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「恋愛ハーレムゲーム終了のお知らせがくる頃に」 恋愛ゲームで男主人公に都合がいいヒロインはみんな悪魔に脅迫されているだけだって知ってた?(笑)

<評価★3.5>
タイトルはあれですが、男が主人公の「ハーレムもの」がメインの作品ではないです。女性が主人公の「デスゲーム」ものです。

悪魔の力により、強制的にとある男性のハーレムの一員に指定され、この男性から一番愛される立場を得るために競い合うことを強いられた女性たちが主人公側。

まどマギが「魔法少女作品」の裏側を描いているように、この作品は「ハーレムもの」 の裏側を描くような形になっています。

今まで紹介した中ではこの作品が同ジャンルかな。

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(※↑の作品は面白おかしくメタコメディにしてますが、今作はかなりダーク寄りです)

デスゲームものの中ではかなり好きになれる作品

さて、皆さんご存知かもしれませんが私はデスゲームものが好きです。はてブの方々がなんだかんだ言いながらもtogetterまとめで人々が醜い言い争いをしているのを喜んで読むのと同じような感じですね。質の低いゲテ物作品が多い「デスゲーム」もののマンガに対して同じようにぶちぶちいいながらもそれなりの数を読んでいます。

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私の感覚ではデスゲームものはスタージョンの法則に従って9割の作品がが最初の設定だけ頑張っててあとは勢いというゴミになりがちなのです。
しかし本作品はちゃんとスタート段階から最後までしっかり考えられていて作られており、終わり方がキレイです。竜騎士07さん作品なのにキレイに話が畳まれているということもあってひぐらしやうみねこファンの人もぜひ読んでほしいお勧め作品になっていると思います。



ゲームのルール説明書を読むことはものすごく大事。これは現実でも同じ

悪魔の力によって「ハーレムゲーム」のヒロインとして強制的にゲームに組み込まれた女性たちは、このゲームにおいて、ハーレム主に設定された男の攻略対象外になったら殺されてしまいます。 これはKanon問題ですねわかります

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(※この作品も短編ですが「ヒロインに選ばれなかったら廃棄処分」になる少女が登場します)

なのでこの少女たちは、本来なら自分だけが生き残るためにほかの女性たちと殺し合う必要があります。しかし本作の女性陣は非常にしたたかであり、ルールを把握することで、ゲームマスターである悪魔を出し抜きつつデスゲームからみんなで生き残ろうとします。

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私達個々が生き残る最善の方法は、私達ヒロインが結束することのみよ。古和田セリカが宣言するわ。私は誰も死なせはしない。全員で生き残る。だから私を信じて結束しなさい。そして、それが確実に生き残ることができる最善にして唯一の方法

さて。

当然ですが、生き残るために女性陣が結束すると、えげつないことになります(笑)


ヒロインたちにとっては、男は「諸悪の根源」でもあり、かつ「生き残るための道具」でしかないので、女性陣は愛しているふりをしながらその男性を軽蔑し、男性からいろんな情報を抜き取っては利用しようとします。見ていてつらい……。


とはいえ、男側もやられる一方というわけではなく、無自覚ではあるけれど女性たちの好感度を上げる行動を積み重ねていきます。途中からはただ攻略されるだけのでくの坊ではなくなり、ちゃんとヒロインたちと会話を重ね、悪魔のゲームを打ち砕くために重要な役割を果たすようになります。


「まどマギ」の場合は、魔法少女とインキュベーターの間でしかコミュニケーションが成立しませんでしたが、このゲームにはちゃんとヒロインと、攻略対象である男と、悪魔の三者が登場しているので三つ巴の駆け引きになり、また独自の解決法が生まれるというところが見所です。


というわけで、タイトルとかで敬遠するにはもったいない良い作品なので、ぜひ読んでみてください。

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徐々にルールが厳しくなり、不信を煽られるデスゲームにおいて、最後まで一人も死人を出さずに信頼しあって全員生き延びるためには何が必要か

(1)ヒロインは4人と思わせておいて実は存在を明かさずに一人だけ周りを出し抜こうとしている5人目が存在する。まずこのヒロインの裏切りを防ぎ、協力体制に持ち込むことが大事。


(2)基本的には協力するのが最適解になっているが、ゲームのステージごとに評価方法が変わることで協力関係を揺さぶってくる。

①第1ゲームでは男の評価が良ければプラス、悪ければマイナス。
②第2ゲームでは男の評価を競って、トップの人間だけその他からポイントを1つ奪えることに変更。
③第3ゲームでは採点を「+」「0」「ー」から「100点満点」方式に変更。

・更におまけでポイントでほかのメンバーをリードしているだけでも圧倒的な幸運が得られる特典付き。
・そもそもこのゲームに参加するためだけに各ヒロインは日常を犠牲にして多大なリソースを割く必要があるため永遠につづけることは難しい


④第4ゲームの勝者は一発でデスゲームを勝ち抜けできる条件を満たす、というルールに変更。
これによって誰か一人でも今回だけほかの人間を裏切ればOKという状態に。

今までは裏切ることのリスクが大きかったから「相互信頼」が勝っていたが、今回は信じることのリスクが即死であり、裏切ることのメリットが極大に。この状況で相互信頼を維持するにはどうすればいいか
→「賭けグルイ」の公共財ゲームと同じ動機設定が行われ、公共財ゲームとは違う方法で解決する。
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⑤第5ゲームは「勝者は強制的にゲーム勝ち抜け、それ以外の人間は死」と変更。

普通だったら「これで完全に終了。ヒロインたちは悪魔に敗北しました。。。」となるわけだけれど、さてヒロインたちはどうする……

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本性あらわしたね(笑)


(3)結局のところ、ゲームを終わらせるには、ゲームのルールに則って悪魔を倒す必要がある

もちろん非力な人間であるヒロインたちに物理的に倒す方法はない。ランスシリーズにおいてアム様がやっていったように現状維持しながら悪魔の魔力をチマチマと削る方法も無理であることが判明。攻略のヒントは「悪魔自身が作ったルール13箇条」にしかない。具体的には「悪魔を〇〇〇〇にしたうえで →〇条 →〇条」のコンボで倒す。


ここまできちんと最初から設計して作品が作られていて、ちゃんと伏線描写も意識して描かれておりとても読んでいてキレイな作品だと思いました。 デスゲームものはとにかく「は?」という展開が多くてストレスになることが多いので、そういう作品にイラっとしたことがある人にはとてもお勧めです。
 

恋愛ハーレムゲーム終了のお知らせがくる頃に(4) (シリウスKC)

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ちなみに4巻のAmazonレビューでは★5と★1が両極端に分かれています。私は好きなんだけどなー。★1つけてる人ほかの作品にもたくさん★1つけるようなタイプだから何とも言えない。

 

自分が勝つことしか考えてない人は、守りが非常に弱くなる

この漫画ですごく面白いなと思ったのは「なぜ圧倒的に有利なものが負けるのか」ということ。
このゲームでは最初5人目のヒロインが圧倒的に優位だったけど、あっという間に一番弱い立場になる。それは「勝つための条件しか見ていなかった」から。自分に自信があって、最短で勝つ方法のことしか考えないと、めちゃくちゃ強気に攻められる代わりに「自分が想定していないリスク」に弱い。

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ネットでもいるよね、誰かをたたいてるときに自分のガードがお留守になる人。

こうならないように気を付けたいところです。

(4巻読み終わっての追記)……この部分は2巻読み終わった時点で書いてたんだけど、この部分がラストでも重要な意味を持ってくるというのが、ものすごくよかったです。