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賭けグルイ9巻 「不公平感」をコントロールする「公共財ゲーム」がおもしろい

賭けグルイのゲームは、シンプルなルールでも「お金を賭けることで」とてもおもしろくなるというものが多いけれどこのゲームはその最たる例だと思う。

「公共財ゲーム」自体は、この漫画オリジナルではなく、「囚人ゲーム」と並んで有名な実験である。しかしこれを単なる実験「ギャンブル」として採用すると、「イカサマ」「共謀」が混じったなかなか愉快なゲームになる。今までのゲームで一番面白かった。

ゲーム名 個人的評価
投票じゃんけん
ダブル神経衰弱
生か死か
二枚インディアンポーカー
EPSゲーム
利きファン
選択ポーカー
扉の塔 ★★
指切りギロチン
ニム零式 ★★
公共財ゲーム ★★★

この漫画、とにかくゲームそのものがすごく面白いというわけじゃなく、ゲームに絡めた「BET」の部分がすごく面白い。
ストーリーがしっかりしてるのが素晴らしいなぁと思います。

http://www.momoti.com/blog/2006/09/post_163.html

公共財ゲームでは、おおよそ次のような結果が得られる。
毎回違うメンバーと10回繰り返しおこなうと、初回は平均して初期保有額の30~40%の貢献という協力行動が見られるが、協力の度合いは次第に減少して、10回目には10%にまで落ち込む。
同じメンバーでおこなう場合でも、最初は50%という大きな協力が見られるが、やはり協力は次第に減少し、最終回では15%まで減少する。つまり、協力関係というのはほっておけば低下する。

単に実験の結果だけならこれでもいいのだけれど賭けグルイは御存知の通りギャンブル漫画。単に実験通りの結果になっては意味がない。なので、これにルールを追加する。





・「具体的には、◯点以下の場合は親に、元金の数倍をペナルティとして支払う」
・「ゲーム中に得た金額ではなく、順位に寄って大きく報酬を変える」
・「過半数の同意で一人を追放できる」

というもの。 つまり協力してでも絶対に越えなければ行けない基準が設定されるし、ズルがバレたら、というより「一位であることがバレたら」即追放される。


この中に裏切り者が居る。約束の税金を納めず。あまつさえ嘘をつきしらばっくれているものが。
自分は真面目に納税したのに。こんなことが許されるのか?
その挙句負けるって? 裏切り者だけが得をして?

信じられない。許せない。
不公平を感じた時、人は隣人すら信じられなくなる。


不公平感。これぞ公共財ゲームの本質。

さあ、あなた達はこの不公平に向き合い、それでもなお、信じあうことができますか?

ちなみにこれはミスリード

その時限りの関係で、利害関係のつながりしか無い時に「信じる」という行為は無意味。しかもこのゲームは「囚人ゲーム」と違って相手が裏切ったかどうかは匿名だからわからない。そういう状況において信じることの大切さ」を説く人間はペテン師と思ったほうがいい。

今必要なのは決断なのに、不公平感に支配された彼らは、人を責めるばかりでそのことに気づかない。

LIAR GAME」も、結局のところ「助けた人間が後のゲームにも登場する」から意味が生じたのであって「負けた人間は全員消滅する」というルールだったら、あんなに上手くは行かなかっただろう。




なので、解決策は

不公平であること。互いは信用できないことを前提に。
手段を選ばず心を一つにすること。 これぞ公共財の真髄!

となる。

もちろん、ただそれだけで済むほどこのゲームは単純ではないけれど、そのあたりは実際に読んでみてもらいたい。


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今「コインチェック」でやってる相互監視状態を彷彿とさせる

インチェックやってる人たち、今必死で「もう大丈夫だ。みんな出金するなよ!」ってtwitterで励まし合ってますよね。全員が一斉に出金したら、コインチェックがいくら儲けていても破綻するからなんですが。でも、そういう発言をわざわざネットでしている人間に限って、真っ先に出金します。で、みんなそれが分かってて、ニコニコしながら前向きな言葉をかけあってる。そもそも仮想通貨やってる人たち、いざ下落相場入りになってからの言動が本当にYahoo板と同じになってたし、コインチェック事件が判明した翌日の彼らの言動は、本当に吐き気を催すレベルで醜かった。

一方、本当に上手い人はみんな黙って空売りで稼いでるんですよね。本当に地獄だなぁと思った。



リスクを取って「ギャンブル」をしている人間は、よほど強い人間でない限り一度はこの地獄を経験する

ちなみに、偉そうなことを言ってますが、私も投資始めたばかりの頃、「ゲーム株」相場や「そーせい」相場で全く同じことをやらかしてました。

会社のファンダメンタルのことなんてほとんどわかってないのに、周りの人がいいというからなんとなく持ってたらずっと上がり続け、だんだんその銘柄に惚れ込んでしまい、お金が増えていくと気が大きくなって、自分が惚れ込んでるものを批判する人間にマウンティングを仕掛けにいく。おごれる平氏ですね。あらゆることが自分のプラスにしか働かないと思うようになっていく。

ただ、そういうユーフォリアは久しからずでいつまでもは続かない。いざ下り坂が始まると、心の準備ができてないのにどんどん下がり始める。 急に不安になり、心の支えを求めて無理に前向きな言葉を連呼し、他人に自分と同じ意見を言わせようとする。そして、そのことをその時点での自分では絶対に受け止めきれない。だから、ますます他人に攻撃的になり、被害者意識や猜疑心を強め、周りの人間が逃げるのではないかという恐怖から監視し、ちょっとでもネガティブなことを言う人間に喧嘩を売りに行く。そうやって自分の不安から目をそらし続け、結局現実に負ける。不利な状況になったらさっさと負けを認めて利確すればプラスで追われたのに、結果としてマイナスになった時点で泣きながら逃げる。

もうその時の惨めさときたら、経験してない人間には絶対にわからないですよ。

自分の耐えきれないほどの浅はかさと醜さと心の弱さと向き合えるようになるまでかなり時間がかかります。人間の心というのは、簡単なきっかけがあればここまで弱くもろく醜くなれるしそのことを受け止めるのはかなり大変。そういう地獄のような期間を、今まで天国しか経験したことのない仮想通貨民のみなさんにも是非経験していただきたいと思う。

そして、できることなら、生き残って「あの時の自分は格好悪かったなぁ」と笑い話にしてほしいなと思う。