頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「Last of Us」 自分が生き残るために誰か殺す、ということの重みがずっしりと来る…

舞台は謎のウイルスで文明崩壊したしたポストアポカリプスの世界。
愛する娘を失った後希望を失い、生き延びるためならどんな汚いことでもやってきた男が主人公。
いつものように汚れ仕事をやっていたある日、「ウイルスを克服する抗体を持っているかもしれない少女エリー」を託される。
襲い来る感染者やモラルを失った人間たちから彼女を守りつつ目的地まで送り届けることになるが……。

というお話。 

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未だに娘を失った苦しみを克服できず、死んだ娘を思い出させる少女に心を開けなかった主人公と
生まれたときからアポカリプスの世界で穏やかな暮らしを知らず、直前に大事な友を失って心がすさんでいるエリーは
最初相性が最悪だったが、旅の途中で少しずつ心を開き、パートナーになっていく、という話。


噂にたがわぬ超・傑作でした

陳腐な表現になりますが、本当にロードムービーを自分で体感しているような感覚になれる作品。

・理論だてられた研究によって丁寧に構築されたポストアポカリプスを描いた3Gの背景はめちゃくちゃ美しく、それをシームレスに移動することができる。
・モーションキャプチャはもちろんのこと、独自の技術と手作業で細かいところまで調整された表情も演技もとても自然。
・人間だけでなく動物の動きも自然で、本当に画面の中に世界があるような感じです。

ゼルダの伝説BoWをプレイした時にも「世界の中を移動しているだけで楽しい」と感じましたがこの作品も同様です。



さらにこちらは人物までがリアルで、なによりも「殺し合い」をすることになるので、その生々しい手触りを感じます。
ステルス行動を前提にしており、少しミスすると即死亡するバトルは異常に難しくイライラもたまりますが、バトルシーンも白熱でした。



こういったグラフィックやゲームシステムの充実に加えてストーリーがまた重たくて、心にずしんと来ます。
正解のない、みんなが何かを失っていて、みんなが他者から奪わないと生きていけないという絶望的な世界の中で
それでも生き延びるために敵を殺しながら進む、ということがどういうことか。そんな世界の中でも自分が生きようとするりゆうはなにか。大切なのは何か。



そのあたりを嫌でも考えさせられる作品でした。
このゲームをプレイした人がしばらく呆然とした後で、しばらくしてから何かを語ろうとしたくなる気持ち、めちゃくちゃよくわかる。


私もつい人にお薦めしたくなります。




もうすぐ2が発売されるっぽいのですが、引っ越し先にPS4持ってこなかったので2がプレイできないのがつらい……。はやくPS5出てクレメンス。


セカイ系とは違うけどどうしてもセカイ系を思い出すよね……

2014/10/22(水) 12:30:13 ID: MyrVAYxo5h

セカイ系は主人公たちの動向を元にソレが大きく世界に変化を促したりするけど、この作品は主人公たちの心が前向きになったり、成長したり、大切な何か(感情)を取り戻したりしても、世界が救われたり、歩むべき方向性が変わったりするわけじゃないから、セカイ系とは違うと思うな

それはわかってるんですが。

ただ、どうしてもセカイ系をやってきた人間として、「セカイ系」作品という作品のもろさを完膚なきまでに指摘しつつ、それでもセカイ系以上の同じような強い感情の揺さぶりを与えてくる作品として無茶苦茶印象深い作品でした。

ラストシーンにおける、最悪といってもよい後味の悪さと、不思議なまでのさわやかさが混じった不思議な感覚。

なんかもう、心にずしんと来すぎて胸が苦しい。


「天気の子」では主人公が若者だったから許されてしまったものが、大人主人公なので許されないことによる重み

私、以前「天気の子」を見たときに主にシナリオ面でいろいろ不満を書くという老害ムーブをかましてたんですが。この作品はその不満点について、ほぼ理想的な形で答えてくれている作品だと思います。

しかし、いさその不満に感じていた部分に答えている本作品を実際に打ち込まれた結果、今度は自分がその重みに耐えきれない、という情けない事実に気づいてしまいました。作品をきっちり受け止めるのは本当に難しい。なので、天気の子が悪くてこっちが良い、という話ではないのですが、いったん天キノコを振り返ってみます。

「私が」天気の子があんまりしっくりこなかった理由の振り返り

「天気の子」は主人公が子供だし、二時間という映画の制約もあってかとにかくイベントの積み重ねが軽く、「なぜその女の子のためにそこまでするのか」と言われた時に「ぼうやだからさ」としか言えない感じで、説得力が低いと感じました。 つまり、「若さ」という名の「思い込みの激しさや行動力がずば抜けているというチート能力」がなければとても納得できない展開だったということです。私は自分が若い時でもこのチート能力を持ちえなかったのでそれについては「チートやん」という形でしか受け取れませんでした。

それでも、そうやって「軽い」物語を重くするために有効な「セカイ系」のフォーマットを踏襲していた「君の名は」はかなり説得力がありました。でも「天気の子」ではそのフォーマットを崩してしまった結果、「やらかしてしまったけど子供だからなんとなくで許されて、心としては責任を感じ続けるだろうけれど、実際の責任は大人たちが背負う」という座り心地の悪い構図になってしまった。 その代わりとして「大人や社会への信頼」を描いている……といえば聞こえはいいですが、実際には「社会の無機質さや冷たさ」を冒頭で描いてその結論というのはこれまた食い合わせが悪く、とにかくいろんなものがちぐはぐに感じられて気持ち悪かったのです。

そもそも主人公は「選択」はしたし、ヒロインを取り戻すために線路を走ってみたりはしたけど、だからなんやねんという感じはする。ヒロインへの依存度が高すぎたというのも今一つ物足りなく感じたポイントではあります

www.tyoshiki.com

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これに対して、Last of Usは凶悪なまでの説得力を持って、しかもすごい手触りでこちらに語り掛けてくる作品だった

この作品の主人公ジョエルは正義の見方でも善人でもなく、むしろ完全に悪人なんですよね。

ただ、そんなジョエルが長い長い積み重ねを経て、いろんなものを背負って、エリーだけは命をかけても守ると誓っている。

エリーはエリーで、ジョエルのことをものすごく大事に思っていて、でも自分の存在意義とかいままで背負ってきたものをよく理解している。

この過程の描写が、行動ですごい示されてるんですよね。

最初はなにかあれば「好きで一緒にいるわけじゃない」とか「何かあったら捨てるんだろう」って疑いったりヘイトをぶつけあってたのに。

度重なる困難を共に乗り越えた後ではもう完全に分かちがたい存在になっている。

ある時パーティーが分断されそうになった時、エリーは自分の安全を考えるなら他の連中と一緒に避難したほうがよかった。でも、当たり前のようにトラックの上から降りてきて「一人にはしないよ」と声をかける。
逆にジョエルも、エリーが連れ去られ瀕死のケガを負った後、自分の命を省みずに一人で助けに行く。



それでも、旅の終着点において「そもそもこのたびは何のためにあったのか」って考えたときにジョエルとエリーの道はそこでいったん分かたれてしまう。
あれだけ強く結びついていたはずの二人が、世界を救うためという名分のもとに切り離されそうになってしまう。



ここで、ジョエルの取った行動は、客観的に見えれば最悪の行為だ。 
これは「天気の子」の主人公では絶対にできないし、私だって他のだれにだってできない。
ジョエルのやったことは、我々の感覚でいえば絶対に正しいことではない。
作品世界においてすら明らかに間違いだし、「風の谷のナウシカ」(原作)の選択ですら、ジョエルのやったことと比べたらまだ納得ができる。
何よりも、一番守りたかったエリーだってそれを許さないだろう。



それでも、ジョエルはその「最悪」の行為をためらわずに行った。
ジョエルだからこそできる。ジョエルという主人公でなければ不可能なものだと思う。



その責任はジョエルが背負わなければいけないものだ。
エリーですらそれを背負ってあげることは絶対に許されない。
どこまで耐えられるかはわからないが、ジョエルはギリギリまでそれを背負って生きていくことになる。
この「last of us(私たちの終わり)」を見せられたプレイヤーである私はもう何も言えない気持ちになる。


めちゃくちゃ切ないけど、切ないということも許されない。そんな感じ。


なんかね、こういう感覚になるゲーム私プレイしたことがあるはずなんだけど出てこないー……。なんだったっけかな


この作品に「Choice」って曲があるのですが、このタイトルと曲の旋律のイメージがそのまんまこのゲームの終わり方の雰囲気ですね。

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game.watch.impress.co.jp



というわけで、私の中では最高クラスのギャルゲーという位置づけです(笑)。ギャルゲー好きなやつはマストバイ!


続編の2が出るのは救いなのか、それとも……

ここからは余談なんですが、エロゲでCARNIVALっていう名作がありましてね。


DMMだと3000円で買えます(ダウンロード版ですが)

このゲームも終わり方がめちゃくちゃ切なくてですね。 生き延びた二人がその後どういう人生を送るのかを知りたいような知りたくないような……って気持ちでいたらゲームじゃないけど小説版で完結編が出たんですね。




喜んで読んでみたら……ウワアアアアアアアアアってなってしまう結末で。やっぱりそうなるかという納得感と、それから絶望感が交互に襲ってきてやばかったです。



なんかね。2でジョエルがどうなるか考えるとどうしてもこの時のことを想像してしまう。もちろん私2が出たら絶対にやると思うんですが、同時にめっちゃくちゃ怖いです。


2はもう発売決定してるみたいなので、予約しておこうかな。。。