頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

最近のこのブログのお気に入りは「アークナイツ」です
アークナイツ
kindleセールの紹介
新NISA解説ブログ
発達障害

最近何かと麻薬のニュースが多いので「マトリズム」を読んでみた

麻薬取締官、通称「マトリ」は、厚生労働省地方厚生局麻薬取締部に所属する「厚生省の役人」である。そして拳銃を携行することも許可された司法警察官でもある。任務は「薬物所持者の検挙ではなく、薬物の蔓延を阻止すること」。

何も失うものがないと思っている人間から、最後のひとしぼり=「人間であること」さえ奪うのが麻薬

最初から気づいていたような気がします。
でもあれを飲むと、すごーく気持ちよくなって、嫌なことは全部すっ飛ぶんです。
やめたくてもやめられないんです……。

f:id:tyoshiki:20191124201814p:plain
元は精神治療用の薬剤だったが麻薬として流行した。セロトニンの過剰分泌による多幸感が特徴。現在流通してるものは粗悪品で命の危険もある


(1)友達がやっていて、覚せい剤と知らせず栄養剤と偽って飲ませてくる
MDMAは知らずに飲んでしまってもやめられなくなってしまう。
最初は子供のことを大事に思っていた主婦が、最後は薬が与えてくれる幸福感のことしか考えられなくなって、子供のことを忘れる描写が心に刺さります。


(2)運が良いと(悪いと)、アングラなサイトでものすごく簡単に入手出来る
大半のサイトは金だけ振り込ませてブツを送らなない詐欺サイト。

俺は麻薬ですべてを失う人間を山ほど見てきた。どいつもこいつも、自分にはもう失うものなんて何もないと思っていたような連中だ。そんな連中から、最後のひとしぼり、「人間であること」さえ奪う。それが麻薬だ。


(3)売り手の人間が、まっとうな一般企業の社員であるケースもあるので気をつけようがない。
今まで一切無縁だったのであれば、それだけでも運がいいといえるのかも?



(4)自分の意志でなく一度摂取しただけで幻覚症状に苦しめられ人格が変わる。
運悪くそういう場に出くわして、断り切れなかったり強迫されて摂取した後、副作用に耐えようと思っても無理。
冷静な思考が全くできなくなる。ヤクが欲しいという気持ちは個人では絶対に耐えられない。 

お前は何もかもわかっていた。しかしそれでもなお。
ありもしないポーチの中身が欲しくてほしくてのこのこと舞い戻ってきたバカ野郎だ。
そして、それこそが覚せい剤の恐ろしさなんだよ。


(5)麻薬所持使用の初犯は異常に罪が軽く、執行猶予が付く可能性も大。
だいたい懲役1年6か月の執行猶予3年。
完全な更正が不可能であり、本人にその意思がなければ更正することなくそのまま表の世界に戻ってる。
麻薬に溺れて女を殴るような男でもすぐに出所してくるので被害者の女性は安心できず、逃げるしかない。

もちろん警察が監視したり、定期的なチェックをすることもあるし
本人が更生したい意志があるのであれば自助会やグループホームで社会復帰支援を受けられる。

→しかし、こういうところにも売人が潜んでいるケースがあり、逃げ場はない。
 何より、自分が我慢できなくてそういう売人を探し求めてしまう。

みんな自分自身のかこのあやまちを深く後悔していて、
真剣に薬物から手を引きたいと願っています。
本当に本当にそう願っています。
そして、明日からまた新しい人生を始めたいと心から願っています。

その気持ちは嘘じゃない。絶対に嘘じゃない。
でも、本当でもない。自分で自分がわからない。

目の前にいる警察の人に助けてほしい……。でも今日は帰ってほしい……

やるやつはぶん殴ろうが泣いてお願いしようが、必ずまたやる。
死んでもヤクの夢を見る。


(6)再び手を出さない人間は何割くらいなんだろう?

f:id:tyoshiki:20191124205221p:plain
クスリ以外の「助け」がなければ絶対に薬に頼る羽目になる


この辺りは、「アルコール中毒」の話を取り扱ったこの作品の6巻でも同じことが語られていましたね。

健康で文化的な最低限度の生活 (6) (ビッグコミックス)

健康で文化的な最低限度の生活 (6) (ビッグコミックス)



(7)子供たちは確実に大麻への抵抗感が薄れている(らしい)
「覚せい剤」はダメだが「大麻はダメじゃない」というネットの情報や実際に国によっては違法ではない、ということから軽い気持ちで受け止めている人が増えている。「使ったらどうなるか」がわかっていないか深刻に考えていなかったり、「ほかの人がいいといってる」と言えばなんとなく大丈夫だと思ってしまう。



(8)では大麻を吸うとどういう状態になるか

①とにかく何もかもが面白くなる
②ものすごくのどが渇く
③異常な空腹感に襲われる
④音の感性が研ぎ澄まされる。

ーーーーここまでは良いのだけれどーーーーー

⑤記憶や時間の認知があいまいになり、記憶が飛ぶようになる
⑥自分の意志で自分が制御できなくなる。
⑦自覚症状が出ても止められない。

適当な感想だけれど、麻薬って「自分の頭の中に自分を操る寄生虫を入れる」ような感覚なのかもしれない。



(9)麻薬取締官に逮捕される人はまだ幸運で、誰も止めてくれなくて破滅してから逮捕されることもある

f:id:tyoshiki:20191124210807p:plain
結局のところ最後の最後は自分で気が付くか、だ。自分が手を染めたものの本当の恐ろしさに




(10)ヤクをやれば創造性がーとか言ってる人は全員ニセモノだ

おまえに一つだけ教えてやろう。
漫画家やミュージシャンその他もろもろ。
ヤクをやって神を降ろすなんていってるような連中は全員ニセモノだ。
やつらはいつだって、ただヤクがやりたいだけだ。そのことだけは憶えておけ。

(11)パチンコ屋にいってたら怪しい人間に声を掛けられて、うっかり仲良くなるとヤクを売りつけられたり

たいていの人間は、自分の知らないうちにいつの間にか、気が付いたらあっち側にいる。
自分がいつどこであっち側に足を踏み入れたのか。それは本人が思っているよりもずっとずっと前のことだ。

(12)大麻を吸ってるけど禁断症状が「弱い」人もいる
その依存度のギャップから、問題が明るみに出るケースもある。



「マトリズム」感想  ものすごく描写が地味な作品でアリ、それが逆に麻薬の怖さを引き立たせていると感じる。

読んでいて、ものすごく日常感がある。

薬物を入手する展開に「そのエピソードの主人公が勇気を出して行動する」描写があったのは1つくらい。
後は「身近に薬物があったから、つい出来心で」というものが多い。

気が付いたらいつの間にか麻薬に手を出していたり中毒になってしまっている。

そのくらいびっくりするくらい物語に起伏がない。漫画としては正直あまり面白いとは思わない。

だからこそ怖い。「たいていの人間は、自分の知らないうちにいつの間にか、気が付いたらあっち側にいる。」という言葉の通り、みんなクスリに最初に手を出す時はものすごく簡単に手を出してしまっている。



どちらかというと劇的に描かれるのは「やばいと気づいてから」の心の葛藤である。特に「薬を捨てるとき」や「自首を決意する時」などはかなり強調して描かれている。

手を出す時はものすごくあっさりしていて、でもやめるときは地獄の苦しみを味わう。薬というのはそういうものなのだろうな、と思う。

私はただでさえ自分の意志が制御できない人間だし、お酒ですらろ2~3杯飲むと簡単に酔っぱらってしまう。ヤクに手を出したら100%助からないだろうと思う。「他の人が大丈夫だったからといって、自分は助からないだろう」と思って絶対に近寄らないようにしたい。