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「槙野さやか版ジョーカー」が読みたい人は、「DEAD TUBE」12巻を読むといいと思うよ

https://anond.hatelabo.jp/20191022025053anond.hatelabo.jp
読んだ。私もクリストファー・ノーランのバットマン三部作とジョーカーのリンクを意識しながら見てた人間なので耳が痛い。


ちなみに、私はタイトルの時点でスルーしてたので槙野さやかさんの文章は増田を読んだ後にチェックしたのだけどこの文章読んでて、「槙野さんが批判してるようなキャラ最近どっかで見たなー」って感じて記憶を探ってみた。


それで思い出したのが「DEAD TUBE」の12巻。
槙野さやかさんの文章は、「ジョーカー」ではなくまさにこの「DEAD TUBE」の批判にはぴったりフィットすると思う。



DEAD TUBE12巻のあらすじ

あらかじめ言っておきます。ゲテモノです。ゲテモノ好き以外にはお勧めしません。
この作品は、自覚的に「C級」作品として低俗なことをやりつくそうとしており(誉め言葉)
あらすじを読んで胸糞悪くなった人は絶対に読まないようにしてほしいです。



あらすじはだいたいこんな感じです。


ある若者が、逆恨みで金持ちを殺そうとする話。


犯人のキャラクターはまさに槙野さやか版ジョーカーの通りです。

「自分にはもっとすばらしいものが与えられるべきだったのに、そうではなかったから、自分が与えられるべきだったはずのものをもらっているやつらを燃やす」


この巻に出てくる犯人は自意識が異常に高く、根拠なく自分が世間で成功することを夢想しつつ、ネット掲示板で他人を見下す発言ばかりしている。

しかし、ある日、急にネットで何を言っても相手されなくなる。
「ゴミ大先生」というあだ名をつけられ、自分が発言しても反応せず、ただ通報されて即座にBANされるだけになってしまう。
こうして居場所を失った彼は、自分の居場所を奪った人間を恨み、やけっぱちになって殺人を実行しようとする。
 


おそらくこの展開はネットで表面的に理解されている「低脳先生」のエピソードを下敷きにしている。理解が浅いのはわざとそうしてるのかな?
Hagexさん刺殺事件11日初公判 恨み募らせた被告:朝日新聞デジタル


また、この犯人はあらかじめ「自分が恨んでる人間を殺す」と掲示板に書き込み、大勢の人が彼の動向を見守る中で殺害計画の実行に赴く。
このあたりは言うまでもなく秋葉原事件の「加藤」なんだろう。

さらにいうと彼が恨みに思って殺害しようとしたのは、ZOZOの前澤さんをモチーフにした人物なのだが、無理やりhagexさんと前澤さんを結び付けようとしたせいで無茶苦茶なストーリーになってる。


f:id:tyoshiki:20191022104145p:plain
©「DEAD TUBE」12巻 ツイートの引用とかバスキアのもじり絵とか悪ふざけが過ぎると思うけどいいのかこれw

まぁ殺害動機はもっとチャチなものなんだけど、殺害現場においてのやりとりは、槙野さんが批判してるようなイメージに近い。

「いじめ…じゃないよ。誰も君を殴ったりしてないだろ?」

「排除…仲間外れは立派ないじめだろうが!!」

「だったら、ほんの少し努力すればよかったんじゃないかな。
 みんなの仲間になれるように。楽しく過ごせるように言葉を選ぶ訓練を。」

「なんだよそれ、そんなの暴力のいじめを受けてる子供に
 君が弱いのが悪いんだとか、いじめられたくなかったら体を鍛えて戦えるようになれって言ってるのと同じだろ?
 あんたは苦しんでるいじめられっ子にそんなアドバイスすんのか!?」

「どこの誰だかわかんねえ奴に、俺は最後の最後の居場所も奪われたんだ。
 そいつは俺と違って、なんでも持ってるとんでもセレブ野郎でSNSじゃあ、いっつも正論しか言わないみんなのヒーローだった
 だから、俺はあんたを殺すんだよ

「なんでそうなる? 僕を殺したって、君の現状は何も変わらないだろう?」


んで、まぁ結局この犯人は殺害を完遂する前に主人公たちによって殺されて、殺害は阻止されるんですが。
そのあとの主人公による動機説明も、本来の「ジョーカー」と違って「槙野さやかさん版のジョーカー」に近い。

「教えてほしい。なんで彼はこんなバカなことをしたんだ?
 完全な逆恨みだし、こんなことしたところで彼の人生は好転しない」

「その人は、ここに来る前に掲示板に殺害予告を書き込んでいました。
 たぶんそれが彼の約束…
 ただ、そんな書き込み誰も信じませんでした。
 …でもね、だからこそ彼は実行するしかなかった」

「な、なぜ…」

「掲示板のみんなに自分を認めてもらうため。
 この世界で唯一か待ってくれる仲間たちに、自分の存在を認めてもらいたかったんです。
 あなたの目から見たら本当に……くだらない理屈でしょ?」

「…僕は間違ってたのか?」


「いいえ、あなたは何も悪くないし、間違ってもいないです。
 生き方も正しいし、言ってることもすべて正しいですよ。
 ただね、正義の正論が僕たちみたいな底辺には一番の暴力だったりするんです。
 だからどうか、あまり大声で僕らをいじめないでください。
 あなたたちが十二分に正しいのは知ってますから」

とまぁこんな感じです。

わずか80ページほどで完結する短いエピソードなので、詳しくは自分で読んでみてください。

DEAD Tube ?デッドチューブ? 12 (チャンピオンREDコミックス)

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「槙野さやか版ジョーカー」を具体化してみると、映画「ジョーカー」と比べてしょぼすぎる問題

ちなみにこのエピソードは、作品のメインシナリオの前座に過ぎず、この犯人はただの雑魚として扱われます。
「槙野さやか版ジョーカー」だと、ジョーカーってこの程度の陳腐な存在になってしまうわけです。


ただこれだけの薄っぺらい話が果たしてあれほど話題になると思いますか? ならないでしょ。



本来の「ジョーカー」という作品をこれほどまでにチープな存在として語ってしまうの、普通にやべえだろ……
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私は私で、作品単体でキチンと見れてないし、後半のジョーカーはなんか陳腐だなって感想を書いちゃってますが
そういう感想を持った私からしても、「槙野さやか版ジョーカー」はしょぼすぎると思った。

ネットでは、自分が批判する対象を軽く見積もる人は死亡フラグ。そんなことでは長生きできないゾ。



個人的に私が槙野さやかさんの記事が気に入らないのは、できの悪いguri_2論法になってるから

なお、多くの人が指摘しているように、槙野さやかさんの文は末文でこのようにしめている。

私にはそういう映画にしか思われなかった。だから本作を観たあと、映画通の友人に「怖いね」と言った。「アーサーみたいな人、増えてるもんね、なんかこう、無限の賞賛を求める系の人。ホアキン・フェニックスがアーサーを魅力的に演じすぎていて、まるで時代のヒーローみたいに見えて、よろしくないよ、あの映画はだから、私は支持できないよ」。

すると友人は言った。「あの監督はそんなこと考えて撮ってない。前半のアーサーを貧しくてけなげな男性として撮っている」。

私はぞっとした。映画のどの場面よりぞっとした。友人は言った。その話、書いたらいいよ、インターネットに。

文章中で「私=槙野さやか」とは断言してないし、むしろ叙述トリックだってネタがやりたかったのかな?
彼女は普段から創作話を現実っぽく書いて、現実の話を創作っぽく書くタイプの「創作実話系」アカウントらしい。 一時期のフミコフミオさんみたいなやつね。


私はそういう記事を書くことを全否定したいわけではないけれど、その場合は「ポーの法則」が適用されるべきだろうなとは思います。

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ユーモアの明白な表出が無い限り、誰かが本気だと誤解しない形の過激主義または原理主義のパロディを作るのは不可能である。
「ネタ」の場合は「ネタ」だとはっきり解るようにしておかないと、「(客観的に見てネタにしか見えないレベルの)過激で極端な主張」を本気だと勘違いしてしまう人が出てくる

繰り返しになるけど、槙野さんは「原理主義のパロディや皮肉」がやりたかったのかもしれません。
でも、はてブの反応を見る限り、そのように受け取った人は少なくてむしろ「批判されたときの言い逃れとして卑怯」みたいな受け取られ方が多い。
つまり「ユーモアの明確な表出」に完全に失敗してるように思います。




あと個人的には、取ってつけたかのような友人を話中に登場させるの、guri_2さんを思い出してしんみりするからやめて(笑)
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せっかくguri_2さんが「要は勇気がないんでしょ?」という真のマウンティング概念を生み出してくれたのに。 

はてなではアーサーと違って後継者が生まれない……。槙野さんもダメだった。記事の内容そのものより、そのことが残念です。 

guri_2さん、5年に一度でいいから戻ってきて…… ネクストguri_2さんはやく登場して……。
真のguri_2後継者が生まれるまで、偽guri_2は全部ぶちころがしていかなきゃ……(使命感)