最近のいきなりステーキの凋落ぶりは半端ないですね……。
みなさん覚えておられると思いますが、いきなりステーキって1号店ができてからまだ6年しかたってないんですよね。
その間に株価と業績はこんな感じで動きました。
外食という産業でこれはクレイジーすぎますね……。
いきステは1号店出店からわずか6年で487店舗まで拡大。
時代が違うとはいえ、あのファーストフードのマクドナルドですら100店舗まで到達するのに4年間かかっていることを考えると、ステーキ屋なのにこのスピードはかなり異常です。
本当は今年も200店舗以上出店予定でした(実際は115店舗出店&47店舗閉店に計画を下方修正)。
2016年末に115店だった店舗数は、17年末に188店、18年末には389店まで増えた。
2017年以降、3か月に2ケタのペースで出店を続け、1号店誕生からわずか6年で487店(2019年10月末、フランチャイズ店を含む)まで膨張した。
すごいというか、やりすぎステーキですね。
株価は半年先を織り込んで動いた
イケイケステーキの株価は半年先を織り込んでアゲアゲステーキになったのですが
逆に言うと半年後まで好材料をたっぷり織り込んだあと成長が止まった結果サゲサゲステーキに……。
株価のピークは「アメリカ進出するぞ!」「アメリカで上場するぞ!」とイキりステーキになっていた時です。
それがダメっぽいぞという話になってからも国内ではもうちょっとだけは伸びていました。
業績のピークは2018年の10月~12月です。
しかし株価は2018年1月時点ですでにピークアウト。そこから今日にいたるまでずっと下がり続けました。
既存店の月次は2018年後半からすでにダメだったのを新規出店でなんとか帳尻を合わせていた
その限界が来たのが2019年9月でした。
2018年後半の時点で方針転換したり増資ができていたら助かっていたでしょうね。
RIZAPはその点において、松本さんがCOOになった時にすぐに増資を断行して350億円を市場から巻き上げたおかげで生き延びることができそうな状態です。
(これやってなかったら今期にも債務超過になっていました)
www.tyoshiki.com
株価が高いところで増資ができなかったため、いきなりステーキはギリギリステーキになってしまいました……。
いきなりステーキがどのくらい行き詰まりステーキ状態であるか
ぶっちゃけ、上場してなければとっくに銀行から貸しはがしにあって倒産してると思います。
客を呼び戻す算段があと3か月以内に立たない場合は債務超過に突入します。
最後の手段として「増資」と「売却」がありますがそのどちらも苦しいでしょうね。
なぜかというと……
債務超過まであと8億円しかない
19年12月期第3四半期に19億2200万円の赤字を計上。その影響で資産の合計額260億円に対して、負債が246億円に迫りました。
純資産14億円という首の皮一枚で債務超過を回避していますが、負債比率は1757%。
600%を超えると早急な経営改善が必要と言われる中、軽く1700%超えるという胃に悪そうな数字に。
なお、純資産14億ですが、これは今期の3Q時点です。
通期ではさらに̠マイナス6億の赤字が上乗せされるので純資産は8億しか残ってません。
債務超過ギリギリなので増資しなければ赤字店舗の閉店すらできない
さらに言うとこのマイナス6億は、あくまで47店舗だけ閉店した場合の数値です。
これ以上閉店するとさらに減損が増えてゲームオーバーです。
むしろ、計画で47店舗しか閉店できなかったのはもはや閉店するにもそれだけしか余力がなかったからです。
他にも赤字店舗は残っているけれど閉店できないのでその店は引き続き赤字を垂れ流すことになります。
外食チェーンの粗利率、営業利益率
— 加瀬谷 真一 (@KessanMaster) December 18, 2019
鳥貴族 粗利70.1% 営利 3.3%
サイゼ 粗利63.5% 営利 5.6%
大戸屋 粗利56.8% 営利 1.6%
スシロー粗利51.9% 営利 6.7%
いきなりステーキ 粗利41.1% 営利 0.1%
どこにお金をかけてて、どこにお金をかけていないのか考えると面白い。
もともといきなりステーキは粗利率・営業利益率が極端に少なかったため、売上高前年比60%以下ということは、よほど前年度儲かっていた店舗以外、ほぼ全店舗が赤字になっている可能性があります。
これだけでも苦しいのに、何度も肉マネーチャージボーナスを乱発して売り上げの先食いをしているので次年度はさらに売り上げが下がる可能性が高いです。
増資できなければゲームオーバーはすでに確定しているが、理論株価がまだまだ高すぎて増資を引き受けてくれるところが未だに見つかっていない
その前に増資をしなければ絶対に助からないのですが、引き受けてくれる先がいなければ遅くても半年後には債務超過で監査銘柄行きからのゲームオーバーです。
しかし、今のところ増資に応じてくれる会社がなく、公募増資をするしかない状況ですが、公募増資もうまくいきそうにありません。
なぜかというと、株価がピークから6分の1まで下がったにも関わらず、現状を考えるとまだまだ高すぎるからです。
今回、減損した店舗数は退店も含めて47でしたが、いきなりステーキは年間100~200店舗もの出店を重ねていました。凄まじい数の店舗が減損待ちをしていると考えると戦慄が走ります。
株価は11月15日に1397円の年初来安値を更新しました。しかしペッパーフードサービスのPBRは23.6倍と、いまだ高い水準を維持しています。ブロンコビリーのPBRは2.3倍です。ステーキのあさくまも2.2倍と同水準。仮にペッパーフードサービスのPBRが2.3倍まで下がったとすると、理論株価は136円です。
最後に買収に期待するしかないですが、ぶっちゃけ一ノ瀬社長が経営権を握ってる限りはどこもこの会社を欲しがらない気がします
というわけで、自分がペッパーフードサービスの社員だったら今胃が痛くて死にそうになってると思います……。
それでも、いきなりステーキ現象は本当に面白かったです
いきなりステーキ亜種、意外とある。 pic.twitter.com/0DpcXgejzn
— 歯痛(はいた) (@rockoverjapa) March 24, 2019
日本の外食産業において、こんなに急成長してこんなに急速に落下していく会社がいまさらあるとはだれも思わなかった。

- 作者:一瀬 邦夫
- 出版社/メーカー: 商業界
- 発売日: 2015/03/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この記事書いてから1週間もたたないうちにいきなり増資きましたね……
おそらく投資関係者全員が「知ってた」って反応だと思います。増資発表前に株買ってた人の気持ちは正直よくわからんです……