頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

最近のこのブログのお気に入りは「アークナイツ」です
アークナイツ
kindleセールの紹介
新NISA解説ブログ
発達障害

「ヒナまつり」の面白さってどのあたりにあるのだろうか

評価★★(個人的評価★★★★)
ケンカ売ってるように思われるかもしれないけど本当にこのマンガ何が面白いの?ってのは今だに謎だ。面白さがよくわからないので最新刊まで全部読んでいる。49話の「シングルファザーの弁当ブログ」の話は、新田の哀れすぎる姿に不謹慎だと思うけれど爆笑してしまった。*1

しかしいまだにこの作品の何が面白いのか、はよくわからない。よくわからないなりにこの作品について語ってみると、とにかく「徹底的にナンセンスを貫き」「延々とぼたんの掛け違えを描く」作品だとは思う。

面白さはよくわからないが、こういう「全然かみあってないけど、登場人物にいい人たちが多いから世界がなんとなくいい方向にまわっていく」ってお話は「いいひと。」のころから私の大好きな作品類型だ。

*2

意外と使い道が少ないサイコキネシス能力

まず主人公のヒナである。その気になれば簡単に人の首をねじきれるような出力と、精密な操作が可能を併せ持つ、超高性能なサイコキネシス能力を持っているのだが、そういう能力はまったくといってよいほど使わない。使うとしても「カンニング」とか「家事の手抜き」みたいな使い方しかしない。完全に宝の持ち腐れである。「サイコスタッフ」の梅子ちゃんが見たらブチぎれるだろう。*3

他の超能力者たちも、なぜか超能力をまったく使わず、地道な努力によって生きる場所を獲得しようとする。*4。みんな生き方がむちゃくちゃ地味である。
とにかく、能力者たちは折角の強い力をあまり有効に活用しようとはしていない。

超能力者の影響でひどい目にあいつつも人生謳歌してる組

次にヤクザである新田という人物だ。
もやたらと家庭的で几帳面な人間として振る舞い、偽装してまで周囲の住人といざこざを起こさないように気をつかっている。一方で、本人はケンカが弱いのに、なぜか超武闘派として認識され、かずかずの荒事に巻き込まれる。本人の優れた部分は、どうでもいい子供の世話などばかりが描かれほとんど作中では描かれない一方で、本人が苦手な部分ではやたらと評価されてしまうというギャグ展開。その演出に、さっきの超能力者たちが絡んでいる。 つまり「能力者たちが存在する」ことが世界にもたらす歪みは、新田という一人の人物の家計や人生がめちゃくちゃになるだけで吸収される構造になっている。アニメ第一話で新田がつぶやいている「俺って人知れず世界の平穏を守っているのかも」というのは、実は結構真実だったりする。

あ、もう一人人生ゆがんだキャラいるね。「普通の中学生」である三嶋瞳というキャラクターがいる。この人物はたまたまヒナと同級生であったことから接点を持ち、巻き込まれるような形で中学生なのにバーテンダーとして働くようになり、これをきっかけに能力を開花させ、「敏腕会社経営者」になってしまう。もっとも、瞳に関しては最初のきっかけ以外はほとんど本人の才覚であるが。この作品内では「超能力」よりも、彼女のセンスや学習能力などのほうがはるかに強力な存在として描かれている。

このヒナたち超能力者の存在によって人生が歪んだ二人が、ヒナに対してやたら辛らつなことをいったり、とある会社のコンペで対峙し、お互いに敬意を示しあうなど通じ合う姿は見ていて涙が出る。

超能力者たちという超常の存在が世界をゆがめるが、周りの人間がそのゆがみを吸収して世界を保つ物語としてみると面白いかもしれない(が今のところそういう作品ではない)

こういう志向を持つ作品に「アリスと蔵六」や「リクリエイターズ」という作品がある。「fate stay/night」も本来はそういう物語である。 これらの作品では、超能力を持つキャラクターたちは己の存在が世界を揺さぶり、ゆがめる存在であることを自覚しつつ目的のために行動する。

一方「ヒナまつり」は能力の使用を抑制したりしない。ヒナは特に目的を持たないし、他の超能力者たちは生活の糧を得るだけで必死でそういうことを考える余裕がない。ヒナは結構いい加減に使用する。ただ自分や身内のためにしか使わないが、自分のためだけに使うとなると、自分のためだけに能力を使うとなると大して使い道がない、ということだろうか。だからせいぜい新田がひどい目にあったり、学校で時々事件が起きる程度で収まっている。

13巻あたりからそういう要素がちょっと出てきたけど、こっちをまじめにやってもたぶんそれほど面白くはないだろう。




うん、やはりこうやって整理してみても何が面白いのか良くわからないな。

とにかく「ヒナまつり」はやることなすこと全てが「ナンセンス」なのである。

この作品にはツッコミ役が極端に不足しており、みんながみんながみんな徹底的にボケ倒す。あえていえば新田や三嶋瞳は多少突っ込みを入れることはあるが、彼や彼女もおかしいので、もはや読者でいる私もツッコミどころが多すぎてそのうち考えるのをやめてしまう。読み続けているうちに頭の中に「これでいいのだ」とバカボンのお父さんの声が聞こえてくるのである。これでいいのだ。

この状態になってしまうともう何もわからなくなる。

ただひとつわかることは、アンズはめちゃくちゃかわいいということだけです




ヒナまつりを読んだことがあるあなた。

どうかこの作品の面白さを私に教えてください。

それだけが、私の望みです……

*1:これたぶん新田じゃなくて母親だったら笑い事ではすまないんだろうな

*2:※「いいひと。」は私の中ではオールタイムでベスト3位のマンガ。このブログ読んでくださってる人なら絶対に好きだと思うので、未読の人がいたら絶対に読んでほしい。このマンガ就職活動のときに中古本で読んだのだけれど、この作品に出会ってなかったらたぶん私就職活動で挫折してたと思う。今でも自分の仕事観はこの作品に影響うけてるところある。

*3:最新刊ではヒナが変な知恵をつけてイリュージョンでこっそり楽して大金を稼いでいたりするが、それにしたって能力のことを考えたら全然たいしたことがない

*4:マオは超能力使っているが、これも使い方としては非効率だし、どちらかというとマオ自身が美人であることのほうがよほど重要である