ダービー馬の馬主になることは一国の宰相になることよりも難しい(チャーチル)
ダービーから有馬記念までの主役は間違いなくカスケードでした。
彼がこの物語の中で文字通りに先頭を走っており、
他の馬はそれを追いかける立場でした。
ミドリマキバオーは何度も挫折を繰り返しながら
多くの人の存在に支えられ、想いを引き継ぐことでようやくカスケードに並びたち、
そしてカスケードから思いを受け継ぐ立場になります。
この中盤は、マキバオーが真の意味での主役になるまでの展開となっており、非常に面白かったです。
正直、子供の頃は全く理解できずにスルーしてましたが、
ウマ娘のおかげで競馬というものに興味を持ったうえで読むとめちゃくちゃ面白い作品でした。
他にウマ娘からちょっと競馬に興味を持った人がいたら、ぜひぜひこの作品も読んでみてください。
とりあえず1巻と2巻だけでも無料の間に読んでおくんだゾ。
7巻 不協和音
①チュウ兵衛不在で明らかに調子を落としたマキバオー
・鞍上が山本だけではNHKマイルですら勝てないと判断し、青葉賞に挑むことに。
②7戦めは青葉賞(東京・2400m)
・前Rで女性騎手・高坂リカの騎乗するペティブーカが落馬。
・そのショックで山本は馬込みを避けてしまい後退、最後の直線で猛追をかけるも届かず2着。
③一方のカスケードはNHKマイルへ。
・ニトロニクスとの激戦の末「三の足」を身に着けますます死角なしの状態へ。
④再起を目指すマキバオーは、復活のため三頭と併走
「ニューマスタング・スペシャル」を身につける
⑤カスケード陣営は日本ダービーと宝塚記念に勝てば海外遠征を目指すと発表
⑥オークスではアンカルジアが2着。
⑦チュウ兵衛も復帰して万全の態勢でダービーに挑むことに。
8巻 初のG1勝利
①8戦めは東京優駿(東京・2400m)
・1番人気はカスケード。ミドリマキバオーは2番人気。3番人気は青葉賞でマキバオーを破ったベアナックル
・序盤からマキバオーが先頭をリード。
・中盤ではサトミアマゾン・ベアナックルが先頭争いに参加。
・最後の最後で内側からカスケードが一気に差してくる。
これから始まるんだよ!白い奇跡が起きるんだ!
たれ蔵の走りが、カスケードの黒い伝説を真っ白に塗り替えるんだ!
・最終的にはマンガ的な決着。マキバオーとカスケードは同着
ウマ娘の時もそうだったけど、ダービーはライバルとの同着にするのね……
②ダービーのためにすべてを絞り出したチュウ兵衛、レース後に死亡
9巻 最強馬「ブリッツ」が登場
①精神的支柱を失ったマキバオーは完全に沈黙、山本はマキバオー以外にも騎乗することに
・みどり牧場にて放牧されるが心が死んでしまう
・放心状態で牧場を出て放浪してしまう
・カスケードは海外遠征で日本を去る
②トゥインクル牧場にたどり着き、マキバコと出会う
・ヤクザの宮蔦家に保護され八百長競馬に参加することに
・チュウ兵衛の死から立ち直る
・マキバコもみどり牧場で引き取ることに
③サンデーサイデンスとミドリコの産駒「ブリッツ」が登場
・アマゴワクチンやサトミアマゾンも復活。
・ブリッツが函館でデビュー。カスケード以上の圧倒的な強さを見せつける。
10巻 カスケードのいない菊花賞
①立ち直ったマキバオーは菊花賞へ向けて調整開始
・3000mの距離に備えてスライドを伸ばす調教。
②9戦めは中山障害未勝利戦(中山・2700m)
・ステップレースとして活用するつもり。
・危なげなく勝利するが、マスタングスペシャル不発。
・このタイミングで成長痛(オスグッド)が発生する
・足に負担がかけられないので川を使った調教を実施
・秋華賞ではマキバオーにとって併せ馬仲間であるアンカルジアが勝利。
③10戦目は菊花賞(京都・3000m)
・サトミアマゾンやアマゴワクチン以外にも、モーリアロー、スーパースナッズ、プレミアなどのライバルが参戦。
・序盤はスーパースナッズとサトミアマゾンが逃げる。
11巻
①菊花賞決着
・マキバオーは3コーナー残り600mで禁断の「淀の坂での加速」を敢行。外側に膨れず逆に内側に切り込む。
・残り200mでサトミアマゾンを抜いて先頭に立つも、大外を回ってきたアマゴワクチン、プレミアにぬかされて4着。
②カスケードの凱旋門賞チャレンジ
※マキバオーの父は凱旋門賞優勝馬。
・カスケードらしくない走りで5着。カスケードに異変が…?
③ジャパンカップは不参加。
・天皇賞馬トゥーカッター、菊花賞出走馬すべて、カスケードなどがすべて回避したため
・ニトロニクスが代表馬に。ニトロニクスは代表の意地を見せて勝利。
④有馬記念に向けて北海道でトレーニング
・モンゴルのツァビデルと再会。底力アップではなく、
効率よくポジションを確保するためのトレーニング。
⑤11戦めで有馬記念(中山・2500m)
・天皇賞勝者トゥーカッター(4歳)
・JC勝利馬ニトロニクス(3歳)
・菊花賞馬アマゴワクチン(3歳)
・ダービー馬ミドリマキバオー(3歳)
・昨年の有馬記念勝者ドラゴ(4歳)
・国内無敗の二冠馬カスケード(3歳)
・古馬はパラサイト、ペインキラーなどなど
みんなそれぞれの思いで打倒カスケードを目指してやってきた。
12巻
①有馬記念スタート
・序盤はペインキラー、ドラゴ、ニトロニクスが先頭、アマゴワクチンは4番手
・中盤でカスケードが初めて外回りに仕掛け、呼応するようにマキバオー、アマゴワクチンも先頭集団へ
・序盤のスローペースから圧倒的ハイペースに。先頭が入れ替わる。
・・カスケードが失速。マリー病を発症しており、ろくに調教もできなかったカスケードにはこのハイペースは厳しいか?
・しかし、カスケード再加速して先頭に。アマゴワクチンとニトロニクス、トゥーカッターが追いかける。
血だけじゃねえんだ!!俺たちターフで命を懸けている馬にしかわからねえものがあるんだよ!
・マキバオーは一度失速するもカスケードを追いかけて先頭集団に。
カスケードは僕らに道を残してくれたんだぞ。これから先の希望を見せてくれたんだ。それを夢で終わらせちゃダメなんだよ。誰かが継がなくちゃダメなんだよ!あいつは、その役目を渡しに来たんだ。
誰に渡しに来たと思ってるんだ!お前がそのバトンを受け取らない限り、あいつは走り続けなきゃならないんだ。
受け取ってやれ!決着をつけてやれ!これ以上あいつの顔を苦痛でゆがめさせるな!お前はあいつに唯一引き分けた馬なんだ!ケリをつけるのはお前の役目だ!
・ついにカスケードを抜き去り1位でゴールを切る。本調子でなかったカスケードだけでなく幻の「最強のカスケード」にも勝利し、完全にカスケードに引導を渡す。
見えないのか!?感じないのか!?
伝説はここにある!黒い風は吹いている!
これがカスケードだ!僕たちが命がけでおいかけてきたカスケードだ!まだ僕の前にはカスケードがいる!
お前を超えなきゃ勝ったことにはならないんだ!!
カスケードは6着。試合後に引退を表明。
カスケードは1月に東京競馬場で引退式。
最優秀3歳牡馬、年度代表馬はカスケードに。
そして、2歳牡馬にはブリッツの姿が……
カスケードから思いを引き継ぎ、いよいよ真の主役になったマキバオー
完膚なきまでにきれいに物語がたたまれており、このまま終わってもいいくらいだと思うのだけれど。
この後はブリッツとの対戦になっていくのかな・・・?