お気に入り度★★★★
10巻まで読みました。
能力バトルものですが、バトル描写については能力の設定が面倒くさくてハンターハンターの暗黒大陸編とかJOJOLIONなみにとっつきにくいです。
それよりも人物描写の癖が強くてとても魅力的。チェンソーマンほどの突き抜けた理不尽さではないのだけれど、こちらはこちらで戦う敵がやたらと強くて簡単に死ねるので、そんな条件で呪術師やってる連中は当然一人ひとりに強い個性があり、このキャラの個性を楽しめる人におすすめ。
伏黒恵というキャラがとても好み
やはり主人公はシンプルな性格をしているほうが良くて、この作品も主人公はかなりわかりやすい。
そんな主人公の周りにいるキャラクターたちが作品に彩を添えてくれるものだと思っているのだけれど
その点において、主人公のライバル(と両面宿儺に認定されている)の伏黒君は地味だけどとても好み。

- 作者:芥見下々
- 発売日: 2018/09/04
- メディア: Kindle版
不平等な現実のみが平等に与えられている。
因果応報は全自動ではない。
悪人は、法の下で初めて裁かれる。
呪術師は、そんな報いの歯車の一つだ。少しでも多くの善人が、平等を享受できるように。
俺は不平等に人を助ける。お前を助けた理由に、論理的な思考を持ち合わせていない。
危険だとしてもおまえのような善人が死ぬのを見たくなかった。
それなりに迷いはしたが、結局はわがままな感情論。でも、それでいいんだ。
俺は正義の味方じゃない。呪術師なんだ。
だからお前を助けたことを一度だって後悔はしてない。
俺は自分が正しいとか間違ってるとかどうでもいいんです。
ただ俺は、自分の良心を信じてる。
自分の良心に従って人を助ける。それを否定されたら、呪いあうしかないですよね。
9巻で生い立ちについても明らかになるけれど、
救いがなくてゆがんだ環境で育ってきて、中学時代は不良として過ごしてきて、
世界が正しくあることなんて全く信じられない状況でも
これだけまっすぐな人間として在るということがめちゃくちゃカッコイイ。
主人公とは考え方が合わないが、それでも彼を善人として認めてるところとかも素晴らしい。
「他人に保障された正しさ」に依存しないと何一つ言えないくせに
いざ正義が自分にあると勘違いするや否やすぐに増長してどこまでも残酷になれるネットイナゴたちの対極的な存在だと思う。
ぼくもはやくこれになりたい。
このキャラクターだけで作品肯定できるくらいには好き。
まぁ今のぼくは、5巻くらいで真人に殺されちゃう使い捨てキャラが関の山なんだけどね……。
サブキャラですらない一般キャラもいちいち私好みなんだよね……
「吉野のあの傷。オマエがやったんだな?伊藤」
「あの時ブルってなにもできなかった人にあーだこーだ言われたくないんスけど。
学校やめて引っ越したんだろあいつ。もうよくね?
つーか、俺。あれから左腕まともにうごかねぇんスけど」「今聞いてるのは罪の話だ。オマエに下った罰については一人でかみしめろ」
「先生の罰は?」
「俺は、これからだ。
まずは見えてなかったものをちゃんと見る。
俺も、オマエも。
吉野の心を殺した罪を一生背負って生きていくんだ。
見てるからな。伊藤」
メカ丸もいろいろ大変なんだろ。
でも、大変な奴が正しいとは限んねえよ。
っていうか、別に俺はオマエの敵じゃない
ルックスに関して俺がどうこう言うと思ってんのかよ。パンダだぞ
なんというかね。
この作品で描かれるキャラクターの葛藤とか呪詛とかは割とベタなものが多いんですよ。
でも、その葛藤とか呪詛に対してこの作品が用意している「ソリューション」というか「受け止め方・乗り越え方」が違うんですよ。
日々自分が感じてるモヤモヤとかに対して、自分が見慣れた「どうせこんな風に答えるんでしょ」って解答じゃなくて、
「なるほど、そう来るかー!」ってぐっとくる解答を出してくる。
しかも、そういうぐっとくる「解答」はそれぞれのキャララクターの生きざまそのものなんですよね。
このあたりがほんとに一味違うなって思う。
※そんな中で一人だけ「夏油傑」ってキャラクターだけがやたらと薄っぺらく感じるのが残念。この作品は敵も味問わずどのキャラクターも生き生きしてて好きなんですが、敵側のボスキャラみたいな立ち位置にいる「夏油傑」ってキャラクターだけが残念なのがこの作品の唯一の不満点。このキャラクターだけオリジナリティを感じないというか「幽遊白書」に出てきた仙水の劣化版みたいに見える。「非常にわかりやすい」けど、それ故に、私がこの作品に求めてる意外性がない。はやくこいつ倒してもっと強いボスに出てきてほしい。っていうか0巻の設定どうなったの?
5巻まではすごく格好いい作品ではあっても面白い作品とまではでは思わなかったけどここまではあくまで導入。6巻からが急激に面白くなる
呪術師たちの能力や生い立ち、パーソナリティをコンパクトに詰めこんできてる。
それと同時に特級の呪霊たちとの力量の差を示してるよね。例えばカモさんの能力って、真人と比べると明らかに微妙じゃないですか。味方側では五条さんだけは強いけど、それ以外はかなり弱い。当然一対一ではまあ勝てない。必然的に1対1ではなく必ず複数で戦うチームプレイになる。
「ハンターハンター」のキメラアント編や「鬼滅の刃」でもこの「1対多」の描写がとても魅力的だったけれどこの作品は、さらにその方向を突き詰めていってる感じがある。「呪術」や「領域」というテーマを扱っているせいか、描写が直感的にわかりにくいのだけれど、その分意外性がある。
10月からアニメ化するってよ
とにかくお気に入りのセリフが多いので、アニメで実際にそのセリフが言われているのを見れるのがすごく楽しみ。
正直1冊1冊の密度が濃くてアニメ化してから原作読むの大変だと思います。
わたしはブックオフ立ち読み愛用者で、
だいたいマンガ10冊くらいだったら2時間くらいで読み終わります。鬼滅もそのくらいのペース。
一方でこの作品はその倍以上かかりましたし、買って読み返そうって素直に思いました。
今のうちからチマチマ読み進めることをおすすめです!

- 作者:芥見 下々
- 発売日: 2020/03/04
- メディア: コミック
おまけ どっちがフェミニストとして正しい?
その前の「イタドリ」君と「東堂」くんの会話だとかメカ丸とパンダの戦いがいかにも男同士の会話って感じで楽しかったんだけど。
女同士のケンカすっごいこわーい。
女はね、実力があってもかわいくなければ舐められる。
当然、かわいくっても実力がなければ舐められる。
わかる?女が求められるのは実力じゃないの。完璧なの。そしてマイちゃんはそれ以上の理不尽と戦ってるの私たちが当然のように享受している環境を手にするのに、
マイちゃんたちがどれだけ苦労し手入れうか、
「呪い(穢れ)」を仲間だと勘違いできる頭でよく考えたら?
あーーー。これネットにいるフェミニストの人が言いそう。すごく言いそう。
多分このあたりで「自分が正義」って思いこんじゃうタイプの人間ほんと多いよね。
これさ。あくまでマイちゃんが好きで大事って話なんだけどさ。
ここで、そういう理屈を持ち出すことでがんじがらめになってんだよね。
「私」よりも「私以外の理屈」が大事になってる。
これは実際京都組ならではの感覚だと思う。別に間違いだとは思わない。
うるせえよ。不幸なら何しても許されんのかよ。
じゃあ何か?逆に恵まれた人間が後ろ指刺されれば満足か?どんな生い立ちだろうと、私はマイが気に食わねえ。
同じ生い立ちでも、私はマキさんが好きだ。てめえらこそ、これから呪おうとしているやつがどんな人間か少しは考えたことあんのかよ。
完璧も理不尽も、応える義務がどこにある?てめえの人生は仕事かよ。
男がどうとか女がどうとか、知ったこっちゃねーんだよ。
てめえらだけで勝手にやってろ!
私はきれいにおしゃれしてる私が大好きだ。強くあろうとする私が大好きだ。
私は釘崎野薔薇なんだよ!
一方こっちは理屈じゃなくて感情。第一に私が大事という発想。
こっちはこっちで極端だけど、ある程度はこの要素を大事にしないと、
誰かに利用されるだけのネットでしか生きられないゾンビみたいになる。
しかもこの話のオチが、マイちゃんお姉ちゃんのことを好きすぎるという
まるでキャルとぺコリーヌみたいな関係なので、たまらないやつ……。