲーへの取り組みがガチ過ぎてニヤニヤが止まらない
しかし、いざ始めてからがまた凄い。この作品で出てくる格ゲーは明らかに「鉄拳」をイメージしていると思われるのだけれど「フレーム」の概念の説明から始まって、「コンボ」「壁限定コンボ」「有利不利フレーム」「崩し」「スカ確」「暴れ」「崩拳ステップ(名前は違うけど)」「キャラ相性」「軸移動」などなど、作中で本当に基本からきちっと特訓して身につけていきます。ここらへんの描写を全く疎かにしていない。一切ごまかしがありません。(笑)
同じく格ゲーをテーマとするマンガに「ハイスコアガール」がありますが、あちらはわかりやすさ重視ですごく特徴的な部分しか説明しませんし、格ゲー以外のノスタルジーやラブコメ部分がメインですよね。一方この「いつかみのれば」は本当に現役最前線の格ゲーの描写を頑張ってる。頑張りまくっちゃってる。 リアリティにこだわる立場から「萌え」に対して「子供だましのものが多すぎる」と批判的なイメージを持っている人も、さすがにこの作品なら認めざるをえないのではないかと思う程です。 格ゲー好きの私としてはもう上のツイートにあるように「わかりみ(頷きたくなるポイント。この人わかってる!となぜか上から目線で言いたくなるオタク心をくすぐられるポイント)」が強くてたまらないです。
……しかし、一方で私は格ゲー大好きだからニヤニヤしながら読んでるわけですが、「これ格ゲー知らない人大丈夫?付いてこれてる!?」って心配になります。格ゲーって実際に自分でやればすぐに身体で覚えますし、せめて「動画」で見ればだいたいの雰囲気がつかめるものですが、はたしてこれマンガで、格ゲーやったことない人にどこまで伝わってるのだろう?
いや、もちろん自分に当てはめて考えたら問題ないってのは分かるんですよ?私は普段他の格闘やスポーツ漫画で描かれていることはほとんど「わかったつもり」程度であり、「こんなのあるんだ」と感じながら展開としては「どっちが有利」くらいわかっていれば問題ない。だからこの漫画も大丈夫ってのは分かります。しかし、なまじ自分がマンガで描かれてることが全部わかってしまう上、描写が本当にガチ過ぎて、つい心配になってしまうのです(笑)一つ一つ段階を踏んでゆっくりと体で覚えていくスポーツと違って、ゲームは「理解」さえできれば順番お構いなしに実行できるし、スピードがスポーツより早いので同じ感覚で進んだら読者付いてこれないんじゃないかとかね(笑)ついつい心配になってしまいます。
というわけで。
格ゲーやってる私がそんな心配をしちゃうくらい、真剣に格ゲーを描いちゃってるこの作品。「百合姫」で連載しているのに百合そっちのけで真剣に格ゲーやっちゃってるこの作品。私は大好きです。「百合」ってことは気にせずに「咲」のような「美少女熱血スポーツ漫画」と思って是非試しに読んでみてほしいです!
- 作者:西 あすか
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2018/01/18
- メディア: Kindle版
- 作者:西 あすか
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2017/05/18
- メディア: Kindle版
というか、格ゲー好きからしたらもう大満足なんですが、格ゲーあんまり知らない人の感想が知りたいです。是非だれか読んで感想を教えてください!
おまけ この漫画読んで久々に思い出したので張っておきます。(ぷよm@s)
この作品も「ガチ」です。アイドルマスターのキャラがわからなくても、ぷよぷよのルールくらいしかわからなくてもこの作品の「凄み」は伝わると思うのでご興味あれば是非。