頭の上にミカンをのせる

マンガアニメ大好き兼業投資家の日記です。WORLD END ECONOMiCAアニメ化のCFを応援しています。

『陰の実力者になりたくて』  <グリザイアの果実×涼宮ハルヒ=JOKER?>という謎の方程式

おすすめ度★3.5
昨日は映画「ジョーカー」の話をしたので、ついでにこの作品も紹介しておきます。

異世界転生ものであり、展開も割とあるあるな「俺TUEEE」ものではあるのですが、
主人公のイタいキャラと、「細かいことはいいんだよ!」といわんばかりの強引でテンポが良い物語運びの相性がとてもよく
読んでいて心地よい感じの作品です。

繰り返しますが、この作品の良さは「テンポの良さ」です。
情報の圧縮がとても上手くて、面白いところを矢継ぎ早に繰り出してくるのがうまい。

なろう発のアニメ作品は結構つらいものが多いですが、この作品はアニメ化しても楽しめそうな気がします。
そういえばなろうじゃないけどなろうっぽい「魔王様、リトライ!」のアニメは全く期待したなかったけど割と面白かった。


ラノベ新人賞2019で一位を取った作品でもあるので、面白さはお墨付きです。読んでみてください。
comic-walker.com


もし「涼宮ハルヒ」が自重しない中二病の持ち主だったら……

「涼宮ハルヒ」という作品は、すごくすごく雑に言うと

・思ったことが無意識に現実になる「神」に等しい存在である涼宮ハルヒが
・奇抜なふるまいとの裏腹に普段は極めて常識的な思考をする人間であり
・かつ周りの人間がそれをフォローすることによって彼女が満足できる程度の日常を作り上げていく

という感じのSF作品だったと認識してる。最新作読んでないから違ってたらゴメン。


この作品の主人公も作中で明言はされていないが異世界転生後に、そういう感じの能力を与えられているように読める。
とにかく彼が考えたでまかせの妄想話が、だいたいその通り作中世界で現実になっていく。

主人公が中二病をこじらせているせいで、設定が無駄に回りくどい

この主人公は涼宮ハルヒと違って、重度の中二病を患っている。

単に「俺TUEEE」がしたいだけならわかりやすいのだが
あえて「影の実力者になりたい」というややこしい願望を持っている。


その結果として、社会を裏から混沌に陥れようとする「闇の結社」と人知れず戦う、
対抗勢力としての闇の勢力「シャドウガーデン」(アイタタタタ…)を率いる陰の実力者になることを夢想する。

この妄想が、主人公の知らないところで着々と形になっていくという展開だ。

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「陰の実力者になりたくて」2巻117p


主人公自身は自分にそんな能力があるとは知らないから、黙々と地道に努力しているので好感度は高い

面白いことに、主人公自体は自分にそういう能力が備わっている(あるいはそういう運命に愛されている)ことは知らない。

だから、すごく地道に研鑽して自分の力を高めるし、
目の前で困っている女の子がいたらその女の子を一人残らず救っていく。
(上条当麻みたいに必死になって助けるんじゃなくて、なんか「ついで」が多いけど)

助けた女の子に自分の中二病妄想を吹き込んでしまうのだけが玉に瑕だが、それ以外は実に好青年である。



しかし、さっきも言ったように、この作品世界では主人公の妄想は現実化する。

思考は現実化する_アクション・マニュアルつき

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そのため、本当に作品世界に悪の秘密結社が誕生し、人知れず悪事を行うし、
それに対して、助けた女の子たちが主人公の妄想を信じてそれに対抗するため組織を作り上げていく。


その結果として、主人公自身はまるでゴブリンスレイヤーのように地道に学生生活をこなしながらレベルアップをしているのに、
裏では主人公を崇拝する女の子たちが、世界を救うために壮大な戦いを繰り広げ、そのリーダーとして主人公を掲げているというズレが生じる。

ゴブリンスレイヤー 1巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

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このギャップがとても面白い。
この自律的に動く女の子たちを見ていると、「とある魔術の禁書目録」や「グリザイア」シリーズの主人公とヒロインズとの関係を思い出す。

グリザイアの果実・迷宮・楽園 フルパッケージ - Switch

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グリザイアの楽園 サンクチュアリ フェローズ (チャンピオンREDコミックス)

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すでに実態としては夢がかなって「ジョーカー」のような存在として君臨しながらそれを自覚することができない主人公というコメディ

自覚がなく一学生として生きてる主人公が、最終的に自分の立ち位置を理解してからどうなるのか楽しみ。

多分そうなるとこの作品の面白さが終わってしまうので作品ごと終わってしまうのだろうけれど

逆にどこまでこのズレを維持し続けることができるのか。

このあたり作者さんの力量が問われるところだと思うのだけれど、現時点ではとても面白いのでぜひこの勢いでいけるところまで行ってほしい。

陰の実力者になりたくて! (1) (角川コミックス・エース)

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