
- 作者:堀田秀吾
- 発売日: 2018/12/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
割と面白かったです。「アイドル」ものとしては他にいくらでもお勧めできる作品ありますが「自分を変えるための心理学」というテーマでいろんな対人心理学ネタを紹介してくれています。
この作品はアイドルの出世物語を通じて「他人から良い感情を持ってもらうために使えるテクニック」「身近な人(同じユニットのメンバー)と上手に付き合うためのポリシー」「気分が落ち込んだときの乗り越え方」などを紹介してくれています。
これはポール・グライスの協調の原理について紹介したコマですが、以下のページが非常に有用なのでぜひ読んでみてください。
協調の原理 | UX TIMES
道徳的な発想だけに凝り固まるより、心理学という発想も合わせて持っておくとよい
私は心理学には良いところと悪いところがあると思っていますが少なくとも「ネットのマナーや道徳よりはマシ」だと考えています。
心理学のいいところは、人間というものが非合理な存在であることを前提としているということです。そのためこうある「べき」という期待や押し付けが弱い。 最近のネットでは、「自分の視界の範囲内では」人間は正しくあらねばならぬという道徳やリベラル観に支配されてて、理想論ばっかり述べてる人が多くて窮屈に感じたりうんざりすることが多いですから、そういう時に心理学的なトピックを見るとホッとします。
一方で、心理学には良くない点もあります。私のような一般人向けの読み物で語られている内容には「疑わしいもの」が結構あります。一見それっぽく語られるとそうなのかなって思うのですが、実験のやり方がおかしかったりしてそもそも今では疑問視されているものを平気で語っていたり、誇張表現が目立ったりするケースが結構ある。男脳女脳なんかは典型的な例ですが、確かに傾向の差は多少あるものの、実際には大きな違いがないものを魔法のテクニックのように語っていたりします。
ただ、良い点悪い点を合わせて考えた時に、今の私は「他人が決めたマナー」をその成り立ちや理由も考えずにうのみにして従うよりは、心理学で語られている内容を頭に入れて、自分なりにいろいろ試してみる方がましだと思っています。
例えば「嫌な人の交わし方・付き合い方」という章では「脳の新しい物好き」を利用するというアイデアを紹介している
道徳的な是非を考えるという発想しかないと、こういう話題になった時、すぐに「差別ガー」とか「キモいって言葉の是非ガー」という超つまんない話になりがちです。
大事なことなので二回言いますが、こういう話ってたわむれに考えるのはいいと思いますがずっと同じこと繰り返すのは超つまらん。
「相手の反論の効果的で冷静な部分は無視しろ」「極端なテキストだけを取り上げて相手陣営の代表的な言論として扱え」「極端なテキストを気持ち良くやっつけて自陣営の勝利として喧伝しろ」っていう手法が完全に定着しててインターネット言論の行き詰まり感すごいなーってちょっと思う
— しんざき (@shinzaki) June 19, 2020
男だろうが女だろうが、自分のお気持ちだけ全開で相手の気持ち軽視するムーブはドン引きされて当たり前って単純な話なのに
— よしき (@yoshiki_anime) June 23, 2020
フェミとかアンチフェミみたいな党派性でややこしくしてる三次元の人たちめんどくさいからわたしはエロゲでもやっておきますね、、、
別にこの発想はこの発想であってもいいと思うのですが、それ以外の発想もあった方が役に立ちますよね。
この作品中では例えば
・「この人が嫌い」と思うのでゃはなく「私はなぜこの人が嫌いなのか」という研究意識に切り替えてみる
という手法や「脳は新しい物好きであるという性質を活用する」という手法を紹介しています。
感情だけで発言しているモードから、意識的に「言語化」や「分析的思考」をするモードへ。
さらに「兵士のマインド」から「斥候のマインド」へと意識を切り替えていきます。
これは脳科学的にも「偏桃体を制御しつつ、前頭葉を活性化する」という流れになるので落ち着きやすくなります。
私自身、実際にこの意識の切り替えはよく実践していますが非常に効果があると思っています。
ほかにも自分の感情を把握するためのツールはいくつか持っておいた方がいい
他にも例えば以前こんな記事を紹介しました。
今ネットでギャースカわめいている「キモい」という言葉についてどう考えるかの一例ですが、
「キモい」という言葉の是非をあーだこーだいうよりはよほど有意義だと私は思います。
他にも「防衛機制」について理解を深めておくとより落ち着いて考えられるかもしれません。
ja.wikipedia.org
とにかく自分は「嫌い」とか「私は被害者である」という感情に振り回される人生から抜け出したい
って偉そうなこと書いてますが、
私は昔はめちゃくちゃ被害者意識や自己防衛の意識が強い人間でしたので
他人に対して偉そうにどうこういう資格はないしあんまりそのつもりもありません。
とにかく、自分がこういう感情から自由でいたいなという気持ちが強いです。
私は自分が他人を手助けすることはもうあきらめていますが、
今何かが嫌いで、嫌いすぎてその感情に振り回され続けてる人がいたら
自分なりに工夫してそこから抜け出せるようになってほしいなと願うばかりです。

人間関係の悩み さようなら-素晴らしい対人関係を築くために:Feeling GooD Together
- 作者:デビッド・D・バーンズ
- 発売日: 2012/02/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)