これでセミナーの内容紹介の最後です。
- 簡単に「その2」までのお浚い
- バイアスは「値動き」や「需給の偏り」が生み出すもの
- 「恐怖がマックスになったところでこそ買い、楽観が行き過ぎになった時こそ売る」の原則を知る
- チャートやテクニカルに左右されず、自分なりの投資の軸を持ちそれを日々改善していくことが重要
- まとめ これから投資を考えている人がまず最初にやるべきことについて
簡単に「その2」までのお浚い
東証には「初心者向け市場」というものは存在しない
初心者向けの方法があるだけ。「お手軽に大儲け」なんて方法は存在しない。
そのせいで、中級者になりかけの頃が一番負けやすいという現実がある。
なのでたーちゃんさんは以下のような道筋を示してくれています。
・初心者はまずローリスクローリターンなETF(インデックス投資)から始める。
・さらなるパフォーマンスを求める人だけ次に進みローリスクミドルリターンなバリュー投資をめざそう。
・ハイリスクハイリターンな短期投資や成長株投資やテクニカルを駆使したトレードといった上級者向けコースはそれからでも遅くない。
バリュー投資ではあまりチャートやテクニカルは必要ない
・それよりもBSを分析して会社の価値(解散価値+将来の収益)を知り、
・価値よりも安い価格でその企業の株を買うことを重視しよう。
株価の構成要素の最後「バイアス」に惑わされないように
このバイアスを知って、バイアスがマイナスに傾いているときに買い、バブルの時に売れば少しでも安全に立ち回りつつ利益を伸ばせるようになる。
ということで。
最後にこの「市場参加者のバイアス」について考えましょう。
バイアスは「値動き」や「需給の偏り」が生み出すもの
バイアスを正確に理解するためにはプロスペクト理論などの行動経済学の勉強などが必要になりそうだけれどバリュー投資をやるだけなら難しい話は必要ない
このバイアスは「値動き」や「需給の偏り」が生み出すものです。
「値動き」に心を支配されないようにすることが大事
これはたーちゃんさんのセミナーではもちろん言及されていない話なのですが、ぜひみなさん「FX戦士くるみちゃん」(作者であるでむにゃん様はnoteもやっておられます)というマンガを読んでほしいです。この漫画はプロスペクト理論などを取り上げながら、FX取引をしている人がトレードにおいてどれだけ心を揺さぶられ判断をゆがめられるか、を描いていて読みごたえがあります。
この漫画の中に「人の認識は値動きによって無自覚のうちに変化させられる」という描写があります。毎日株価とにらめっこしていると、知らないうちに認識がずれてくるので、最初はむしろ毎日近視眼的にならないように、引いた視点から投資と向き合えるようになることを目指したいです。
「恐怖がマックスになったところでこそ買い、楽観が行き過ぎになった時こそ売る」の原則を知る
基本はその1のETFの売買と同じです。細かい値動きに囚われずに大局を外さないようにする。
バリュー株投資はETFよりもより慎重に
【買いのタイミング=この条件を満たしたら底打ちとみなして買い始める】
①松井証券で公表されている「信用評価損益率」が-15%以下
②東証の騰落レシオが60以下
③暴落銘柄(25日線乖離率が-25%以上)が50銘柄以上。
(④アメリカSP500のVIX指数が40以上)
ただし流動性が高いETFと違ってバリュー株は流動性が乏しいものが多く、暴落時は一番下げやすいため、
同じような感覚で取引すると、思わぬ下落に見舞われる危険もあります。
たーちゃんさんは株を売買するときはさらに細かく条件を設定されているようです。
・例えば①について、市場が上げ相場であればマイナス10%~12%でも底になりうる。
一方下げ相場ではマイナス10%でも天井になりえるし、-18%くらいになるまで様子を見る。
・また一度「下げ相場」(月足でトレンドラインが崩れる)になると
信用取引で損をしている人は徐々に資産状況が悪化していくのですが、日本人はなかなか損切りしません。
その結果、信用取引で損をしている人が破産するか退場するまでには約2年ほどかかる。
このことから、「下げ相場は2年続く」という前提で見たほうが良いそうです。
・また、これらのテクニカル指標以外にも「カクテルパーティー理論」や「メガボトム」の考え方を組み合わせて
十分に底を確認してから買う必要があるとしています。
他にも仮想通貨バブルの時を振り返りながら、いろんな兆候を指摘されていました。
資金管理をしっかりして「損切りをしないでも勝てる」投資を目指す
バイアスの大部分は「恐怖」で出来ています。なんの恐怖かというと「強制決済」の恐怖です。
ポジションを大きく取りすぎ、まして信用取引やハイレバレッジな取引をしていると
思惑が外れて損をした時に、資金がゼロになるだけではなく、証券会社によって途中で強制決済されます。
この恐怖に耐えかねてぶん投げたり、あるいはほかの人がぶん投げるだろうという先読みが起きることで恐慌状態が起きます。
自分がトレードするときはこの恐慌状態に巻き込まれないように、資金管理が重要になります。
普段からポジションを小さくしろと言っているのではありません。
「上げすぎているときは欲張らずに一部利確をしておく。高値圏から下げ始めたらポジションを減らす」ということです。
本当に大きく勝つ人は、相場のどん底でみんなが投げているときに笑いながら株を拾っているのです。
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たーちゃんさんの資金管理のルール
たーちゃんさんの場合、2018年12月の下落においては、短期的な底ではあるものの長期的な下落トレンドにおいてまだまだ下はありうる、という判断だったそうです。そのため 12月段階では本当に狙っている資産バリュー株にはまだ手を出さなかった。
ここで買ってしまうと最終的な下落において大きなマイナスをつかんでしまうということですね。そのため、東証一部の大型株の中で下げすぎ、割安のものを逆張りで買ったといっていました(ある程度のリバウンドが終わったら売る)。
また、資金管理については下落の段階に応じて6段階ほど設定しており、信用買いは5段階目までは行わないそうです。12月の下落でさえその段階ではないと判断してほとんど信用買いはなかったとのこと。
また、当然ですがバリュー株は長期投資前提のため現物買いのみになります。
……ここまで徹底する必要はないにせよ、信用買いで勝負するときとそうでない時の参考にはなるのではないでしょうか?
チャートやテクニカルに左右されず、自分なりの投資の軸を持ちそれを日々改善していくことが重要
以上でセミナーの内容は終わりになります。
チャートやテクニカルの話はほとんど出てきませんでしたが、たーちゃんさんは実際に通常は75日線とか出来高をチェックするくらいなのだそうです。そのくらい、バリュー投資においては細かいチャートやテクニカルはあまり重要でないということですね。
自分なりの投資の軸を持つこと
たーちゃんさんはとにかく 「自分なりの投資の軸をもつ」ことの重要性を語っておられました。これがないと他の人のパフォーマンス自慢やら株の煽りやらに揺さぶられてしまうため、セミナーの内容をもとに自分なりの投資の軸を作って欲しいという話でした。
まとめ これから投資を考えている人がまず最初にやるべきことについて
セミナーの順番では途中に紹介されていたものですが、本多静六の投資哲学をラストに紹介してまとめを終わりにします
・貯蓄生活を続けて行く上に、一番の障りになるものは虚栄心である。いたずらに家柄を誇ったり、いままでのしきたりや習慣にとらわれることなく、一切の見栄さえなくせば四分の一天引き生活(収入の25%を強制的に貯金する)くらいは誰でもできるものだ。
・とにかく金というものは雪だるまのようなもので、はじめはほんの小さな玉でも、その中心になる玉ができるとあとは面白いように大きくなってくる。少なくとも四分の一天引き貯金ではじめた私の場合はそうであった。だから私は確信を持って人にも勧めてきた。どんなにつらい思いをしても、まずは千円をお貯めなさい。
これを一行にまとめるとこの計算式になります。
(資産)={(収入)-(支出)}×(利回り)
毎日相場を見る必要はない。「貯蓄」や「定期積み建て」を堅実に行いつつ、チャンスの際に投資したい株を買える準備をしよう
というわけで。
不要な売買を減らして損失を減らしたり、日常生活においても不要な出費は減らして一定額を積み立てる。これだって立派な資産形成です。トレードで勝つことだけが投資ではありません。私が尊敬してる人(某ドーベルマンアイコンの人)は、「優待投資」で日々の支出を減らしたりして日々のCFを改善し貯蓄率を高めるだけでも長期的に差があるといっています。無理に毎日トレードする必要はありません。状況に応じて相応しい投資行動を継続し、しっかり資産を築いていきたいですね。
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というわけでこれでレポ終わります。
たーちゃんさん、それから株トークの皆様。本当に素晴らしいセミナーでした。ありがとうございました。