ええええ……「まじ恋」発売から10周年なのか……。
対象作品はこちらです。
君が主で執事が俺で【美少女ゲームアワード2007 プロモーション賞 受賞】
真剣で私に恋しなさい!【萌えゲーアワード2009 SILVER大賞受賞】
真剣で私に恋しなさい!A-1【ソフ倫受理番号:0005508D】
真剣で私に恋しなさい!A-2【ソフ倫受理番号:0005872D】
真剣で私に恋しなさい!A-3【ソフ倫受理番号:0006249D】
真剣で私に恋しなさい!A-4【ソフ倫受理番号:0006788D】
真剣で私に恋しなさい!A-5【ソフ倫受理番号:1600388D】
真剣で私に恋しなさい!S【萌えゲーアワード2012 大賞銀賞 受賞】
タカヒロさんは、奈須きのこ、虚淵玄、丸戸さんと並び、元エロゲシナリオライターとして最も出世した人物かもしれません。
「つよきす」のヒット以降、エロゲ自体は手掛けた作品がすべてその年度トップクラスの売り上げを達成しており「アカメが斬る!」や「結城友奈は勇者である」の原作としても売れっ子作家です。
特に2014年はスクエニの完全バックアップによる一斉4作品展開プロジェクトが行われたりしていました。
多作ゆえに作家性みたいなところはあまり話題になりませんが、1作品ごとにコンセプトを明確にし、たいていの作品はヒットさせてきた実績があります。
大コケしたのって「少女たちは荒野を目指す」くらいじゃないかな……。
最新作ではついにジャンプコミックの原作を手掛けており、現在6巻まで発売中です。
まじ恋はその中でも特にタカヒロさんのカラーがはっきり出た作品だと思います
つよきす、もっといえば「姉しよ」時代から、タカヒロさんの作品は「女性優位」が徹底しています。
それまでのギャルゲーが主に何かしら弱さを抱えたヒロインを主人公が救っていくという傾向が強く、どこぞの評論家が「レ●プファンタジー」みたいなクソ名称をつけてくれたくらいでした。
これに対し、タカヒロさんは「女性は男性に守られる存在ではなく、憧れ、尊敬すべき存在なのだ」「ギャルゲーの主人公だかといって女の子が無条件で好きになってくれるわけではない」というコンセプトをこの業界に持ち込みました。
(別にフェミニズムどうこうではなくて、タカヒロさんがとにかく強い女性が好きという性癖ですね)
業界のトレンドへの逆張りのような形にも見えますが、単に逆張りするだけはありません。
強い女性を出すだけではなく主人公をそういう「強くて格好いい女性に見合うように格好いい男になろうとする人物」像を立ててきちんとバランスを取った形で完成度の高い作品に仕上げました。
「他作品とは違う明確に差別化されたコンセプト」「それでいて作品完成度がきちんと高い」という理想的な仕掛けにより、似たような作品に飽きてきていたエロゲユーザーの注目を集め、一気にヒットメーカーになりました。
そんなタカヒロさんが満を持して出してきたのがまじこい。公式でのジャンル名は「武士娘恋愛アドベンチャー」であり強い女性というコンセプトをさらにとがらせて「武士娘」でそろえるという思い切った攻め口で切り込んできたんですね。
さらに本作品は、女性との恋愛だけでなく「コミュニティ」という要素をすごく重視しており、ギャルゲーあるあるの「男は主人公と友人一人くらいだけ、あとは女の子たちだけ」みたいな「非モテが女の子たちから愛される」みたいな話ではなく「リア充たちによるサークルもの」作品みたいな作品に仕上がっています。オタク的なキャラはあくまでサブ的な位置づけとして作品内に包摂されます。
「ビバリーヒルズ青春白書」とまでは言いませんが、「リトルバスターズ!」のよりもずっとリア充オーラは強く、クラスの人間からも一目置かれながら学校生活を満喫し、恋愛も楽しむというてんこ盛りな作品になっていました。
とにかく気合の入った作品で、登場人物も非常に多く、作品ボリュームも他作品と比べると圧倒的。ひたすら日常描写と恋愛で楽しませるという、エロゲー業界の常識を覆すような作品でした。
結果としては、その後5作品もファンディスクが出ていることからもわかる通り大ヒット。この作品がきちんとその年の売り上げトップを獲得したことでとにかく泣きゲー鬱ゲーとかとは無縁、特に物語に重たいテーマ性がない陽キャバリバリのゲームでもちゃんと面白ければヒットするのだ、ということをはっきりと示したのは大きかったですね。
エロゲ業界の中では斬新すぎてこの後すぐにはフォロワーが続きませんでしたが、その後オタクのライト化の傾向を受けて「ゆずソフト」や「まどそふと」などの日常充実系の作品へとつながっていったのではないかと思います。
そういう意味で、記念碑的な作品であると同時に、今のエロゲトレンドにも合致する作品であり、今からやっても十分楽しめる作品だと思いますので、せっかくのセールを利用して手に取ってみてはいかがでしょうか?
そういえば、「まじ恋」は「シャア」の声優さんが登場してたりとネタも豊富です
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動画の1分くらいからです。単に池田さんが出ているだけでなく、ガンダムのセリフパクりまくりでやりたい放題だったりします。
タカヒロさんはガンダム大好きなので「君が主で執事が俺で」に東方不敗の声優さんも出演されてたりします。
ちなみに、なぜいまこういうセールをしているかというと、10年ぶりにシナリオがタカヒロさんオンリーの新作が発売されるからです。こちらも超期待
2021年2月に「我が姫君に栄冠を」という作品が発売されます。
これは10年ぶりの「タカヒロが企画だけでなくシナリオも全部自分でやる」作品です。
まじこい以降、タカヒロさんは企画はするもののエロゲーのシナリオを自分で書く、ということをあんまりやってきませんでした。
・2012年発売の「辻堂さんのバージンロード」はシナリオは「王雀孫」が担当。平均評価80。
・2015年発売の「姉小路直子と銀色の死神」もシナリオは「王雀孫」が担当。平均評価68。
・2016年発売の「少女たちは荒野を目指す」はシナリオ自体は「田中ロミオ」が担当。平均評価70点。
・2019年発売の「和香様の座するセカイ」についてもシナリオは「田中ロミオ」が担当です。平均評価80。
王雀孫さんも田中ロミオさんもシナリオライターとしては一級品であり、
自分自身でシナリオを担当した作品は80代後半のポイントを叩きだし、作品がアニメ化もされているような人たちです。
ところが、どうもタカヒロさんの企画と相性が良くないのか、「悪くはないのだけれど」そこまで評価される作品とはなっていませんでした。
タカヒロさんがかかわっていないサブブランド「宿星のガールフレンド」とどっこいどっこいかやや劣るという始末。
そんな状況で、ユニクロで柳井さんが経営者に返り咲いた時のように「やっぱり俺が直接やらないといかんようだな」とシナリオ復帰。
当たり前ですが絶対に失敗は許されない局面です。
このために「純正タカヒロ」作品の面白さを知らしめておきたいというところではないかと思います。
せっかくの機会だから興味がある人はぜひこの機会にプレイしてみるとよいのではないでしょうか。 この値段なら間違いなくおススメです。
ちなみにファンディスクの攻略対象キャラは内訳がこのようになってます。
A-1:武蔵坊弁慶、忍足あずみ、黛沙也佳
A-2:葉桜清楚、九鬼紋白(Sの後日談)、クッキー4is
A-3:李、ステイシー、松永燕(Sの後日談)
A-4:大友焔、林冲
A-5:源義経、橘天衣、マルギッテ(Sの後日談)
Aパッケージ版:1-5のヒロイン全てに加えて3名:最上旭、武松、猟犬部隊(主にテルマ)
A 猟犬ルートアフター:マルギッテ、フィーネ、リザ、ジークルーン、コジマ、テルマ