「虐待の連鎖」についてデータを調べてたら出てきた本。臨床心理や心理学なんて嘘や間違いばっかりだゾって書いている。ちなみにタイトルからしてすでに嘘が混じっている(笑)
この本の『フロイト先生のウソ』っているタイトルは、日本の出版社がつけたウソのタイトルだ。原題が小さくLexikon der Psycho-Irrtuemerって書いてあるだろ。これはドイツ語さ。『心理学のウソ事典』っていうくらいの意味かな。並の出版社なら、ちょっと気を利かせたつもりで『間違いだらけの心理学』とでもするところだろうが、思い切って『フロイト先生のウソ』としたところはお見事だな。背景にはフロイトの写真まで入れちゃって・・・
http://www.avis.ne.jp/~uriuri/kaz/dohc/dohc0305.html
フロイト先生のウソ (文春文庫) | ||||
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でもまぁ、言われなくてもみんな知ってるよね、心理学系の実験にはいい加減なものもあるって。メラビアンの法則に心の底から納得してる人なんていないでしょ?あの数字が厳密に正しいと思ってる人がいたらむしろその方が怖い。
そして、実験がどうしても詰めきれないのは仕方がないこともみんなわかってる。人間を拘束して長期にわたる実験をしたり、不可逆的な影響を与えるようなことをしたら大問題になるから。仮説はいろいろ立てられるけど検証が十分できないから、仮説に沿った形の結果をひねり出すような実験になりやすい。後はそれを周りの人が納得してくれれば良い。 だから「十分なエビデンスがあるもの」というよりは「説得力のあるもの」が広がりやすい、と。そんな感じなんだろうな、と。結構いい加減なのだ。
そういうものについて、実証的な研究から否定されたり疑わしいと思うものについて容赦なく語っていく。ちなみにこの著者はこの著者で偏っているし、その実証的な研究についても上記で述べた限界があって完璧なものとは言い難いのでその点注意。
「ニセ科学」との接し方のヒントとしても面白い。
とはいえ。
「だからといって」心理学や臨床に全く意味がないわけではないところがポイント。「こんなものでは正しいとは言えない」ということは言えるけれど「間違っているとは言い切れない」ものもある。また、実際それがただのプラセボであっても良い効果が持たさられることもある。明らかに有害なもの以外は強く否定しにくい。
「マネジメント」を提唱したドラッカーも、自分の打ち立てた概念について、十分な実証を待つことは出来ない。とりあえず効くのだから使わないわけにはいかない、的なことを最初の章で書いている。アドラーもそうだけれど、「科学」としては弱くても使えるものがあることは間違いないのだ。
このあたり「ニセ科学」嫌いな人にぜひ読んでもらいたい。 どこからが「有害」になるのかという見極めはなかなか難しい。
個人的にな意見を言うと「ガン患者」に代替医療をすすめようとする行為は「有害」だと思う。すすめるひとは善意であってもそれに寄生して高額商品を売りつける商売をしている人がいる以上、関係者に多大な精神的・金銭的負担を強いるのであれは許しがたい。
ちなみにこの本はフロイト以外についてもいろいろ触れているんだけれど、フロイトだけはめっちゃ攻撃的に批判しており「マルクスよりさらに大きく持続的な損害を引き起こした」とまで言い切っている。割と過激なので、この本はこの本であまり信じすぎないほうが良いと思う。
ただ、通俗的に広まってる「説得力がある」心理学の話について、ちょっと待ったをかけてくれるという意味では今からでも読む価値は十分あると思います。
「虐待の連鎖」理論については「虐待を受けたにも関わらず虐待をしない7割の人」にこそ注目すべきなのは確かだよね
んで、本題の「虐待の連鎖」ですが。
このデータは本当に正しいのかという疑問は或るけれど、いちおうこういう研究結果があるそうで。
幼児期に虐待にあった子どもは自分が親になると虐待するようになる、という説は正確ではなく、そういう事例の内3分の1しか虐待が継承されなかった。虐待されなかった人でも虐待するケースがあることを考えると、虐待されたから虐待するという連鎖はそれほど多くない。虐待や家庭内不和、同性婚の家庭を経験していても将来真っ当に成長して暮らしているケースも珍しくない。
http://isshuu.blog.fc2.com/blog-entry-412.html
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h27honpen/b1_05_02.html
まぁ考えるべきは、「虐待を受けたにも関わらず虐待をしない7割の人」たちの方だよね。
ロバストネスとかレジリエンシー、コーピングの研究が生きてくるところなのかなと思います。
この記事も科学的には正しいとは言えないかもしれないけど、考え方は結構好き。
よく、「虐待は連鎖する」と言いますが、実は連鎖しているのは「虐待」ではなく「孤独」なのです。
https://plaza.rakuten.co.jp/moriheikou/diary/201208060000/