All communication is either a loving response or a cry for help.
「人間は、色々なことをしゃべりますけれど、本当は、二つのことしか言ってないんです。
一つは、
私は、ここにいます。
そして、もう一つは。
あなたが、そこにいてよかった」
「それだけですよ。でも、何度言っても、それを言い尽くせないから、みんな、しゃべるのをやめないんです」
だいたい、こんなお話。
君の膵臓をたべたい(上) (アクションコミックス(月刊アクション))
- 作者: 桐原いづみ,住野よる
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2017/02/10
- メディア: コミック
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君の膵臓をたべたい(下) (アクションコミックス(月刊アクション))
- 作者: 桐原いづみ,住野よる
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2017/06/20
- メディア: コミック
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今までに何度も何度も何度も何度も読んできたパターンの物語
世界は、差別をしないんだ
本当に何度も何度も見たことがあるストーリーだ。
新しさは「共病文庫」くらいだが別にここは私の中ではそんなに重要ではない。
イリヤの空 UFOの夏
Kanon
半分の月がのぼる空
銀色
加奈
ナルキッソス
(世界の中心で愛を叫ぶ)
そして明日の世界より
キラ☆キラ(瀬戸口廉也作品)
つめたいオゾン(瀬戸口廉也作品)
穢翼のユースティア
四月は君の嘘
彼女が死ぬ話
他にもいろいろいろいろ。
そういう類のもの。
何度も飽きるほど読んできたパターン。
これだけ同じパターンの話を読んでたら飽きてもおかしくないはずなのだけれど
実際、さくさく読み進めてしまったのだけれど。
それでも、今回もやはり面白かった。
泣きたいような気持ちには全くならなかったけど、
二人の会話はとても面白かった。
生きるってのはね。
きっと、誰かと心を通わせること。
そのものを指して、生きるって呼ぶんだよ。
誰かを認める
誰かを好きになる
誰かを嫌いになる
誰かと一緒にいて楽しい
誰かと一緒にいたらうっとうしい誰かと手をつなぐ
誰かとハグする
誰かとすれ違うそれが、生きる。
自分たった一人じゃ、自分がいるってわからない。
誰かを好きなのに誰かを嫌いな私
誰かと一緒にいて楽しいのに
誰かと一緒にいてうっとうしいと思う私。そういう人と私の関係が、
「他の人じゃない私」が生きてるってことだと思う。
私の心があるのは皆がいるから。
私の体があるのはみんなが触ってくれるから。そうして形成された私は、今生きてる。
まだ、ここに生きてるだから人が生きてることには意味があるんだよ。
自分で選んで、君も私も、今ここで生きてるみたいに
なので、大事なのはストーリーじゃなくてその語り方、描き方なんだなって思わされる。
それにしても、この作品は今まで読んできた似たようなストーリーの中で、最も「わかりやすい」お話だった。
読者がどう感じるべきか全部丁寧に説明してくれていて、なんだかまるで問題を解いて答え合わせをしているような感覚だった。
とても丁寧に、きれいに組み合わされた「作品」という感じ。
こんなに広いのに、その隅々までほんの少しの狂いもなく完全に行き届いているって、そんなこと、本当にあるんだろうか? もしそれが本当だとしたら、僕も完全に行き届いているのだろうか? 心も体も、それをつくる何もかもが正確に動作しているのだろうか?
・・・・・・いっそのこと、何もかも全ての境界が壊れてなくなってしまえばいいのに。そしてこのあまりにも公平な現実世界を、少し歪めて欲しい。
私の最近の好みは、もっとこうあがいて予定調和を壊していく作品なのだけれど、
人によって、読むタイミング次第では、ものすごく人生にズシっと刺さる作品だと思う。