この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです

ZOZOのガバナンス意識が「一度は時価総額1兆円を越えた企業」とは思えないほどガバガバに見える

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ガバナンスというよりは市場との対話なのでスチュワードシップと呼ぶべきかもしれませんが、どちらにせよ思った以上に問題がある企業だなという印象です。少なくとも、私はもう「田端さんの態度が悪いだけで前澤さんはいい人だ」みたいに素直に思うことは不可能ですというか田端さんむしろ真面目に頑張ってる方だと思えてしまうくらいに全体がやばい



ここ数日、ZOZOをめぐる魑魅魍魎の戦いが繰り広げられる





twitter発言に限らず社長に対する会社側からのコントロールが全く機能していないように見えるんですが大丈夫ですか?

それのそのはずで、ZOZOTOWN自体はいまでも絶好調なのだけれど(実際直近の決算ではしっかり業績回復しています)社長である前澤さんの資産状況が問題なんですね。


このせいで絶好の売りターゲットにされているようです。

kabu-press.com

2月に2度追加で担保提供しているということは、10月に借りたお金返さずにそのままの状態と想像できます。返せるようなら、先に返して追加担保入れません。

更に株価が下落して2月の安値を更新するとなると、また追加担保を入れる必要が迫られます。そして追加の担保が入れられないと、株式を債権者が差し押さえ→強制処分、となる可能性が高いです。強制処分=市場売却となった場合、株価に対する負のインパクトは非常に大きいと想像できます。

前澤社長は保有株を現金にするために銀行に対して自社株を担保として差し入れているのですが、株価が下落したせいで担保不足になりナンピン差し入れする、という意味不明な状況になっています。今の株価ですでに資金の9割が拘束され、含み損(担保価値に対して)が発生している状況でナンピンって……なんで自分の会社で、しかも自分が筆頭株主なのに資金管理がへたくそな投資家みたいなことになってるんですか……

大口投資家が投資判断の引き下げを行っている原因は明らかにこの社長の行動だと思います。実際これさえなければとっくに株価は反発していてもおかしくないのですが。


過去にやらかした事例で有名なのは倒産したインデックスの落合社長ですね。
nikkei225kuroiwa.blog.fc2.com



現在圧倒的な売り長状況であり、一度は空売りの買い戻しが始まったかと思われたのですが、つい最近ネットで有名な煽り屋のイナゴが大量に飛びついたため、貸借が悪化。

もしここで日経平均が暴落するような事態が起きれば、余波を受けて本当に担保割れという悲劇に陥るかもしれません。


社長が保有株を銀行に担保として差し入れるのは普通にあることですし社長が豪遊しているとしても、それが経営に関係ない影響を与えない余裕資金の範囲なら何の問題もないことではあるんですが、それにしても前澤さんはやりすぎなように見えます。さすがにここまで株主に迷惑をかけるというのは「上場企業としては」大問題だと思います。(非上場企業ならよくあること) 一部上場企業なら普通はさすがにここまでリスクが発生するほど社長に好き勝手させないのですが、時価総額1兆円企業にも拘わらず、まるでマザーズに新規上場したばかりのような状態。完全にワンマン企業であり、取締役会等でも社長を全くコントロールできてない状況なのかなと思ってしまいます。 


前澤さんがやってることは全然違法ではないし、SO発行に関しては株主総会でも承認決議されている内容なので、役員だけの問題ではないのですが、それにしてももはやここまでくると「大王製紙」「日本和装」といった過去の事例を思い出してしまいます。ちょっとイケイケすぎたかなって感じですね。

ZOZOは監査役設置会社なんですけどね…… 
→(報告書)https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2019/01/Governance_20181214.pdf

kabumatome.doorblog.jp



前澤さんの保有株の現金化のために会社の自己資本比率を毀損し、株主に対してもリスクを負わせる状態まで招いている

ZOZOは無借金経営だったのに

①前澤さんの持ち株の現金化のために(月にいく費用の250億円を調達するため)
わざわざ会社が銀行から借り入れを行って
③「立会外で」自社株買いを実行したことによって(前澤さん以外にほとんど恩恵がない形での自社株買い)
④しかも自社株買い実施したところが株価のピークだったため、会社=株主に高値掴みで損をさせる形になり
⑤その結果、いきなり会社の財務状況がいきなり大きく悪化してしまった


この件については、前々から投資家がかなり不信感を示していました。当時利益相反取引に当たるのではないかと怒っている人すらいましたし、メディアでも2018年10月頃にこの行動を批判する記事が上がっていますし、1月の時点で書かれたこの記事ではかなり直接的に「前澤さんは会社を自分の集金装置として利用しているのではないか」と強めの言葉で指摘しています。
note.mu

ゾゾの前澤社長のスタイルは、メルカリとは真逆で、前澤社長自身が大半の既得権益を独占し、そしてその権益は新しく会社に入ってきた社員にも長く在籍している人にも一切分け与えない、という風に表現することもできます

会社としてはプライベートブランド事業で半年で70億円の損失を抱えましたが、これは会社の損失です。その損失を利用して、前澤社長は個人として、230億円の売却益を得ることができました。単純に株を保持している株主としてだけでなく、執行の最高責任者である前澤社長が、会社の株価上昇を企図し、実現できるかどうかわからない、そもそもどこまでやりきるつもりだったか怪しいビジョンを掲げ、首尾よく株価が上がったタイミングで私的財産である株式を会社に買わせる。一通りお金になったら、掲げていたビジョンを突如変更し、事業から撤退する。私的な資産構築のために会社を利用した、と捉えられてもおかしくは無いと思います。(中略)ビジネススーツの配送遅延など、基礎的なPoCも取り組んでない状態で製品化をしたこと一つとっても、良いサービスをユーザーに届けることよりも、株価対策としてアドバルーンを適切なタイミングで上げる事しか興味がなかったのでは無いかと思います。

https://note.mu/iloveoldeconomy/n/n89325b5c92ae

雑に言うと、株を会社に高値で売りつけ、会社から大量のストックオプションを付与することで安価に株を手に入れる、そんな振る舞いを前澤社長は行っている事になります。その代償として会社のバランスシートは大きく毀損しています。会社の社長であり、かつ筆頭株主である事を最大限活かして、所有と執行の両面で会社を利用して錬金術とも捉えられるべき行動を行っている、ともいえます。(中略)色々捉え方、視点はあると思いますが、個人的には前澤社長が会社を私物化して、会社を集金装置としている、と断じても間違いではないと思っています

私としてはさすがに言い過ぎかなとは思いますが、そういわれてもおかしくないくらいに「ZOZO」ブランドに対する会社の計画の大風呂敷ぶりや、実行の杜撰さ、節操のない方向転換の乱発などと前澤さんの豪快すぎる現金化ぶりを見ているとこう邪推したくなる気持ちもわかります。現時点では、真意がどうあれ顧客・株主といったものをかなり徹底的にコケにする立ち回りになってしまっています。

これに対して会社は「本当はPB事業が上手くいって株価もっと上がるつもりだったから売り抜けではない」と回答しており、実際に嘘ではないとは信じたいし当時の株主もそう思っていたでしょう。とはいえ、2か月後に決算下方修正しているので、当時からすでに経営陣はPB事業が厳しいことはわかっていたはずです。タイミングはとても悪く株主軽視であることは間違いありません。


「このZOZO事業について、経営陣はどのくらい本気なんですか?」は厳しく問われることになるでしょう。


ZOZO失墜は本当か?「前澤商法」の限界を読み解く | 週刊ダイヤモンド特集セレクション | ダイヤモンド・オンライン

前澤氏自らアイコンとなり、自身のツイッターや、周到に練られたメディアへの露出戦略によって、盛んにプロモーションが打たれたPB事業だったが、1年目の売上高目標200億円に対して、第3四半期での実績は22.6億円。通期でも30億円にとどまる見通しだ。これにより、PB事業で125億円の赤字を計上し、通期連結業績が減益となる見通しを発表する事態となった。中計の2、3年目の目標についても、修正は必至とみられている。

もちろん、創業者が自社の株式を手放して現金化するそのこと自体が問題だとは言わない。しかし肝心の株価は、PB事業の先行きが危ぶまれた秋ごろからじりじりと下降。中計の未達が公表された1月末以降は2000円台を下回り、3月上旬でも2000円台前半だ。要は、ZOZOが前澤氏個人から自社株を高値つかみで取得した形だが、財務戦略として適切だったのか。柳澤孝旨副社長兼CFOは本誌の取材に「中計発表時は、PB事業の売上高が計画通り増えると想定していたし、自社株買いをしても、将来的に株価は当然上昇すると考えていた」と説明した。

前澤氏が2月22日に提出した大量保有報告書の変更報告書によると、個人で所有する株式の実に9割を銀行に担保として差し出している。担保価値は3月11日の終値ベースで、2259億円となる。一連のZOZOの決定や前澤氏個人の振る舞いに対する市場関係者の視線には、非常に厳しいものがある。

元々事業規模の割に純資産が少ない状況(PBRが鬼のように高く、前年度は一時PERを上回るほど)でこういう「明らかに前澤さんの為だけの自社株買い」を実施してしまったので、ものすごい利益を出しているはずなのに会社が自由に使えるキャッシュが少なくなっており、起死回生の策を行いにくくなっています



これ以上ナンピンもできないので、絵画などを売りに出さざるを得ない状況になっているのではないかともいわれています。
kabumatome.doorblog.jp




前澤さん、田端さん以外のガバナンス意識もガバガバなのでは?という指摘が……

さらに、ZOZOといえば田端さんがよく問題視されていますが、先日の執行役員へのインタビューから、前澤さんや田端さんだけではなく全体的にガバガバなのではないか、という指摘が出てくる状態になってしまいました。


ダイヤモンドのインタビューなんですが、かなり厳しい内容になっています。


①18年4月に発表された中期経営計画(P.2の図参照)では、19年3月期以降、PBの売上高が毎年200億円、800億円、2000億円と大幅に増えていく計画でした。根拠は十分でしたか。



②18年4月の中計発表の時点で、旧ZOZOSUITを配布したユーザーのうち、60%の客が計測し、そのうち50%が一人当たり2.5点、7500円分のPB商品を購入している。ZOZOSUITを600万~1000万枚配布すれば、単純計算で180万~300万人が購入し、その金額は合計135億~225億円になる、と前澤社長は説明していました。根拠となった計測や購入の率は、旧ZOZOSUITを配布されたユーザーのものですね。



③わずかな配布枚数に基づく計算で、取締役会では、「この計画では危ない」という議論にはならなかったのですか?



④議論の中身はどうでしたか。旧ZOZOSUITの配布枚数は何着だったんですか?



⑤少ない配布枚数で、計測と購入の率から配布枚数の分だけ倍して中期経営計画の数字を作る、ということの危うさについては、取締役会でどのような議論をしたのですか。



⑥後からだから言える、という面もありますが、懸念する声もありながら、なぜこの計画でゴーサインが出たのでしょうか。



⑦既存のアパレル企業においては、売上高100億円のブランドでも巨大だと言われるほどです。みなさんとは物差しが違うのかもしれませんけど、3年で2000億円のブランドをつくっちゃうというのは、あり得ないということになるのですよ。

https://diamond.jp/articles/-/197242?page=5

これ要するに、「お前らの発表した計画、予想外のことが起きたにしてもずさんすぎた(計画の2割しか達成できてない)んだけど、上場企業としてどうなの? お前らの今後の計画や未来予測はどのくらい信頼できるものなの?」ってかなり厳しめのことを言ってるわけですね。




対して、ZOZOの技術部門(ZOZOテクノロジーズ)のトップがこう回答してしまっている。

いやいや、ZOZOSUITがすごく人気ですと。注文数は過去最大ですと。ZOZOSUITはタダ(無料)で、それを着て、家でグルって回って計測するじゃないですか。それで、最後には自分にぴったりのTシャツ、ぴったりのデニムが買える。アカウントを持っていれば、買い物かごに入れて、試してみたいと思うでしょ? それがこの中期なんですよ。これをリスク分解したって、全てはやってみるまでわからないものばかりになります。もし、2人に1人が着てくれなくても、宣伝にはなる。ZOZOTOWNも新規ユーザーを獲得できる。そういうデータをすべて合理的に並べて、チャレンジする価値はあるんじゃないか、前向きにやってみようというふうになったんですね。他にどういう判断ができましたか? 逆に言うと。


ついでに田端さんも回答しているのですが、こういう内容。

(同席した田端信太郎コミュニケーションデザイン室長)ちょっと一般論で言わせてもらうと、ちょうど私が入社する前にZOZOSUITの原型を見せてもらったんですが、うまくいく保証はないけど、面白いなとは思った。でも、同じようなことは、米国のシアトルの某社など世界中の会社が考えていた。中途半端にだらだらやらず、ここで一気に走り抜けないと、マーケットを獲るため、逆算してこれぐらいのロットで配らないといけないという危機感の一方、それでアマゾンドットコムに対して勝ち筋が見えた、と思った面はあったと思います

利害関係のない人ならまぁ面白いなとは思うんですが、こんな感じで「自分たちの願望とか思い込みでした」って堂々と語られても投資家としては「は?」ってなります。





んで、極めつけがこれ。

「一気に走り抜ける必要があったというのは理解します。しかし、中期経営計画はある種、マーケットとの約束ですから、ここでこれだけの数字をうたっていたことは適切だったのでしょうか?

(伊藤)もう明らかに下方修正してるじゃないですか。

「今はね」

(伊藤?)適切ではなかったと思います。

多分厳しい問いかけでイラっとしていたとは思うんですが
「あまりに大きな経営計画の数字を立てて、そのプロセスもずさんで、結果として大幅な下方修正をした」という状況に対して

「下方修正したじゃないですか」はお話にならないのでこれはちょっとまずい。

これについて田端さんからのフォローは特にないみたいです。仕事しろ。

(本当にフォローがなかったのか、それとも田端さんはフォローをしたけどダイヤモンドがカットしたのかはわかりませんが)





ZOZOは思っている以上に厳しい状況かもしれない上に、社長の「月旅行」へのこだわりが続く限り、さらなるキャッシュ流出のリスクも

経営にいろんな課題がある状況で、上述のように前澤さんは個人の都合で自己保有株の現金化のために会社の資産を250億以上毀損してしまい、そのせいで今大胆な手を打てない状況を作ってしまっている。

会社のBSをみるとすでに現金は、年間の販管費の半分くらいしかない。単純計算すると現金回収が半年滞ったら資金ショートになる状況です。とてもじゃないけど赤字覚悟で思い切った投資をする余裕なんてありません。自社株買いさえしなければこうはならなかったのに。万が一のときの社長の株券も全部すでに担保に入ってしまってます。毎年200億の利益を上げていたのにBSが極めて脆弱。しかも今から損切りや先行投資が必要なステージ。



そりゃ確かにお前ら「大丈夫か?」ってなってしまいますよね。こういう状況でこそ田端さんや前澤さんがしっかり市場に向けてメッセージを出すべきなのに。田端さんも「ブランド人になれ!」とか言ったり田端大学とかやってる場合じゃない。


世間のイケイケイメージほど余裕ないんじゃないでしょうか。




今まで圧倒的な成長性(以前にも書きましたが、業種が違うとはいえRIZAPが無理をして達成していた以上のROEを達成していたのだから本当にすごい)の陰に隠れていていままではあまり指摘されていませんでしたが、成長に陰りがみえた段階で、様々な問題も出てきている状況のため、そろそろイケイケなノリだけではなく、役員の意識も含めて締めるべきところは締めていく時期なのかもしれません。



asagei.biz

心配になるのが前澤氏が2023年に予定している〝月旅行〟だ。昨年、前澤氏は使用する宇宙船の全9席、すべて予約している。

「すでに前澤氏は100億円以上の手付金を支払ったといいます。総額700億~1000億円かかるといわれ、残りは安く見積もっても600億円。このまま本業の業績が低迷し、私財を注ぎ込むとなれば、月旅行の残額支払いも相当苦しくなるはずです」(前出・週刊誌記者)

月旅行まで、あと4年。本業で腕の見せどころだ。

さすがにこれは下世話だと思うのですが、とにかく本業の立て直しをしっかりやってほしいなと思います。社長が月旅行にこだわったためにこれほどまでに順調だった会社ごとダメになった、とか本当に笑えないです。 上でも述べましたが、会社が順調に言っていて、その余裕資金で社長がなにやってもいいと思いますが、社長のプライベートへのこだわりで、1億株以上発行している会社をつぶすというのであれば、それは大問題だと思いますので。




おまけ ZOZOの今後の経営課題について触れられている記事

最後にZOZOの経営課題および今後の懸念事項について書いている記事を紹介しておきます。

当面は「役員のガバガバガバナンス」「人材」「運送費」であり、長期的には「知名度だけに頼らないサービスの利便性」だそうです。

ZOZOの現状は持続可能な収益構造ではないと考えざるを得ません。

このあたりでコストアップを覚悟したり、かなり積極的な投資をしないといけない状況なわけですね。
ECサイトにおいて、ZOZOの自己資本比率は低下したけどAmazonと同じくらいだから問題ないって言ってる人いますが

Amazonは必要な投資を完了した状態での自己資本比率ですがZOZOは本当にこれからです。そこが心配です。

shogyokai.jp
また、ZOZOタウンは現在は知名度が圧倒的なため敵なしの状態ですが、「次世代のECプラットフォーム」としては力不足であり、だからこそ力のあるブランドが離脱している現状があります。

上の役員たちのやりとりを見ている限り、それに対応できるかどうかが不安になります。

良くも悪くも前澤さんはとても合理的というか効率厨のように思えますが、今は効率を犠牲にして、立ち止まってでも基盤を固めることが必要な時期になります。性格的にそういう守りを嫌がって攻め一辺倒になり、従業員へのコストを削ったりシステムの根本的な更新をケチるようだと「ワタミ化」「サービスの陳腐化」などのリスクもあります。そうならないでほしい。


なんだかんだいって、こんなに面白い企業はめったにないので応援してます。