原作をプレイしていた人にはめちゃくちゃわかりやすかったと思うのですが、初見の人には全然わからんって言ってる声を見かけたので一応書いておきますね。
もう原作を知ってることが前提になってると思うので原作のネタバレは容赦なくやっていきます。
今回はレナが先に「雛見沢症候群LV5」を発症していました。
「雛見沢症候群」は原作においては7話目の「祭囃子編」まで設定が秘匿されていた最後から二番目の謎であり、6話の「皆殺し編」で存在が明らかになるルールXYZという謎のさらに上位にある、この物語の根幹をなす設定です。
物語上の最大の効果は、ひとを殺してしまうことでも首を掻きむしって死ぬことでもなくこの点です。
物語の一部(特に前半)では視点となる人物が発症して信頼できない語り手となり、見聞きした事件を曲解して読者に伝える
具体的な症状は以下の通りです。
設定されている主な症状に、極度の疑心暗鬼や人間不信および妄想・異常行動がある。
ささいな誤解や悩みをきっかけに友人・知人に不信感を持った者が、その感情をこの病気で増大され、やがて殺人などの短絡的な行動につながることで、物語は悲劇的結末にたどり着く。
このエピソードでは本来圭一が発症するはずでした
「鬼隠し編」では圭一が疑心暗鬼に陥って「雛見沢症候群LV5」を発症し、疑心暗鬼からレナと魅音を殺害した後自殺するはずでした。なので、それを見越して梨花ちゃまが圭一をフォローし、圭一の発症を抑えようとしました。
ところがどっこい。圭一をフォローしてもダメでした。
本作品ではレナが発症して圭一に襲い掛かり、無敵の耐久力を持つ圭一に返り討ちにされた後、圭一も発症という展開になってしまいました。
「鬼騙し」編のエピソードは単なる可能性の一つ……ではない。「100年ループの中で一度も起きなかった」というのがポイント
もうこの物語の真の主人公にしてループの主体が梨花ちゃまであることをばらしてる時点でネタバレもくそもないと思いますがヤングエースのコミックは原作読者向けに描かれているのか、より詳細に描かれています。
つまりこの「鬼騙し編」は、「鬼隠し編」ですでに雛見沢症候群を発症した圭一が疑心暗鬼の中で想像したように、本来はあり得なかった「レナが自分を殺しに来る」という妄想が具現化したような展開になっています。
レナが先に発症するパターン自体はかなり多いことが原作で語られています。
というよりも、レナは物語時点でそもそも発症している(足音が聞こえる)上に、ちゃんとした治療を受けられていないので最も発症しやすいです。間宮リナがやってくるパターンに限らず、家庭や仲間を脅かされるとすぐに発症します。基本的に梨花ちゃまが彼女を放置しただけでアウト。
さらにいうと、レナは全キャラ中最もスペックが高いため、疑心暗鬼もーどーになった後で入江機関が助けに入ることもできないので、LV4を超えると基本的に手遅れです。
※なお、「DS版でリメイクされたひぐらしのなく頃に」をプレイした人は過去編において「プラシルα改」という謎のアイテムが出てくるのは知っていると思います。
ひぐらしのなく頃に 絆 (2) (角川コミックス・エース 324-2)
- 作者:日向 ののか
- 発売日: 2011/11/21
- メディア: コミック
鬼騙し編は、アニメ1話にて原作のEP5「罪滅ぼし編」におけるリナ解体を行っていたことがわかる描写があり、むしろレナが発症する一番メジャーなパターンと言えます。
「罪滅ぼし編」で示されている通りで、詩音のときはちゃんと治療しに来る梨花ちゃまが、レナが発症したときはすぐにあきらめるというくらいにはレナは発症しやすく、しかも手が付けられないんですよね。
だからこそ「罪滅ぼし編」でレナが一度発症した後回復したのは奇跡といわれるわけで、竜騎士07氏自身も「罪滅ぼし編の方で作品のテーマを純粋に描いている」と語っているほどです。
なので。
わざわざ指摘されなければ、これが「よくあるループの一つ」と言われても全く疑問に思わなかったと思います。
にも拘わらず、梨花ちゃまはこのように語っています。
100年のループの中で一度もこんなことはなかった、と。これは異常事態なのだと。本来であれば起こらない分岐なのだと。そう言ってるわけですね。
つまり、何がいいたいかというと単なるifシナリオではなく「根本的な部分でルールが変わっている」ということです
100年のループの中でさえ、レナが直接圭一を殺しに来ることはなかった。つまりこれは雛見沢症候群LV5を発症してさえ、レナにとっての禁足事項だったわけです。
レナは発症したとしても、「仲間」を攻撃することを「目的」とはしない(罪滅ぼしの立てこもり事件の時のように手段とはするし、結果として死ぬことは躊躇しないけれどそれでも殺すこと自体を目的にはしない)ということです。
レナにとって、仲間と家族は守るべきものであって、ここは天秤にかけないというルールが100年のループの間一度も破られることがなかった。
にも拘わらず、今回はレナが絶対の禁をあっさりやぶって圭一を殺しに来た。これは、単にいままでの枠組みで雛見沢症候群を発症した、というだけでは説明ができません。
鷹野三四だけでなく、他の存在がレナに影響を与えている可能性がありますね……。もっといえば盤外のメタ的存在の方でそういう動きがあったのか……。
そもそも、鬼だまし編においては、富竹も鷹野三四(のかわりの間宮レナ)も死亡が確認されていません。本当に黒幕は鷹野三四なのだろうか?
とか、無理やり楽しめるような展開を考えることはできそうですね。
今のところは原作履修組にとっても原作未修組にとっても帯に短したすきに長しな微妙な作品になってしまってる気がします
ちなみに四話までのアニメ全体の感想ですが。
結構誉めてる人がいるので私の感覚がおかしいだけなのかもしれませんが、個人的にはアニメの絵のクオリティが妙に低く感じます。キャラデザもさすがにこの作品でこのご時世でぽよよんろっく先生はないだろ……ってなってる。
10年前だったら許された絵とテンポをだらだらと見せられた後、4話でやっと1つどんでん返しを見せてくれる……ではあまりに物足りない。
実際に、ヤングエースの連載は非常にテンポが速い。このくらいのペースでいいと思います。「原作との比較ごっこ」がやりたいという趣旨なら各話2話くらいでポンポン進めてほしい。
4話までの描写を見ていると原作未修組に配慮しているとも思えないし、何がやりたいんだ……ってなります。今期放映中の「無能なナナ」のテンポの良さと比べるとかなり間延びしている印象です。
とはいえ、なんだかんだ先が気になるのは確かですし、まんまと乗せられてるというか、なんだかんだやっぱりひぐらしって人を引き付ける要素が多いんだなって思いますね。 文句は言いつつも続きは楽しみです