【おすすめ対象:初心者→中級者を目指す人にはマスト。上級者でも読む価値あり】
著者の奥山さんは、ピーター・リンチに心酔して投資をはじめ、ピーター・リンチの投資理論を日本の株式で実践しつつ、2008年から「エナフンさんの株の木」というブログで情報発信を続けてこられた方です。
なお、投資自体は高校時代からずっとやっており、リーマンショックがあった2008年ですら葬儀会社の「ティア」をメインにして戦い年間プラスで乗り切っているというツワモノさんです。他人にやたらと厳しい株クラにおいてもエナフンさんを否定してる人は見たことないですね。「夕凪さん」と「エナフンさん」はガチ。というか、個別株投資をやってるのにこの人のブログ読んだことなかったという人は、投資情報の集め方が間違ってる(イケハヤ界隈とかアフィサイトばっかり読んでたりしたら目も当てられません)とおもいますので気を付けて。
そのくらい投資の王道をまっすぐ行って、まっすぐお金持ちになったまさにサラリーマン投資家の理想像みたいな人です。
上手い人ならほかにもたくさんいますが、奥山さんの素晴らしいところは、ベースにピーター・リンチの理論がありつつ、さらにずっとブログで日本流投資にあてはめようと実践を続けられたことによる蓄積です。投資手法や指標の使い方などを日本市場を踏まえた数字やアレンジした考え方で説明してくれており、非常にわかりやすいです。
もともとピーターリンチ自身が「サラリーマンならでは」の自分の仕事から得られた知識や経験を強みとして投資することを唱えられており、サラリーマンだけど個別株投資やってる人、やろうとしてる人がいるとしたら、まさにそういう人のための本といえます。
「つなげよう投資」のうち「つ」のぶぶんと「う」の部分は投資をしない人でもすごく役に立つ
この本では<つなげよう分析>として5つの面から投資についての考え方を説明してくれています。
強みを知れ 自分ならではの強みを理解する
流れを知れ 複雑な株価の流れを理解する
原理を知れ 株価が決定する原理原則を理解する
弱みを知れ 個人投資家や人間ならではの弱みを理解する
裏をとれ 決算書や会社資料で必ず裏をとる
それぞれについて個別具体的な株の具体名が出てくるのでとても分かりやすいです。
ところで、著者の奥山さんはこれが一作品目ではなく、二作品目です。
一作品目ではこの2つの部分が詳しく説明されています。
流れを知れ 複雑な株価の流れを理解する
原理を知れ 株価が決定する原理原則を理解する

- 作者: 奥山月仁
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2013/12/27
- メディア: Kindle版
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この部分を踏まえて、具体的にどのように投資していくかを語ってくれているのが本書なので、実用度が上がっているなと感じます。
この記事では一番最初の「強みを知れ」と最後の「裏をとれ」について簡単に説明します。
強みを知れ
1章では、何気なくやっている仕事や身の回りにあるものを意識することで「自分ならではの体験」を強みとすることの大切さを教えてくれます。
・身近な企業やビジネスの知識を応用して投資するという発想こそがピーターリンチ流長期投資法の根幹である。
・自分がやっている仕事や済んでいる場所によって「自分には理解しやすく、他人には理解しにくいもの」がある。こういうものがある人は、決算書やネットの情報だけを見て投資している人に比べればかなりの強みを持っている。
例えばこんな行動や考え方を意識するだけでも、強みになるということです。
①ユーザーとして満足のいく体験をしたとき、必ずその会社のことを調べる。
②顧客ニーズをしっかりつかんだ企業が成長軌道に乗り始めたタイミングをつかむ。
③職場で何気なく使っている便利なネット企業などをリストアップしてみる。
④自分だけではなく夫や妻の好きなものを理解することにすごく価値が出てくる。
一行でいうと「ガンダムを捨てる妻」や「妻の趣味を馬鹿にする夫」「若者が熱狂してるものに逆張りしたがる老害」であってはではだめで、その逆をめざせってことです。
具体的にサラリーマン投資家のほうが見つけやすい有望会社の特徴
①成長著しい、嫌なライバル
自分が働いている業界で、格下でありながら急成長している嫌なライバル企業があれば有望株。②他社技術の利用が得意な会社
革新技術を提供する会社はほとんど死ぬ。
利用してビジネスにできてるやつ、二番手こそが最強。
アップルがその完成形だけど同じように「ズル」してるって感じる会社はないか?③業績が右肩上がりの棒グラフになってる会社
④自分の視点からは有望なのに株式市場で全く話題に上っていない会社や事業部
⑤行列・売り切れ・予約待ちのサービスやビジネスをやってる会社
このうち自分が詳しくて「当たりはずれがわかる」ジャンルはないか?⑥おいしさや話題性より、常習性や中毒性があるサービスやゲームをやってる会社
実際に自分でやったり身近ではまってる人がいないとわからない。⑦有望株の周辺にかかわっている会社。
ここに次の候補がある。成長構造を吟味し、よく似た構造の関連企業を探す。
意識して自分の周りを見渡すと、こういった要素で、自分ならではの強みが生かせる分野があるはずだということですね。某人気TV番組で幼女が言ってるセリフに通じるものがあると思います(笑)
「裏をとる」ことの重要性はネットユーザーに是非認識してもらいたい
株式投資に関する「裏をとる」については、「原理を知る」などこの本の流れをちゃんと踏まえたうえでないとわかりにくいので詳細は説明しませんがだいたいこのような内容になっています。
①企業の概観をつかむ
②3つのプロセス(企業情報・決算・ビジネスモデルの吟味)で企業の成長性について裏をとる
③成長の継続性を吟味する
株式投資を実際にやってる人はこの部分もしっかり読んでほしいのですが、そうでない人でも行動の最後に「裏をとる」が来ていることの重要性は理解してほしいなと思います。
ネットであまり責任とか意識せず気軽に発言できるのはとても良いところだと思います。いちいちすべての発言に責任とか周囲への気配りを求められるのはしんどいですよね。
でも、なんらかについてポジションをとる時(「賛成」「反対」)はちと事情がことなる。必須ではないけどやはり最低限の裏をとる習慣をつけたほうがいいと私は思います。
ネットでは何も考えずに使ってると際限なくバカになれる。無知な人のほうが過激な発言をしやすくそれが共感ベースで広がってみたいな光景をよく見ます。自分で自分がどこまでバカになることを許すかは人それぞれです。無制限に自由ってことにすると成長が止まって、しまいには自分の思い通りにならない人はなんでも攻撃して回る迷惑な人になってしまいます。そういう人たくさん見てきました。
この点、株式投資をやってると、自然と「自分の無知によるリスク」というものがダイレクトに結果となって帰ってきます。パフォーマンスの数字として可視化されます。失敗するごとに自分の無知さが浮き彫りにされます。それがつらいという人には向いてませんが、自分の無知と向き合って「自分が何をわかってなかったのかを知れる」「新しく自分がしらないことを学習できる」という人には、株式投資というのはものすごく面白いと思います。
私は株クラの人とオフ会するようになってからいろんなことを教えてもらって人生が少し楽しくなりました。周りもそういう好奇心旺盛な人が多いので、話をしても面白い人が多いです。
「どう勉強していいかわからない」状態さえ抜け出すのが一番大事。この本はその一番大事なところを教えてくれる
よく株式投資やるとまじめに勉強しだすって話を聞くと思います。実際は株式投資を始めても、誰かの信者になってしまい、その人の言うとおりにトレードするだけで自分自身は全く成長しないって人もゴロゴロいます。私もかつてはそうでした。
信者化することの恐ろしさ:自分が株式投資をやっていてとある人に引っかかったときのことを振り返る - 頭の上にミカンをのせる
「トモダチゲーム」12巻・13巻 信者化の際に必ず行われる2つのステップと脱洗脳のプロセス - 頭の上にミカンをのせる
そうなってしまうのは、自分がどう勉強していいかわからなかたったりその必要性がわからなかったからだと思います。自分が投資をやろうかなと思った時に、最初からこの本に出あえていたらだいぶ変わってただろうなと思います。なので、最近投資始めようかなと思ってる人は絶対に読んでほしい。

- 作者: 奥山月仁
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2018/10/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本ほんとに大事なので余裕があれば「な・げ・よ・う」の部分も概要を紹介するかもです。
なんか堅苦しい話になっちゃったからこれでも読んでなごんでください
株クラはほんまに面白くて楽しい人多いから好き。
でもたまにやば目の人いるから気を付けてw