お笑い芸人のチュートリアル徳井さんという人が、ADHDなのではないかというのが話題になっています。過去のツイートの例などを見る限り、おそらくそうなのでしょうね。
とはいえ、私はこの人のこと知らないので、この人自身がどうなろうが知ったこっちゃないです。私が気になるのは、今回の件で「発達障害の人」=「徳井さんレベルでだらしない」という事実に反する偏見が広がったりしないでほしいなあということだけです。
今回の件はルーズさとかADHDだけで説明できるものではなく、明確に徳井さんが故意に行った悪意のあるものだと考えるべきであり、その言い訳にAHDHが悪用されるような事態は歓迎しない
うっかりとかルーズとかじゃあないですわね。悪意のあるガン無視レヴェル。https://t.co/7T0N1NmJIv
— よーかん (@yo_kan1971) October 26, 2019
1) 設立して第1期目から無申告
2) 第3期末すぎてから都合3期を一気に申告
3) 第4期~第6期を無申告
4) 第6期末すぎてから都合3期を一気にアゲイン
5) 申告しても2)と4)の納税はガン無視→預金差押え
6) 個人事業主分の申告も都合6年分シカト
7) 役員報酬は取るが社保加入シカト
徳井、想像を絶するルーズさっていうけど、旅行代や衣類代を領収書きって経費に落とそうとしたわけだから全然ルーズじゃないよね
— ピナクル (@pinnacle365) October 27, 2019
ずいぶんと都合のいいルーズがあったもんだ
今回の件はルーズさとかADHDだけで説明できるものではなく、明確に徳井さん個人が故意に行った悪意のあるものだと考えるべきであり、彼がADHDであろうということと、彼の今回の行為はADHDならやりかねないと評価されることとは全く別です。明らかに今回の件は徳井さんという人間個人の問題です。切り離して考えてほしい。
ネットでは何かと発達障害は大げさに語られがちであり、当事者の人も「自分の苦しさ」をわかってもらいたいあまりに大げさにわかりやすい例を挙げがちです。
今回の件で発達障害について興味を持たれた方は、ぜひぜひ簡単なものでいいのでちゃんとした解説を読んでほしいなと思います。
自分は発達障害じゃないけど発達障がい者について理解したいと思う人向けのおススメ本
今まで何度となく「入門レベルで興味を持ってもらえそうな本」を紹介してきましたが
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特にこの2冊がおススメです
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イメージで理解したい人はこの本もおススメ。
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実際に発達障害者だけど「ゴミ捨てができない」レベルの個別具体的な悩みについて解決策のヒントが欲しい人向けの本
最近はこの本がものすごくわかりやすくて役に立つと思ってるのでおススメです!
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本
- 作者: 村上由美
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2018/03/14
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ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に働くための本
- 作者: 對馬陽一郎
- 出版社/メーカー: 翔泳社
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- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が会社の人間関係で困らないための本
- 作者: 對馬陽一郎,安尾真美
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2018/04/18
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だいたいどの本を読んでも同じ内容が書いています。シチュエーションに合わせて書き分けてくれているので、1冊だけ読めばOK。どれか一冊だけ自分に合った本を選んでみてください。どの本がいいか迷ったら「上手に暮らすための本」をまず読んでみてください。一番網羅的に説明がされています(その分ちょっと薄い)
この本は、読者一人一人が「生活マニュアルの叩き台」として使用することを目標として作成されており、Yahoo路線情報などのアプリの使い方からメイクの仕方まで具体的にヒントを載せているのが特徴です。一冊持って、自分なりにアレンジして「自分のための生活マニュアル」を作るためにとても便利です。
①ADHD/ADD、ASD、LDだけでなくDCD(発達性協調運動障害)についても触れられています。社会人だと、ADHDではないがDCDで困っているけど、そもそもこの概念を知らないから自分に何の問題があるのか知らない、という人も少なくありません。
②特にADHDとASDの特徴の違いを考慮し、それぞれの特徴を先に述べた後その対策を説明してくれています。発達障がい者あるあるなのですが、「自分の発達障害の特徴」についてだけ詳しくてほかの発達障害者の事情を軽視しがちな人がかなりいます。そんな人にはものすごく役に立ちます。
◆たとえば、「ゴミがなかなか捨てられない」という問題があったとします。
まず、そもそも発達障害だという認識がなければ「自分がだらしないだけ…」と自信を無くしてしまいます。
次に、発達障害かもしれないと思っても「ADHD」とか「ASD」の片方の特徴と対策だけしか知らないと、その対策が当てはまらない時に絶望してしまったりします。
この本では「ADHD傾向が強い人は、行動を組み立てたり自分が楽しいと思わない行動を先延ばししたりすることが多いため、ゴミ捨てはルールが細かすぎると分けているうちに注意がそれる。もしくはごみを捨てようという気持ち自体がうせてしまいがちだ」とする一方で
「ASD傾向が強い人はルールがはっきりしていることであれば(それが複雑であっても)守れるが、ルール変更に弱く、さらに同じ言葉でも意味が違うといったあいまいなことへの対応が難しい」とはっきり分けてくれています。
これ全然違うのわかりますか? 必要な対策も当然異なってきます。
このように、「発達障害」とざっくり認識してるだけだとうまく対応できないのです。ADHDであれば「簡便性」が重要です。ADHDの人は短期的な衝動に弱い代わりに融通は利きます。一方ASDの場合は「基準が明確であること」「きちんと明文でルール化されていること」「習慣を妨げられないこと」が重要になります。セットアップの手間さえきっちりこなせば、あとは変更しない限りきっちりこなせます。
発達障がい者は「無能」なのではなく「できるようになるための過程や条件が違う」だけです。それを正しく認識するためにこの本はとても役に立ちます。
③さらにこういう人たちが、スマートフォンを使ってどのように発達障がい者が生活や仕事において感じる問題を緩和するかにつき一つ一つ具体的に案を載せています。この「対策の具体性」こそが本書の最大の特徴で、とりあえず言われた通りやれば、不格好でもできるようになります。まずこの「できるようになる」が大事。あれこれアレンジしたり考えて改善するのは「できる」状態を作ってからでも遅くない。小さな「できる」を一つ一つ増やしていくことで、八方塞がりなところから少し前進できる。そのことをよくわかってくれてるなと思います。
発達障害の本は個別具体的なことについて概論を述べてる本が多くて、「ゴミ捨て」とか「体調管理」などの切実な問題なのに「個人で何とかしかしましょう」って言われがちなんですが、本書は「発達障害は生活障害」という観点から、些細なトピックこそ大事にして、一つ一つ丁寧に説明してくれています。自分が何かに困った時に参照するレファレンスとしてとても使い勝手が良いです。
④さらに発達障害者個人の問題として、「他人とのコミュニケーション」についても、理想の話じゃなくて本当に最低限何が必要か、という観点から説明してくれているのもほかの本よりも親切だなと感じます。「頑張ってるのにできない」って悩んでる人間からすれば、ここまで頑張ればとりあえずOK」を示してくれるのは非常に心強い。
筆者は、発達障害者の自立のカギは、「時間、物、お金の管理ができること」だと考えていたが、今後はそれに加えて「他人と協力できる場を持てること」「生き延びるための体力」が必要だとも思い始めている。
というわけで、もしこういうことで困ってる人がいたら、
まず立ち読みでいいので気になるところをチェックしてみてください。