本のタイトルだけ見ると恐ろしく意識が高いような本に見えますが、実際はとても地に足が付いた本だと思います。
僕らには僕らのペースがある。なんとか生き延びれば、希望は見えてくるはずです。
時間がかかることに怯えるのはやめましょう。ポジティブに諦めましょう。
この本は、その「発達」を少しだけ始めるための、強すぎない栄養剤と、多すぎない水であれたらとても幸いです。
世界のスピードはとても速く、僕たちの歩みは遅い。
しかし、他人の発達ばかり見ていては、自分の発達には決して気づけません。
(中略)少しずつ少しずつ楽になっていくと僕は信じています。あなたもできたら信じてほしいです。
本の内容については、twitterの方で書いたので、もう記事の方でごちゃごちゃ書きません。実際、殆どの内容はブログの方に書かれています。個々の内容を知りたいだけの人は、ブログ記事を読むだけでもいいでしょう。
じゃあ本を読む価値がないのかというとそんなこともありません。私はブログ記事の方もすべて読ませていただいていたので、本文については大体の内容は既読でしたが、「前書き」と「おわりに」で借金玉さんがどういう意図を持ってこの本を編んでいるのかを踏まえた上で読むとまた違った感覚ですっと頭に入ってきました。
そもそも、発達障害者は、やるべきことが頭でわかってるだけでは何の意味もない。それをどうやって形にしていくかが大事です。
というわけで借金玉さんの本読了。
— よしき@はてなブログ (@yoshiki_anime) 2018年5月27日
「ポジティブな諦め」という形で休憩ポイントを作り
自罰をやめて、希望を持って生きることを提案する本でした。
方法論については役に立つところも立たないところもありますが、
すべて著者の実践に基づいて語られており、
とても誠実な本だったと思います。
どういう考えて一つ一つのことに取り組んで行くか、その部分を受け取るには、やはり本で読んだほうが良いと思います。そういう意味で、ブログ記事を読んでいい内容があったな、と思った人にこそ、本で読むことをおすすめします。
今まで常に自分たちの敵であった時間を味方につける、という感覚について
ブログ記事ではなく本で読んだことによって一番印象に残った部分は「時間を味方につける」という考え方の部分です。
私は株式投資をやっているのですが、この本を読んでいると、なんだか長期投資家の本を読んだときと同じような感覚になったんですね。
・自分を信じるのではなくて、「仕組み」で対応しよう
・すごい人達たち(定型発達者)と張り合おうとするな。
・自分たちはどうしようもない弱者ではあるが、数少ない利点を潰さず、活かす方法を考えて戦おう。
・自分が爆死するポイントを押さえて一つ一つ対策していこう
・「休むべき時には意思を持って休むこと」こそがすべての戦略の基礎になる
・人生誰でも一度はどん底まで落ちる。その時にどうやって生き延びるかが大事。
・死なないことが第一。生きてる限り経験値もたまり成長できる。少しずつ楽になっていく。
どれも投資の本で読んだことがあります。
考えてみれば当たり前のことかもしれません。
生き続けることって自分に投資し続けることなわけですから
自分を大事にしようって本は当然通じるところも有るでしょう。
投資の世界も、仕事の世界も
「短期で儲けよう」「すぐに芽が出ないやつは見込みがない」という雰囲気がとっても強い。
短期間で急成長していく人がヒーローのように扱われる。
そして、そのペースについていけない人や落ちこぼれたやつには二度とチャンスがないってプレッシャーを感じる。
でも、そんな風に考える必要はないんないんだよ。
成長のペースはそれぞれで、人ごとに自分にあったスタイルが有るんだよ。
ヒーローにはなれないかもしれないけど、そのことをポジティブな意味で諦めて
自分なりの生き方を見つけ、自分を認めて生きていこうよ。
そうすることで、「将来は今よりもっと楽になっていくという希望を持ちながら」生きていこう。
って感じで語りかけてくるような本です。 そういう意味で、やたらと優しいですね。
この借金玉さんのアドバイスは真理だと思う。
実際に、投資の世界でも大きく成功している人は、長期投資家が多い。
それだけ「時間を味方につける」ってのは大きな力を持っているはずです。
長期的な視点と言っても無理だから、「ポジティブな諦め」を目指したい
その上でいいます。
頭ではわかっていても。
そしてこれだけ借金玉さんがわかりやすく書いてくれていても。
本で書かれている提案を実践するのは死ぬほど辛いです。
私はいくつかはブログ記事を読むまでもなくだいたい同じようなことをやってます。
でもコミュニケーションに関する部分などは、わかっていてもできてません。
ただでさえ、発達障害者は長く生きられない、生きるのがしんどいという感覚が強い。
そして、日本社会は年齢差別が顕著で、年をとるごとにチャンスはどんどん減っていく。
周りからのプレッシャーもどんどん厳しくなってきている
そういう中で、周りがどんどん先に行ってるのを見ながら、腐らずに、焦らずに、自分のペースを守るのは本当に難しい。
投資の世界でもみんな長期投資が大事ってわかってるはずなのに、それを実践できる人は1割にも満たないです。
理性でいくら思っても、それを信じて、いろんなルールを守って続けることは難しい。
だからこそ徹底して「ポジティブに諦める」ことが必要になります。
「これしかない」と自分に言い聞かせることができなければ、多分続けられない。
借金玉さんは、この本にかかれているようなことを実践するに至る境地に至るまでの経緯も書かれています。
そういうところもしっかり読んで、自分でよくよく考えて行きたいなと思います。
*1:まぁ投資の世界は純粋に数字の世界なので、こういう風に調子がいい時にイキってる人はショックが有るごとにかなりの数が死んでいくみたいですけど。社会ではそういう人が生き延びて、ゾンビのように会社を腐らせていくところがあって非常に面倒くさいことになってますが