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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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阪急阪神の広告について思ったことを徒然と

正直炎上自体はあんまり興味がない。

仕事系の広告はだいたい不動産と並んでこういう無駄にポエミィなものばっかりなので、なんでみんな今回だけいちいち怒ってるのかなーとは思うんですが。まぁ老後資金2000万などのニュースがあってみんなが金銭の面でピリピリしてるところに、こんな間抜けな広告が目に飛び込んできたらそりゃ騒ぐよね、くらいの話。

「みんな似たようなことやってるのに運やタイミングが悪かった」ということもできるんですが、以前から火種がくすぶってるところにリスク意識がまったく感じられないあたりに、感覚がマヒしてるなとは感じますね。


2014年1月に起きた「居酒屋甲子園炎上」を思い出す

あの時も「一日16時間労働なのに年収250万」という具体的な数字が引き金になって一気に拡散したという記憶があります。
www.j-cast.com

もっとも、あの時の小田嶋さんは安部さん批判をやりたいがために居酒屋甲子園に対してはちょっと勇み足だったようですが。
批判のあつまっている「居酒屋甲子園」の実体には、報道などよりも複雑な味わいがあった(井上明人) - 個人 - Yahoo!ニュース

それでもやはり「ポエム」をやってるときには「何かのごまかしが入ってる」という警戒は必要になっているでしょう。
やりがい搾取の共犯者 「同調競争」「自己実現系ワーカホリック」 - この夜が明けるまであと百万の祈り


ポエムに万歳!(新潮文庫)

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もはや従業員と経営者が同じ目線を持つのを期待するのは難しいよね

こちらについてはすでにの記事で大方の問題は説明されていると思います。

・共通しているのは「経営者」、使用者側の言葉だということです。問題の「50万円~」もそうですが、「はたらく言葉たち」というよりは経営者にとって都合のいい言葉、つまり「働かせたい言葉たち」、あるいは「働かせたいものたちの言葉」として響いてしまっているのではないかと思います。

・経営者の視線を、裁量も報酬も限られたサラリーマンに当てはめたところでちぐはぐになるのは当然で(いわゆる「社員も経営者目線で」なんて経営者と同じ報酬を約束しない限り無理ですよね)、これを「熱い言葉たち」などと気軽にくくってしまった無理がたたったということではないか

https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1906/11/news089.html

うちの父親なんかはもろに会社と自分は一心同体みたいな感覚が強い人であり、こうした言葉を当たり前のように受け止められるんでしょうが、今ってそういう関係じゃないですよね。


そもそも、なんで経営者が従業員を軽視してるのに、従業員だけ経営者のことを大事にせにゃならんのか

会社の利益に対して労働分配率が異常に低いのは事実でしょ。
企業の内部留保の話したら、すぐに「内部留保は現金じゃねえよ。設備とかに投資してんだよ」っていう人いますよね。でも今って実際のところ、そんなに設備投資してませんよね? 会社は利益剰余金をどういう形で持ってるかで見たら現金のままため込んでるか、「有価証券を買う(特に自社株買い)」か、株主の配当に回してますよね。

アベノミクスが始まってもずっと低いままだった。2018年になってようやく、です。
【図解・経済】設備投資の推移:時事ドットコム
上場企業の中間配当、過去最高の4兆9000億円 :日本経済新聞
上場企業の自社株買い、過去最高を記録した理由
歴史的な水準まで低下した労働分配率 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

f:id:tyoshiki:20190612105001p:plain

あまり意味はないですが「総量」で見たときに明らかに企業は利益に対して従業員に出し渋っているし、かといって設備投資をするでもなく、利益をため込んでた。だから日本企業はずっとROEが低いまんま。最近になっても自社株買いを進める程度でやっぱり従業員に給料の形で還元したりはしない。

特にひどかったのが投資界隈では「禿」の愛称で知られる孫正義さん。日立問題などで不祥事の温床となっていると指摘され、国が減らしていこうとしていた親子上場を2018年12月に無理やり実行して日本市場からお金吸収して市場崩壊させました。それだけでは飽き足らず、無理やり上場させたソフトバンク子会社の利益は従業員に還元せずソフトバンクグループ本体の自社株買いのお金に回した。 従業員がいくら頑張っても孫正義とその会社の懐を潤すことにしかならない上、多くの老人の犠牲を生む加害者の片棒を担がされるんですけど? 経営者目線を持てっていうならそれこそ孫正義を弾劾しろって話になるはずなんですが、そんな話は聞いたことないですよね。

また、不動産系に多いですが、サムテイのように早々に景気の冷え込みに備えて冬ごもりの準備を始めてる会社が多いです。つまりこれからの労働者への還元などますます期待できません。

結局、会社が儲けても儲かってるうちはより成長のためとかいって従業員に還元せず、景気が失速しようになったらそろそろ危ないからと言ってより出し渋る。 じゃあいつになったら従業員に還元するんですか? しないでしょ。

結局、経営者目線を持てっていうけど経営者の都合を忖度しろ、でしかなく片務的な物言い。昔はそうはいってもそれなりに還元されてたので建前上はWin-Winだったけど、もう今はその信頼関係が維持できてないんだから、昔のようなこと言ったって嘘にしかならない。

このあたり理解してからは「もうマジ無理…投資しょ……」ってなりました。ネットではすごい前向きな資産形成ばかり言われますが、私はすごい後ろ向きです。会社が従業員から搾取することで資産ため込んでるんだから投資でいくらかでも取り換えさせてもらうしかないやん?って感じてしまう。


さらに言うと、従業員間の格差も激しい

今は「従業員」という言葉自体が全然一つの集団を示すものでははなくなっている。

優秀な人間は会社などいくらでもホッピングできるし、会社は利用するものであり従うものではないと考えている。給料にしたって昔よりも高くなっているというゾーンがある。給料は上がって、昔より自由度も上がり、むしろ会社からはどんどん後押しを受けて社外に飛び出す。一部だけそういう存在がいる。

逆に、月収30万どころか、上の居酒屋甲子園のように「労働16時間で年収250万」の世界があるわけだ。その結果、今起きているのは「従業員」の中での分裂と、その従業員の中での対立をあおる分断統治である。

「総中流」が崩れたら、当たり前だけれど、希望がない下流側に押しやられた人間が経営者目線なんて持てるわけがない。
ノマドやYoutuberなど、会社に依存しない新しい働き方に夢をもつ人間がたくさん出てくるのはやむを得ないだろう。

まぁだいたい、そういう人たちの中で、自分で考えて自分でリスク取ってという行動ができない人は、
会社に反発を抱きながらも、自分をコントロールしてくれる人が欲しくて「インフルエンサー()」にすべて食い物にされてしまうのだが。


経済は成長が止まり、上下は分断され、限られたパイを奪い合ってギスギス。会社は自分たちを守らずむしろ搾取を狙い、国も年金ガーと認めざるを得ないくらい将来が厳しい。そんななかで私たちはどう生きるか

知らんけど。