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「まんがでわかる 絶対成功!ホリエモン式飲食店経営」

とある魔理沙アイコンの人からお薦めされたので読んでみました。先に言っておくと、私はこの手の話はかなり好きなのでちょっと評価甘めかもしれないことはご了承ください。

読んでみた感想ですが、「マンガでわかる系」の作品の中では確かにしっかりした内容だとは思うので、以下で書くような前提を理解した上で興味がある人はぜひ読んでみてください。

読むと余計に「個人で飲食店の経営するの厳しすぎる……」って思ってしまいました

定年退職後に脱サラして喫茶店を始めた主人と新人コンサルさんが協力して小さな店舗を成功させてい往くという話なのですが、実際にかなりうまくやっている。ぶっちゃけご都合主義かとおもうくらいうまくいっている。

しかし、だからこそ「個人で飲食店の経営するの厳しすぎる……」って思ってしまいます。

「この本で語られているような内容を、システム化してきちんとやっているのがチェーン店」なんですよね。どちらかというと、これをやれば成功できるというよりは「君たちが戦おうとしているチェーン店はこのくらいのことをきちんとやってて、さらに商品開発力や資金力で上回っている」んだよ、という厳しい現実を突き付ける内容になっています。

実際、いろんなテコ入れで主人公の店はうまくいきますが、やはり家族(店長の配偶者)が参加して人件費を浮かせないと回せない、という結論で落ち着いていますし、後述しますが店のコンセプトはともかくとして、オペレーションや商品力についてはかなり厳しいと感じます。

他の「マンガでわかる」系のビジネス書と違ってリアル寄りにしているせいで、逆に細かいところが気になる内容でした。(それだけしっかり描けている、ということなのですが)


読む前の前提さえ間違ってなければストーリーは納得度が高くて面白いです

ところで、この本の原作は「自分で一からやろうとするんじゃなくて、せっかくうまく回ってるけど、後継者問題とかで店じまいしそうになってる会社を買って経営しよう」というお話なんです。そのために経営の知識の基礎だけ身に着けようというコンセプトなんですね。

この前提をおさえたうえで読むと、この作品は悪くないです。

(1)既に「良い商品を作る」というハードルを越えたところからスタートして、

(2)そこからFL比率や減価償却といった課題を意識しながら「経費削減」や「効率化」「店舗以外での商品の提供」を行ったうえで

(3)「集客」「新規開拓」「セミナーの開催→メディア展開」を行うことでお店を繁盛させていきます。(なぜか常連の客が大口の顧客になってくれたり、バイト二人がフォロワー数1万以上のインスタグラマーな上に、店長に協力してくれるという展開はラノベっぽくて面白いです。)

という流れが非常にきれいにできていて、ひとつ前の記事で紹介した「ブランド人になれ!」の漫画と比べたらはるかに納得度の高いお話として楽しめました。


当たり前ですが、まず(1)ができてなければその他の部分はすべて空論です。この本はその部分については「そのあたりはしっかりできてる会社を見つけて買うんだから要らない」と切り捨ててるわけですね。この本はそういう目的の本だということをちゃんと理解した上で読むなら良い本だと思います。

「そこそこ評判だが傾きかけている飲食店」とか「好条件に恵まれていて成り立っているけどテコ入れすればもっと良くなるかもしれない飲食店」を買収して経営するならこの本を読めば得るものは大きいと思います。

ですが、多くの人は「まず商品づくり」からスタートするはずですから、そのハードルを越えられてない人は、悪いこと言わないから普通に飲食店で務めて自分なりに研究するとかそういう(1)の段階をきっちりやったほうが良いと思います。id:TM2501さんはそのあたりについてご自身の「ブログ指導」の経験をもとに、うまくいく人、行かない人の違いを説明されているのがなかなか面白かったです。

Amazonの感想を見ると、そのあたりわかってなさそうな感想が多くて少し心配です。



「プロダクトアウト VS マーケットイン」の部分はちょっと卑怯だと思う

この本、やたらと「プロダクトアウト VS マーケットイン」の構図にもっていって、マーケットインが大事だってコンセプトを推してくるんですね。

確かにマーケットインの考え方は大事だとは思うのですが、上でも書いた通りこの話は(1)の部分をスキップできるから「プロダクトアウト」の部分をあまり考えなくていいだけなんですよ。

実際には、飲食店の場合、これをずっと続けていくためには「商品を継続的に開発し続ける力」が必要で、その際にも原価の考え方が非常に重要になります。

この作品ではそのあたりを徹底的に避けていて、結局「食品はカレーライス単品に絞る」「なぜかそのカレーライスは絶品でホリエモンも賞賛」という展開にしていて、そこはちょっと微妙かなと感じました。

このあたりの部分をカバーしたい人は以下の本や、「ラーメン発見伝・才遊記」なんかを併せて読むといいかなと思います。


正直、今不足しているのはマーケットインのほうではなくてプロダクトアウトのほうだと思っています。

マーケットインの方法であれば、それこそこんな感じで個人でも実践できる。
それについては正解もある。正解があるってことはあんまり多様性が似合ってことでもあると思います。
note.mu

でもプロダクトアウトには正解がないからこそ多様性もある。そっちの話をもっと読んでみたいなぁと思います。



おまけ  「店舗運営を経験・失敗」できる場や、逆に飲食店のクラウドファンディングはもっと盛んになってほしい

飲食店の経営が厳しいのはご存知の通り「参入障壁が非常に低い」代わりに競争が非常に激しいからです。うまくいっても、店のコンセプトなどは特許のようなもので守られないので資本のある大手企業にパクられてしまいます。そうなると結局「集客力」「持久力」勝負になってしまいがち。その中で成り立つためには、「数字」で考えて「経営」ができることが必要になります。

このあたりができてない場合債務超過になるか、無理してそれでも生き残ろうとすると「ゾンビ化=ブラック化」します。ちゃんと金を回せる計画を建てずに店を始めるような会社が生き残るのは社会にとってあまり良いことではない。

なので、フリースペースをもう少し発展させて「2~3か月に期間を絞って店舗運営にチャレンジできる」みたいなスペースだとか、受注ありきでスタートできるクラウドファンディングはもっと盛んになってほしいと思ったりします。

例えば私はお魚ではサバが好きなのですが、最近になって店舗運営が軌道に乗り出したSABARが本当に好きです。

こういうコンセプトで攻められる店が今後は強いんじゃないかなと思いますし、そういう意味でも、むしろ個人店は「マーケットインはできて当たり前」であって「むしろその先にどれだけプロダクトアウト(イノベーション)を訴えられるか」だと思っています。

https://www.makuake.com/project/sabar/
https://www.securite.jp/fund/detail/3140
https://www.securite.jp/fund/detail/3141

https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16nv/071200010/
https://diamond.jp/articles/-/135881

(私は他にもスイーツ系やお酒系でクラウドファンディングに何件か出資してます。これらもうまくいったらまた紹介したいと思いますのでお楽しみに―)


長くなりそうなので、プロダクトアウトとマーケットインの話は記事を分けて書きます。

おまけ2 この手の話好きな人はとにかう「羽月莉音の帝国」読んで―

この手の作品が好きな人ならノンストップで全巻よめるくらい面白いですよ。