この夜が明けるまであと百万の祈り

発達障害者としての生き方によく悩んでます。いろいろあって今現在は教育系の出版社でつとめてます。普段は自分が好きなマンガの話してます

「八月のシンデレラナイン」のアニメは、作画は怪しいけど「女の子が野球をやること」をきっちり描いてると思うからぜひ観てほしい

「①野球部がない学校にリトルリーグでレギュラーだった女の子がやってきて②女の子たちで野球部を一から作って盛り上げていく」というストーリー。主人公は、男女混合のリトルリーグで活躍していた選手であるという設定からもあだち充の「H2」とか、「Maple Colors」が好きな人は懐かしさを覚えるのじゃないかな。

どうでもいいけどニコニコで見てたら「早くドラッカー読めよ」っていうコメント流れるの笑ったwww もしドラ is still alive!


原作のソシャゲーはゲーム部分がクソだったけど、ストーリーは良かったらしい

原作は「アカツキ」(ドッカンバトルやロマンシングサガリユニバースなどを制作)が制作したソシャゲー。私は実際にインストールしてプレイしてみたんだけど、絵はかわいいが個人的にはめっちゃくちゃつまらなくて即アンインストールしてしまいました。なのでアニメの方にもあまり期待してなかったし、1話の時点ですでに予算きつそうだなぁと思うシーンも多数あってこの先が心配になるところもあります。

しかし、原作プレイヤーの方曰く、ゲーム部分がクソなのは否定しないがストーリーはもともとよかったそうです。

さらに、この動画によると、アニメは原作から脚本が大きく改変されていてさらにブラッシュアップされてるみたいです。


今のところ、私はかなり好きです。



女の子が野球をやることって、思った以上に明確な動機が必要で、その動機をしっかり描いてる

最初は「ラブライブ」みたいなほのか無双をやるのかなと思ってたんですが、

唯一の野球経験者である有原は、メンバー集めこそ頑張るけど、野球の練習ではそんなに目立ちません。有原がカリスマで周りを引っ張ったり、野球の面白さを暑苦しく語ることもない。(原作では主人公ではなく、あくまでヒロインの一人なんだそうです)

序盤はテンポのこともあるし多少は強引に引っ張っていく展開をやっても良いと思うのですが、この作品はその手法に頼らず、有原以外の周りの女の子が野球を好きになっていく動機を丁寧に描いています。

「ラブライブ!」や「もしドラ」みたいにとんとん拍子に成長・成功していくんじゃなくて、本当に有原以外の女の子がみんなちゃんとド素人でちゃんとドへたくそ、っていうところから描いているのが良い。



とにかく有原以外の女の子は野球全く経験がなかったり、全然身体能力が高くない。

男は適当にやってもある程度形になって、ある程度の「楽しさ」を得られるが
この作品で登場する女の子たちにとってはまずその「ある程度の形」になるという壁が結構高い。



①野球未経験者でもほかのスポーツをやっていた女の子はすぐコツをつかむので、「ほかのスポーツではなくなぜ野球を」という部分を描けばいいけれど

②スポーツそのものをやっておらず身長も小さな女の子は玉を投げて相手に届かせるまでがかなり困難だ。「やっぱり私には無理だ」となりそうなところで、どうやってモチベーションを上げていくのかを描く必要がある。

③さらに、これは野球ものの定番だが、子供のころは男と一緒に野球をやっていたが、途中で一度自分には才能がないと打ちのめされて、プレイをするのをあきらめてしまっている女の子も登場する。そういう子が、改めて野球とかかわろうとするときの葛藤をどう乗り越えていくのか。


こんな感じで、すでに「男が野球をやる」作品には名作がたくさんあるけれど、「女の子が野球をやる」という題材に対して、まっすぐに向き合ってる感じがする気がする。



ちゃんと「ストレス展開を乗り越えるからこその成長」という展開を描くのは今のご時勢のニーズには反しているのかもしれないけれど、かわいい女の子がキャッキャウフフするのを楽しむだけのアニメだけではない。(私は可愛い女の子がキャッキャウフフしてる作品大好きですけどね)

このテーマにしては女性キャラの声優さんが萌え声ばっかりで落ち着きないのが気になるけどそこさえ気にしなければ、ストーリーは本当に王道を丁寧に描いていると思うので、とてもお勧めしたい。



ストーリーもそうだけど、特にいいなと思うのが脚本。細かい会話とか動きで、そのキャラクターがどういう特性を持っているのかを説明するのがめっちゃくちゃうまい
tyoshiki.hatenadiary.com
私、この本読んでからニワカながらに脚本の力ってのを認識しつつあるんだけど、この作品本当に細かいシーンの描写が一つ一つとってもうまいと思う。全体的なストーリーラインも、それを一つ一つの場面に落とし込む脚本も、どっちもレベル高いと思うんですよ

これで作画を中心に「アニメ」としてもっと面白ければ、普通にゾンビランドサガ並みの評価得られる可能性も微レ存なのだが……。


余談 「全く野球やったことない、運動も下手な女の子がやきうに挑戦する」ってのは家事全くやったことない男が家事やら裁縫やらに挑戦するみたいなものかもしれない

できればこれ、女性の人の感想も聞いてみたいです。

原理はよくわかりませんが、家事関係はなぜか女性のほうが男性よりよくできることが多い(もちろん苦手な人も多いと思います)。

結婚した後に、女性から見て男が家事をあんまりやらないことに憤るって話を良くネットで見ます。でも、ちゃんと動機を作れば男の人でもできるようになるんじゃないかなーと思ったり。

私は男なので、男からの目線でこのアニメ見てたら「女の子ってここまで野球苦手なのか」「俺たちにとって当たり前のことにこれだけ苦労するのか」って思っています。 でも、女の子たちが苦手そうにしながらも野球頑張っているとわかっているので、その姿に嫌悪を感じることは全然ないです。そうやって見てたら2話の後半で、スポーツ苦手で野球初心者の女の子が、ちゃんと指導者がついてからは最低限の動きがすぐできるようになっててグッと来たんですよね。

男でも女でもいいんですが、パートナーが家事とか苦手な時に、こういう感覚をもって「待って」「育てる」ことができたらもっと世の中平和になったりしたりしなかったりということをちょっと考えたりしました。(そうなる前に子供生まれちゃったらそりゃ地獄になるよね……)





というわけで、あんまり人気は出ないかもしれないけれど、私は3話以降も応援していきたいと思っております。

八月のシンデレラナイン 北風に揺れる向日葵 (ファミ通文庫)

八月のシンデレラナイン 北風に揺れる向日葵 (ファミ通文庫)



ちなみに「女子野球」というテーマではほかにも結構面白い作品がありまして。

球詠 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

球詠 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

メイプル戦記 (1) (花とゆめCOMICS)

メイプル戦記 (1) (花とゆめCOMICS)

東京野球女子百景 vol.1 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)

東京野球女子百景 vol.1 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)


このあたりはお勧め。メイプル戦記懐かしすぎワロタ。



他にも未読作品でこんな作品があるそうです。

なでしこナイン1 (COMICAWA BOOKS)

なでしこナイン1 (COMICAWA BOOKS)

マックミラン高校女子硬式野球部(1) (週刊少年マガジンコミックス)

マックミラン高校女子硬式野球部(1) (週刊少年マガジンコミックス)

セーラーエース(1) (ヤングマガジンコミックス)

セーラーエース(1) (ヤングマガジンコミックス)

読んだことある人いたら感想教えてくださいませー。


余談

現実の女子硬式野球は甲子園以外の場所でちゃんと全国大会をやってて、「わかさ生活」がやってる「女の子も甲子園」キャンペーンと対立してるぽい

一民間企業が行っている「女子も甲子園」のキャンペーンについて – 全国高等学校女子硬式野球連盟

girls-bb.com



花鈴のマウンド(1巻)

花鈴のマウンド(1巻)

この漫画確かに阪神電車に乗ったらめっちゃ広告でごり押しされてると思ったらわかさ生活がやってたのか……。