連邦(ロシアをイメージ?)と王国(ドイツをイメージ?)という二つの強国に挟まれた弱小国であるある共和国(ポーランド?)をイメージした作品。
2巻は内容がスッと頭に入ってこなかったのでwikipediaを見たら非常にわかりやすくまとまっていた。
(しかし、2巻までの内容の結末書いちゃってるので、読み終わってから確認したほうが良いと思う)
西のクライス連邦、東のガルダリケ王国という大国に挟まれた緩衝国家チュファルテク合同共和国は、
連邦寄りの外交方針をとったために、両大国の戦争に巻き込まれ、国土は蹂躙され、多くの人命を失った。
両大国の都合による平和が強制されて1年後、共和国は連邦との安全保障条約の締結を発表するが、
国内の排外主義者たちは両大国の影響力の排除を訴えて、安保条約に反対し、首相官邸に押し掛けた。
こんな切迫した状況の共和国において、主人公は治安維持機関のメンバーたち
というわけで、緩衝地帯でもありつつ、工作活動の最前線として両国から利用されているという立場において
治安維持活動のほか、両国の諜報活動や破壊工作を阻止するという任務もある。
平和を維持するためには、上層部が「連邦との安保条約を結ぶ」ことと
かつ「連邦と王国が再び戦争状態にならないように、両者の国交回復まで自国で火種を起こさせない」ことが最低限必要。
そのため、まず一巻では「国内の排外主義者」の破壊工作を阻止しつつ、右派と左派のバランスを取ることで治安を維持する。
国内の排外主義者が、理想のために後先考えずに戦争の火種になるような排外行動をとろうとするのをつぶした。

- 作者: カルロ・ゼン,品佳直
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/02/09
- メディア: コミック
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一方、二巻では国外の勢力によって東部地方が再び開戦のきっかけにされそうになるのを防ぐ。
・「王国側諜報員(シスターや神父)による反連邦感情を煽る情報工作」
・「連邦駐屯軍(15師団)による東部地方の麻薬汚染」
(「第二兵站部」は製薬会社と駐屯軍の共犯による麻薬密造→組織的密売ってことでいいかな)
・「連邦の合同調整局(大佐)による介入」
などがいっぺんに起きているので、1巻より相当難易度が上がる。
しかし、要するに「外部勢力に共和国内では問題を起こさせない」
「共和国内の人間が外部勢力を害するのもさせない」という守りに徹しているとみればわかりやすい。
いったん15師団の問題は解決したが、
一方で王国側のスパイはまだ健在であり、国内の反連邦・反王国感情を煽って次に何を仕掛けてくるのかわからないという状態で以前緊張状態が続く。

- 作者: カルロ・ゼン,品佳直
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/08/09
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他人が「自分並に賢い」という前提だったり「考えればそのくらいわかるだろう」という前提で考えたり行動したりするのは「怠け者」の仕事かもしれない
ストーリーもいいけど、この作品が面白いのは会話だと思う。
特にこの「怠け者」の部分はなるほどって思った。
およそリベラルの人たちが失敗するのは、まさにこの「怠惰」が原因なのだろうなと思う。
「普段の努力。ただそれだけが望む戦後を齎す(もたらす)
危機感を持ちなさい。祖国の敵はそこかしこよ」「……はい」
「祖国はいまだ平和の敵に包囲されている。
もう二度と私は失うわけにはいかない。
王国のクソは絶対に仕掛けてくるわよ」「やっと終戦になったのに?」
「あなたって人生でお勉強に苦労しなかった口?」
「は、はい?」
「天才肌という感じでもないし……あなたの根っこは怠け者かしら?
他人が「自分並に賢い」と信じているのね。
「考えればそのくらいわかるだろう」と思ったことはなくて?ここまで焼かれた我ら共和国にすら、戦後すぐに戦争を望むアホがいたのよ?
他人の家を焼き払っただけのクソどもが、どうして戦争を嫌いになると思うの?
覚えておくことね。
戦争とはクソ以外の何物でもないわ。
でも、やったことのない屑には、この上なく甘美なのよ。ついでに、大変の屑はアホよ。
知性に期待するとすれば、それは錯誤というものだわ」
「とはいえ、王国の全員がウォーモンガーとも思えませんが…」
「善良でまともな王国人は、あなたのように戦争を厭うでしょうね。
善良でまともな王国人というものが辞書の外にいるとは思わないけれども」
こういう皮肉交じりの「それっぽい」会話を楽しみつつ、
「平和」を維持するために最前線で行動している人間たちを描いた作品。
いろいろ言いたいこともあるけど、読み物としては非常に面白いので結構気に入ってます。続きもはやく読みたい。