先に書いた記事について説明不足で不満が出ていた部分についてさらに補足します。もうこれで終わりにしたい……
電子書籍サイトの爆発的な成長は「エロいコンテンツが読みたい女性」の需要に応えたことが大きな要因だよねという話 - 頭の上にミカンをのせる
結構まとめるの大変だったのに何人かボロカスに言ってくる人いてつらい……もちろん読む人にはこっちが大変だったかどうかなんて関係ないんですけども。
でも、こういう点が足りないとか、こういう点をもっと読みたいという感想をいただけるのはうれしいので素直な疑問とかはどんどんコメントで書いてくれると嬉しいです。また後述しますが、知識がある人が、自分の記事の至らぬ点などについて補足をしてくださるともっと嬉しいです。そういう時にブログ書いててよかったなって感じます。 一方で、「よくわかってないのに、勝手な思い込みで否定してくる人」はあまり歓迎してませんのでそこのところはよろしくお願いします。
「既存の本や男性向けコミックが、女性コミックと比べてあまり伸びない理由」についてはこの記事が詳しいです。
電子出版となると電子取次も電子書店も紙とはプレーヤーが違う。聞いたこともない名前の電子取次が幅を利かせており、Amazonや楽天などのIT業界の巨人たちがタフな交渉を挑んでくる。
そうなると紙の世界では、優遇された条件で取引を行っていた大手出版社や老舗出版社も他の出版社と横並びにされて、「さあ、料率65%からよーいドン!」なんてことになっている。どの世界でもルールを作ったものが強い。それが大手出版社もわかっているので、新たなプレイヤーたちが作ったルールには乗ることができない。
だからAmazonや楽天koboにも全面的に提携していくのをためらっているという事実がある。
そもそも男性が紙のコミックを買うのに慣れていたり、女性と違って「所有したがる」という部分も大事だとは思いますが。
そこで出てくるのが新規プレイヤーである「電子取次」なのだけれど、こっちは競争が不健全かも
2017年時点ではこの3社が電子取次のメインプレイヤーでした。
①出版デジタル機構(前身は凸版印刷系のビットウェイ)
②メディアドゥ
③モバイルブック・ジェーピー(大日本印刷系)
しかし今現在はメディアドゥが出版デジタル機構を買収してしまったのでほぼ寡占状態にあります。モバイルブック・ジェーピーは勝負になってない様子。

電子書籍業界の救世主 メディアドゥ 藤田恭嗣のすべて (2017年6月号)
- 作者: 企業家倶楽部・編集部
- 出版社/メーカー: 企業家ネットワーク
- 発売日: 2017/04/27
- メディア: 雑誌
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業界2位が業界1位を買収、電子取次は今後どうなるか? - 決算書がおもしろいほどわかる本 損益計算書・貸借対照表のしくみから具体的な経営分析まで など - シミルボン
電子書籍取次メディアドゥ、業界最大手を買収 80億円で - ITmedia ビジネスオンライン
おそらくコミックアプリではLINEマンガが圧倒的に強いのもこの辺りと事情が絡んでいると思うのですが、詳しくはわからないのでご存じの方いたらぜひ教えてください。
で、ここからが本題なのですが……
女性向けコミックは「ケータイコミック」からスタートしていたから電子書籍化の波に乗りやすかった
皆さんたぶん言われなくてもなんとなくお分かりだと思いますが、「女性向けコミック市場は、既存の紙のビジネスが男性向けと比べてまだ未成熟であり、特にエロ系は厳しかった。だからこそ、電子書籍の世界ではほぼまっさらな状態から新しく開拓していくことがやりやすかった」ということではないかと思います。*1
これについてはRenta! 社長の松井さん(女性です)のインタビューが参考になりますね。
job.j-sen.jp
1995年の創業と同時に「電子書店パピレス」を開始し、翌年にはインターネット上に展開。
2003年には、「電子書店パピレス」の携帯電話での配信を開始しました。
そして、2007年に電子書籍のレンタル販売サイト「電子貸本Renta!」をスタート。
2010年には、電子書籍業界の企業として、初めて株式公開を実現しました。2000年には各電機メーカーからPDAが発売され、その後何度かの電子書籍ブームが到来し、一般化したという印象を持ったのは2003年に携帯電話へのサービスを開始した頃からですね。
また、ガラケーのケータイコミック時代からよくご存じの方から補足の解説いただいたので載せておきます。私は全くガラケー時代にネットをしておらず、その時代のことは知らないのでとても参考になります。
ケータイコミック最盛期から言われてたことだが、携帯デバイスで女性向けエロコンテンツが受ける理由が、既存メディア(出版とかビデオとか)のエロ商売はほぼ男性客メインで寡占状態だったところに、こっそり読めて「女性である自分好みの」エロ特化作品がそこにあったからだよね。
— 仲💮村 (@natukusa) July 10, 2019
あと「男性が知らないこれらのサービス」っていうけど、2010年ごろのDMM(現FANZA)だって「成人男性はだいたい知ってるけど、成人女性はさっぱり知らないサービス」だったでしょ!!
— 仲💮村 (@natukusa) July 10, 2019
艦これ出た時「あのDMMが非エロでヒット作だと!?」だったでしょ!!
おっさん連中その空気覚えてるでしょ!!
モーションコミックに関していうと、たぶんおおもとの技術から別物だと思うのでちょっと同意しかねるところあるかな。
とはいえ、ケータイでコマを動かすというのがあった、というのは知らなかったのでありがたいです。
ただ、記事の論旨である「今日の電子書籍市場の拡大」は、日本にあったケータイコミック市場をベースにあったのは事実だがもう少し違う。
— 仲💮村 (@natukusa) July 10, 2019
ケータイコミック当時は大手出版社の全年齢売れ線作品がほとんど電子化されてなくて、2012年以後のkindle上陸から数年置いて大手が電子中心に転換して今があるの
「今の伸び」に関してはぶっちゃけ「kindleの伸び」とほぼかぶると思う。もちろんスマホと電子媒体の認知普及とともに他社も伸びてるし、先述のケータイコミックの覇者たちもスマホベースにうまく転換できて、それらが混ざり合って今があるけども。
— 仲💮村 (@natukusa) July 10, 2019
確かにkindleの衝撃は大きかったですよね。こういう電子書籍の変遷とかがまとまってる資料とか本とかあったら読んでみたい。
好きじゃないけど今のところ佐々木俊尚さんの本がまとまってる方かなと思います。

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2010年前後のスマートフォン、少なくとも使い勝手は並行時期のガラケーより悪かったし、画面はでかくなっても荒かったもんなー。これで漫画なんか読めねーよ、タブレット機くらいないと、って思ってたもんなあ。そんな昔じゃないのに懐かしい
— 仲💮村 (@natukusa) July 10, 2019
携帯コミック時代だといわゆる「ケータイ小説」のコミカライズも手がけていた頃かなあ。
— 西村ゆい (@y_nishimura) July 10, 2019
その辺りからサービスを使い続けてる人にとっては、サービスの提供するものがちょっと変わってもっとリッチになったというのが印象じゃないだろうか。
Rentaは確かに、普通の漫画やTL/BL系は結構品揃えが良かった雰囲気がある。あと、安価で借りる事ができるから、「ちょっとだけ読んでみよう」がやりやすいんだろうなとも。
— 西村ゆい (@y_nishimura) July 10, 2019
Amazon kindleもBL/TLはかなり品揃えはいいけれど、男性向けだとDMMの品揃えがかなり良い。
「hontoはほんとにもうダメなのか?」について。
先の記事では、売り上げの低迷からの営業利益大幅マイナスという数字をみて「このサービスもうアカンのでは?」という感想を書きました。実際かなりひどいからね。
電子書籍BOY | hontoは本当にやばいんだな(今までの売上まとめ)
一方で、このような意見もあるようです。
通販・取り寄せ・取り置き辺りはe-hon等と連携して、サービス対応地域を広げたほうが勝機があると思う。
— 西村ゆい (@y_nishimura) July 10, 2019
Webサービスから、家に近い本屋さんに取り置き/取り寄せや予約をお願いできるのは、紙の本が好きな身としては良い。
あくまで単体ビジネスとしてみるのではなく、取次の流れの一つとしてみるというのはなるほどですね。
電子書籍は、サービスが死ぬとそこで買った本もなくなってしまうリスクがあるため、どうしても単体としてしっかり黒字を確保できてないサービスには少し不安を感じてしまうんですよね。メディアドゥの成功などを見ていると、そうはいっても単体でちゃんと黒字化しようぜ!ってのもあるんですが、そのあたりについてもいろいろご意見おうかがいしてみたいです。
というわけで、これでほんとに最後です。
そんなことよりワイは今「レ・ミゼラブル」の漫画版がめっちゃ面白くて早く続きが読みたいの……

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世界中で児童書、舞台、音楽、映像となり、様々な形で愛されてきた人間賛歌。だが、文豪ヴィクトル・ユーゴーが執筆した「原書」はあまりの難解さに読破が難しいと言われ続けてきた。その「原書」の物語に、俊英・新井隆広が挑む!!誇り高き人々が命を懸けて果たした“使命”。圧倒的スケールの物語が、超絶筆致で「完全」に蘇る!!堂々の第1巻!
1巻読んだんだけど、今までミュージカルとかで見てきたレ・ミゼラブルと全然違う!
そもそも「レ・ミゼラブル(哀れな男)」ってなんだ?ってことすらわかってなかった。「主人公であるジャン・バルジャンが教会で盗みに入るまで」の部分がどれほどヘビーなものかを知らなかった。彼にとってミリエル司教の行動がどれほど大きな意味を持つものだったのかがわかって、目からうろこだった。
これ絶対みんなにも読んでもらいたいと思ってるし、まず先に自分が読み終わりたいー。
*1:既存の紙媒体での女性向けエロ市場についての資料が見当たらなかったのでご存じの方いたら教えてください