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20000からの日経平均急落の原因はコロナではなくて原油急落によるCLOリスクの浮上

アメリかのSP500市場で、2016年ですらなかった初のサーキットブレイカーが発動しました。アメリカは普段ストップ安がないのですが、市場全体で一日7%以上の急落が起きたときだけ発動する異常事態宣言のようなものです。

投資やってる人はみんなわかってると思いますが、今日の急落は「コロナ=NYの緊急事態宣言」が原因ではありません。「原油価格の急落」が原因です。

というより、3月6日まではリスクパリティによる現物売りなどはあったものの、ヘッジファンドなどは現物株をむしろ買いに行ってました。つまり「コロナ」についてはその程度だという認識だった。「コロナ」だけならおそらく20000割れからはリバウンドという流れもありえたと思います。しかし、今週月曜日に態度が一転。全力でリスクオフ姿勢に転換して投げ売ってきました。


というわけで、今日の下げについてコロナがメインの原因と考えるのは明確に誤りなのですが、ニュースが頓珍漢な説明をしており、誤解している人も多そうなので一応説明しておきます。


今日の下落の原因はコロナではなく原油ショック。原油価格はすでにリーマンショック時の底を下回る

その結果、原油先物価格はリーマンショックの時の最安値を下回りました

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前代未聞のチャート。15分足なんだぜ、これ……

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さすがにプロの人たちもこれには唖然

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3分の1まで 

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リーマンの時の原油価格の値動きは本当に頭おかしかった




原因はこちら
www.bloomberg.co.jp

元々チャート的に価格抵抗帯である40を割ったらヤバイ、というところだったのですがまさかのワープ。
これはファンドマネジャーの多くにとって予定外だったと思われます。
先週後半から買い転換していたファンドはリスク回避のためにぶん投げざるを得なかった。


先週まではリーマンショックの時にも話題になったCLOバブル崩壊は「ない」という認識だったが一気に「あるかも?」に傾いてきた

CLOはローン担保証券(Collateralized Loan Obligation)の略です

詳しく説明しても興味ないでしょうから、↓の図を見てください。

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https://finance-gfp.com/?p=2448

リーマンショックの主たる要因はCDO

リーマンショックは「CDO(Collateralized Debt Obligation)」という債務担保証券バブルの崩壊がもたらしましたが、CLOもそのCDOの一形態です。
要するに担保となるものが「国債」「社債」など中心とした債権か、それとも「学生ローン」「自動車ローン」「住宅ローン」などを担保とするローンかが違うだけで、やってることはどちらも似ています。 

①劣悪なジャンク債が
②CDSと紐づけされることにより安全商品と錯覚され
③さらに格付け会社によってAAAを付けられて大量に販売されたことによって根拠なく信用が膨張し
④その膨張した信用がサブプライムローン崩壊をきっかけにした住宅価格下落を受けて徐々に収縮し
⑤実体経済を巻き込んで崩壊した

ことが原因でした。

www.tyoshiki.com


リーマンショックから12年。超低金利が続いたことで高い利回りを求める投資家たちによってふたたび「CLO」への需要が高まりバブルになっていた

www.bloomberg.co.jp

問題の核心は、そもそもCLO市場の成長を加速させたのと同じ現象、つまり超低金利だ。CLOはレバレッジドローンと呼ばれるローンの債権をパッケージしたもので、同ローンは基本的に、伝統的な銀行が容認しないほどの債務を企業のバランスシートに積み上げる。こうしたローンを数百集めて組成されるCLOは、利回りとリスクの異なる複数の部分に分けて投資家に販売される

低金利は、「好調な事業会社にとっては」低金利で借り入れができてその分投資にまわせるので景気刺激にとても良いです。
しかし、すでに説明した通り、ここ数年アメリカは国内での投資機会を失っており、またトランプのレパトリ関税によって国外に資金をとどめおくことができず、国内に資金を還流せざるを得なかったため資金がだぶつき、大部分が自社株買いに走り、需給のひっ迫から株価高騰を引き起こしていた、というのはすでに説明しました。

同様に、低金利が続くと金融商品市場ではCLOなどの商品に需要が高まり、こちらでもバブルを引き起こします。そのくらい、今のアメリカの資本主義というのは投資マネーが貪欲に暴れまわっているということです。

数年前から利上げによる景気後退が、CLOの格下げを招き、バブル崩壊を起こすのではないかという警戒がされるようになっていた


ほとんどのCLOは、CCC以下の格付けのローンが7.5%を超えないように契約で制限されている。このため、アナリストの多くが恐れるように景気が悪化し、レバレッジドローンの格下げが増えると、CLOマネジャーは困ったことになる。CCCになってしまったローンを急いで売るか、条項が発動されてCLO保有者への支払いを止めざるを得なくなる

3月7日までは、緊急利下げにより、少なくともCLOバブル崩壊のリスクが遠のいたことがむしろ評価されつつあった

こんなツイートもありました。アメリカは日本と違って金融政策にまだ残弾があり、さらに財政出動も認められる可能性が高く、ここからはさすがに切り返すだろうという見込みだったのですね。そういう見込みで、20500割れのラインからは現物株はかなり拾われていましたし、VIXも低下しておりいったんの落ち着きを取り戻しつつありました。


しかし、原油の許容可能な範囲を超えた急落により、金融システムの根本たる「銀行」にリスクが高まってきた

今日の相場で一番下げたのは銀行系の株です。銀行系の株は時価総額が大きく市場への影響も大きいので今までで最大の下落幅を演出することになりました。



実体経済の下げだけならリーマンショックは起きない。ただしCLOショックが来たら本気でやばい。

何度も述べてきましたが、ファンダメンタルで考えればダウは22000~23000くらいです。
日経平均も18820を割るとPBR0.9の世界です。これはリーマンショックの時の最安値ラインです。
逆に言えばここから下は買えばいいということになります。
実体経済だけの問題であれば、リーマン級にはなりえません。

しかし、実体経済の崩壊をトリガーとして金融危機になった場合はそうも言ってられません。
リーマンショックの時はどの国も金融政策で金融市場の崩壊だけは支えることができました(実体経済はボロボロになりましたが)。
でも、今回は日本もEUも打つ手がもうありません。アメリカも10年国債の利回りがすでに減りすぎているのでほとんど余裕がない。



まぁ私は今回はCLOショックまではいかないと思っていますが、万が一にはそこまで考えておかなければいけないです。


余談 現時点でもいろんな記録を更新している記録的な下げ

①今回の暴落ですが、まず原油価格が一日で30%暴落したのはおそらく史上初です。

②VIX指数はついに60を越え、ブラックマンデー、リーマンショックに次ぐ第3位が確定しています。

③日経平均の25日線乖離率についても2018年12月ショックの時に記録したマイナス6.2%を超えました。2018年12月ショックの時と同じマイナス6.2%の19845円だったことを考えるととんでもないところまで下がっています。

④マザーズの信用評価損益率もぶっちぎりで新記録を更新しました


⑤すでに100年に1度では済まないレベルの乖離状態になっています。

なお、2018年2月に起きたVIXショックは7σ(10億7000万年に1度)の下げでした。うん、なんか1万年に1度とか10億年に1度のさげが頻繁に起きるNE!