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「スパイラル~推理の絆~」11巻 ファンタジーを信じる人間に現実的な思考で批判しても無意味であるという非常に重要な示唆を描いていた作品。今読むと違った感慨がありました

上昌広氏が、数日前にグラフの使い方としてやってはいけない使い方をしてぼこぼこに批判されたのに
そのグラフを訂正せず使って記事を書いていると話題になっています。

togetter.com

note.com



(魚拓)
web.archive.org

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www.tyoshiki.com

上昌広氏の言っている話で正しいのは「PCR検査が少ない」ということだけであり、それ以外はほぼすべて虚構です。

グラフの使い方まで問題ありなので、まともな人なら信じないでしょう。

でも、大阪府知事が言えばイソジン買い占める人がいるように、

上昌広氏の言うことなら現実よりも優先する人たちが割と結構いるのです。





ファンタジーは非現実的ゆえに現実的な思考や方法に対して強固


「裏世界ピクニック」が面白すぎるので、同じ作画担当者が担当している過去作である「スパイラル」を久々に読みました。

10巻のカノン編までは覚えていたものの11巻以降は全く覚えていなかったので
とても新鮮な気持ちで読めたのですが、
11巻のあとがきを読んで「まさに今の状況ってこれだよなあ」って思いました。


歩がこれから対決するのは、ミズシロヤイバ、鳴海清隆、ミズシロヒズミからなる一種のファンタジーです。そして、その不穏なファンタジーを信じてしまった人々です。


ファンタジーは非現実的ゆえに現実的な思考や方法に対して強固です。

いくらそれは非現実的だよと言っても、相手がこれが真実だと信じちゃってる以上まるでかないません。

そのファンタジールールで世界が周っちゃってるんだから、違う世界のルールを持ち込んでも無意味なのです。

そして、相手のルールで戦えば必ず常識や現実は負けてしまうことになっています。

歩はそんな手ごわい状況と戦います。

彼にある武器は知恵と勇気と推理、何一つファンタジックな能力を持たない(信じない)少年が、果たして非現実的だけれど隙のないファンタジーに勝てるのか?
あるいはそのファンタジーがもたらした問題を解決できるのか?

この戦いはやはり俺は何も信じないよ、と肩をすくめて言える少年でなければこなせないものではないでしょうか。

ただ、このファンタジーをある単語に置き換えると現実社会がしばしば直面するリアルな問題になったりもするのですが。

上昌広氏は最初から現実の話などしていない。

ファンタジーの話をしているわけですね。

だって、全然現実と違うこと言ってるわけだし。

そして、彼を信じる人もまた、最初から現実なんかに興味ないのです。ファンタジーを信じてるだけ。

そういう人に、現実はこうだよと言ったところで全く意味がない。

もはや現実に生きてない人たちが山ほどいるわけです。

安心できるなら「嘘だとわかっていても」イソジンでも買い占めるし、東京から規制してきた人間に石を投げることも平気でできる人たちがいる。




現代はとっくに「ポストトゥルース」の時代であり、コロナによりその傾向はより加速しました。

どこかではベアトリーチェも現世に降臨して黄金の宴が開催されてるかもしれません。






では、こうなってしまったたちにどういう風にメッセージをメッセージを伝えるのか。

その答えの一つの在り方を示したのが「スパイラル~推理の絆~」の12巻~15巻でした。



この作品リアルタイムで読んだことある人は多いと思いますが、オチというか、主人公が紡ぎ出した最後の論理を見なさん覚えているでしょうか?



私は覚えていませんでした。「結崎ひよのの秘密」すら覚えていなかった。

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昔読んだことあったはずなのですが(ヒズミが飛び降りても死ねなかったシーンは見覚えがある)当時の私には難しすぎて理解できていなかったせいかきれいさっぱり記憶から消えていました。



でも、今このコロナ下でファンタジーを信じて現実を完全にあきらめてしまっている人たちがたくさんいる状況で読むととても実感を持ってこの「絶望」の危険さが良くわかります。
そういう人たちのファンタジーの壁を越えてメッセージを伝えるということがいかに困難であるかを感じながら読むこの作品はとても印象的でした。



今読むとすごくグッとくる作品なので、お時間あったら是非思い返しながらこの作品を読んでみてください。