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『君を死なせないための物語』 ラディカル・フェミニズムの狂気を結晶化したような世界設定が興味深い作品

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この発言で、作者の吟鳥子さんに興味を持ったのでとりあえず1巻を買ってみました。


ファーストインプレッションですが、なんだこれすごい頭おかしい!って感じです。
「彼方のアストラ」の最後の真相(歴史改変)をよりえげつなくしたようなストーリー。
2話まで読んだだけですでに気持ち悪くなってきた(誉め言葉)。

「ねえおじいちゃん。蚕って自分の生きた意味わかるのかなあ。
 繭の中で眠ったままゆでられて、死んじゃって。
 幸運な数匹は次のせっだいのために羽化させるけど、繭から出てきてもすぐに死んじゃう。

 ねえ、こんなの生きる意味なんかあるの?

「だが最後に、そいつらは月のように白くてきれいな羽を広げるよ」

「飛べないけどね」

すげえなこれ。



別に世界設定がそれほど特殊ってわけでもないと思う。
「約束のネバーランド」とか「7SEEDS」とか「わたしを離さないで」とか。
もっと単純化したらそれこそ「マトリックス」みたいなもんなんだと思う。
でもそういうガチガチの管理社会に「生殖」要素を混ぜるだけでグッとねちっこく感じられる作品になってる。



冒頭から子供たちが「セクハラ」について論じあってるというのがまず不気味な印象を与える

冒頭から横文字を多用しつつ子供姿の主人公たちが「これはセクハラだ」だの「これはセクハラじゃない」だのと議論が飛び交っていてクッソめんどくさい……。

「スカート、足を出してご家族に怒られない?」
「あっ…その。インドのコクーンでは着ないわ、もちろん。
 でも日本の倫理観の範囲でOKならこれで……」
「日本じゃむしろ上品な方だけど…」
「USAならもっと開放的でもOK!」

「大丈夫?(服装の話をするのは)セクハラになってない?
 セクハラになる前に言って?」

「ううん。大丈夫、セクハラじゃないよ」

「ターラさん、ずばりうちの兄貴はどうですか?」
「やめろよ大地!セクハラだぞお前」
「えー……社会的契約に関する話はセクハラじゃないでしょ。」
「恋とか愛とか猥雑な話に持っていきたいのがみえてんだよお前!」
「ごめんごめん。そんなインモラル(不道徳)な話じゃないよ。普通のエンゲージ(社会的契約)の話だってば。」

現在において大人の男女がセクハラ云々を論じるのはまあいいんだけどさ、、、
子供たち(正確には違うけど)が日常的にセクハラについて意識しないといけない社会って極まりすぎてるでしょ……。


道徳面での思想統制では飽き足らず、遺伝子操作までして性と生殖を切り離し、子供から性的な要素を一切取り除こうとする狂気じみた世界設定

もちろん、これは現代とは全く前提が違うし、作者さんもそういうキツキツの道徳を良しとしているわけじゃない。だが、この世界観はなかなか狂気じみていて面白い。とにかく今と全然倫理観が違うのが当たり前で、その中では「歓楽街に行きたい」というだけでインモラリストのレッテルを張られる。そんな世界観の舞台の話のようだ。


だが、道徳だけならともかくとして、この作品は「新世界より」と同じように遺伝子操作にまで及んでいる。

Ⓒ吟鳥子「君を死なせないための物語」 1巻

狭い空間にひしめき合うように暮らすために
監視カメラのもとで、厳しく社会道徳的な人間関係を求められた。
今思えば、とても奇妙な道徳だった。
幼いころに第一パートナー、性成熟すれば第二パートナー。
契約のない相手に直に接触することは、たとえ子供同士であっても許されなかった。


この結果として、この社会規範は

①子供たちが幼いころから「これはセクハラかそうでないか」を意識させられる
②男女間では、契約関係にない限り身体の接触が行われない。
③それでいて、子供のころから生殖の義務を意識させられる

という感じで、「生殖が最優先」でありながら「性の規範は先鋭化したフェミニスト並」である。

本来はこれすごい矛盾しそうなんだけど、この二つが矛盾しないように、「性」と「生殖」は完全に切り離し、この規範を強制するべく、社会が徹底的に人間を管理し、公共として「ふさわしくない」ものは積極的に剪定してくのがこの社会だ。この社会では、人間という存在は「動物としての人間」を卒業しており、パートナー以外には性欲を抱かない「生殖のためのロボット」のようになっている。


当たり前だが、こういう道徳規範なら、男の子は男の集まりから女の子は排除する。いつでも生殺与奪券を握っている「異端審問官」「歩く地雷」みたいなもんだからだ。気を使っているふりをして遠ざける。

Ⓒ吟鳥子「君を死なせないための物語」1巻



じゃあその世界で女の子は幸せかというとちょっと微妙そうだ。とにかく、公共が認めた手続きを踏んだやり取り以外はすべて「猥雑」としてふさわしくないと切り捨てられるのだ。この厳格な規範のために遺伝子操作までしておきながら、洗脳は一切しておらず、普通に女の子が男の子に対して妄想をしたりする。

なんだこの片手落ちの社会運営。ここまで狂気の社会制度設計したなら、なんで「パラノイア」みたいにちゃんと市民を洗脳しないのか。こんなん人を苦しめるだけやん。何がやりたいんだこの社会は。人権などという意識は完全にどこかに行ってしまっている。



完全に気がくるっている。一体旧人類はなぜここまで人間そのものを憎悪し、管理しなければならないと思うようになってしまったのか

ずっとお昼だと、誰もかも他人のすみずみまで照らしたくなってしまうから。
人類はひとの小さな闇が許せなくなった。

最終的に「どこまで人は人を純粋に愛せるのか」ということを問う物語なのかな?

なお、ここまでえげつない設定をしているのは、最終的に「どこまで人は人を純粋に愛せるのか」ということを突き詰めるためっぽいです。

ただ、今のところは「ここまで人間の人間たるゆえんを憎悪している旧人類によって設計された社会」に対して
普通になじんじゃってる子供たちの姿が描かれており、それがなんかもう見てて不穏な感じしかしない。

「放課後のカリスマ」並みに歪んだ世界観で、見ててしんどいけどたしかにこれは面白いかもしれないので、改めて続き読んでみます。
さらに面白いことになったら追加で感想記事書くかもしれません。




http://konomanga.jp/interview/139436-2konomanga.jp