この作品は、以下の引用が作品そのものの非常にわかりやすい作品。
これからは嫌なことは嫌と。
好きなことは好きと言おう。
無理に誰かと生きていく必要もない。
幸い手には魔道具士という職があり、一人で生きていくこともできる。
頑張って仕事をして、
行きたいところへ行き
食べたいものを食べて
飲みたいものを飲もう。
自分でできる限り生きたいように生きよう。
もう、うつむくのはやめる。
元婚約者がクズ過ぎてため息が出る
主人公は前世ではブラック企業で自尊心をへし折られながら過労死した女性。
転生後の世界では魔道具職人の家に生まれ、魔道具を作る人生に楽しみを覚えていたのだが
婚約者ができてからは、その婚約者に合わせるために再び自分を殺して相手に合わせようとする生き方になっていた。
しかし、2年間ほどそういう生活を送りいよいよ結婚間近になって今までの家を出て新居に引っ越ししたタイミングで、唐突に婚約者から婚約破棄を求められる。
この男トビアスくんがなかなかにクズですごい。
①商会の受付嬢をしていた女の子と浮気をしていたのに「僕は真実の愛を見つけたんだ」と開き直る。
②自分が婚約破棄を言い出したくせに、手続きをすべて主人公にやらせる
③浮気をしていた女と住みたいから、共同名義で購入した新居から出て行ってくれと言い出す
④一度贈った婚約指輪を浮気していた女に渡すから返せと言い出す
⑤主人公がトビアスくんに送ったアクセサリを突き返す。
ここまでやっておきながら、「君を傷つけてすまない」とか言うだけでほかはひたすら浮気相手への愛と自分の都合をいうだけ。
この時点でお腹いっぱいなのだけれどまだまだあります。
こ婚約した時からすでにヤバイ奴だった。婚約が終わった直後から主人公を否定するような発言を連発していた。
①婚約のあいさつが終わった直後に「君はずいぶん背が高いんだな」と言いだす。主人公はかかとの低い靴を履くようになった。
②主人公の地毛は赤だったが目立ちすぎると文句をつける。主人公は地毛なのに暗い茶に髪を染めなおした。
③派手な装いを好まないと言い続ける。主人公は服装を地味なものにした。
④その他、妻になるのだからと仕事の雑用などをさせるなどいろいろ助けを受けていた。
そうやって彼女を地味に、従順になるように押し付けておきながら、「真実の愛を見つけた」と言ってつれてきた女は明るい髪色で服装も華やかな女性だった。………そりゃ主人公もぶちぎれて「もう男に合わせるような人生はこりごりだ」ってなるよね。
このトビアス君の外道ぶりはさらに加速する
①共同所有の家から主人公を追い出すということで、主人公が購入時に折半した代金の返却を求めると「今金がないから待て」と言い出す。
しかも、名義変更をしたら金を返さないつもりだったらしく商業ギルドからの貸付に変更しようとすると猛烈にゴネ出す。
②主人公が発明した商品について、不正に自分の名前で申請していたことが判明する。
あげく不正ががばれたら「権利を買い取るから俺の名義のままにしてくれ」と不正のもみ消しを持ち出す。それを拒否したら「やっぱり婚約破棄のことを恨んでいるのか?」と言い出す。情に訴えても話を聞かないと「今後父親の商会は君と取引しないぞ」と脅してくる。
③さらに、公衆の面前で浮気相手を矢面に立たせ「彼女を責めるな」=「浮気を許せ」という態度で迫ってくる
ちなみに、「なぜ彼がこのようなことをしたか」は作品中で解説されるが、余計にトビアスくんはクズだという印象が強まるだけになっている。この部分はぜひ実際に読んでほしい。
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ (1) (角川コミックス・エース)
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よくここまでクズな男相手に今まで我慢できたよね……というか今までクズであることに気づかなかったの?マジで?って思う。
主人公が「うつむくことをやめる」という決断をするまでがピーク
というわけで、弱気だった主人公は「転生をきっかけにして変わる」のではなく「転生しても気弱だった」のだけけど、クズ男のせいで一念発起して頑張ることになる」という展開がこの作品の特徴である。
つまり、このトビアスくんは、チート能力や転生トラックよりも強力な存在ということですね。
ここから先は、女性向けなろうの定番の「知識チート」と「イケメンが周りにいる生活」になる。それほどここから先に目新しいものがあるわけではない。だいたいこのあたりの作品とやってることは同じ。
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異世界で『黒の癒し手』って呼ばれています1 (レジーナブックス)
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とはいえ、やはり主人公の動機がしっかりしているのでその後の描写も読んでいて割と納得しやすい。知識チートといいつつも結構無茶をやったりと主人公のキャラがしっかり立っているので、女性向けなろうものあんまり読まない人でも楽しめる作品になっていると思います。
蛇足
基本的にはいい作品なんだけど一点だけ不満があるとすると……なんで「聖女の魔法は万能です」といいこの作品といい、女性の前向きな変化を描こうとする時に眼鏡をはずそうとするのか。
なろうの世界における眼鏡差別許すまじ……。
ちょうど似たような話あったから紹介しとく。
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