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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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たいようのマキバオーW(おまけ)|燃え尽きかけたヒノデマキバオーがモチベーションを取り戻すまでのつらい期間をどう乗り越えたかの部分

ストーリーあらすじとしては

「モチベーションが燃え尽きかけていたヒノデマキバオーは、モチベーションの源であるフィールとの約束を思い出し、それに賭けるために、フェブラリーSを国内引退レースと定めてすべてを出し尽くす覚悟をする。その後に凱旋門賞に挑戦することを誓う」だけで終わる部分なんですが、ここのやり取りは特別好きなので、独立してまとめておきます。



W13巻から続いていた長いスランプ。もっと言えばWの3巻でフィールが死んだ時から、ずっとずっとマキバオーの中でくすぶっていた気持ちとようやく折り合いをつけることができたのがこの15巻。

マキバオーだけでなく読者としてもかなりストレスがたまる展開でしたが、ようやく長いトンネルを抜けることに成功する。



ヒノデマキバオーのモチベーションは燃え尽きかけていた

モチベーションを高めるためだけに無茶苦茶なロデオ走法に手を出してみたりもした。

そんな時ファムファタールは引退を表明。一体なぜ?
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また、マキバオーは、モチベーションが消えつつあったのにそれでもやめようという気持ちは全くなかった。何かがマキバオーの中に残っていた。それはいったい何なのか・・・?

俺はやめられないにゃ。まだ……なんで?
アマゾンやバスターとの決着を・・・??俺は…何を…?

この15巻が今までで一番大事な部分だと思う。



モチベーションの維持は想像以上に難しい

「今からダートコースを奪取で3周走ってみろ」
「はあ!?なんでですか?無理ですよ!」
「じゃあ歩きでもいい…」
「え、それなら何とかできますけど。」
「なぜ歩いてならできるのにダッシュなど無理なんだ?」
「いや、できないことはないんですが・・・」
「走り切ったら100万円といわれたら?」
「やりますやります!」
「そんなもんさ。モチベーション次第でどうにでもなっちまう」

「簡単な事ならモチベーションなど必要としない。
 だが、つらくくるしいことをなすには強いモチベーションが必要だ。
 それでもまだ3周なんてゴールが明確にあるならいいさ。ゴールを設けずとりあえずいいというまで走れなどと言われたら?」

「もう絶対無理っす!それだと100万でmきついかもしれませんね」
「マキバオーは今、そういう状態で走っているのかもしれねえな」


やめるにやめられないのはかなりつらい

モチベーションってのは魂を燃やす燃料のようなもの。
どんなに強いモチベーションが有ろうと、燃やしたら燃やした分だけなくなっちまう。
あのアマゾンが海外挑戦から身を引いたのだって、力の減衰だけが理由ではあるまい。
打倒中央!打倒芝!打倒世界!
あれだけ激しく魂を燃やして戦ってきたんだ。消耗だって激しかろう

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「まだまだやれるのになぜあきらめる?」
魂を燃やす戦いなどしない外野は勝手な事をいうさ。
だが、もう世界と戦うだけの燃料はない。
しかしやめることもまたできない。
まだ国内最強だからな。むごいもんさ。

その点ファムなどは恵まれてるよ。スパっと辞められるんだからな。


ファムが晴れやかな顔で引退を決意した理由

そんなあっさりした競走馬生活じゃなかったわよ。

牝馬でありながらダービーに挑み、フィールにも挑み
グランプリホースとしてダートにも挑戦して、世界にも。

そのほとんどは思うような結果にならなかったけど。
成し遂げたとかやり遂げたとは言えないかもしれないけれど

やり切ったわ。他の誰が何とい老い宇都、私は私の競走馬人生を全うしたわ
わがままな私を理解して、そして自由を与えてくれた。私は幸せ者よ。
あなたも、そういう引退を迎えられるよう祈るわ。


あなたもフィールも、いい子ちゃん過ぎるのよ。
みんなの顔色を窺って。
たまにはわがまま言えばいいのよ。

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負けるとか失敗するとか、悔いってのはそういうことじゃないわ。
あなたは、あなたの競馬を、やり切って。
私はそう願っているわ。きっと、フィール先輩もね。



強い目標が持てないのであれば、「次のレースで勝てなかったら引退」「競走馬としてはこのレースまで」と決めて尻に火をつけるしかない

ゴールは近くてはっきりしている方がいい。
いいというまで走れというよりも5周の方が頑張れる。
何かを得ようとするなら、何かを失う覚悟も必要なんだ。

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一つのレースに賭けてみろ!
それができねえなら、のんびりと勝ったり負けたりの競馬を楽しめ。


くすぶっていたマキバオーもついに覚悟を決める

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ファムは思い残すことなんてないって笑ってた。
俺は考えた、俺は思い残すことが有るかって。

俺はでっかい思い残しがあった。
フィールとの約束、勝負するって約束を果たしてない。
世界で待ってるって約束したのに。

もうどうやってもかなわないのはわかってるけど。

フィールの夢を継ぐっていうのとはちょっと違ってて。

なんていうか、あそこで待ってるような。
フィールがまだ、あそこにいるような気がする。



目標を決めて、モチベーションの火が付いたら、目の前のことに集中する

今そこにある戦いだけを見ろ。
そこに見えるゴールを目指すんだ。

アマゾンとバスターは、お前のすべてを賭けなきゃ勝てやしねえぞ。

決着をつけろ、すべてに!



というわけで、ここまでの振り返り

3歳のレースですべてを出し尽くしたミドリマキバオーに対して、ヒノデマキバオーはスタートがまず遅かった。
JpnⅢの黒船賞ではじめて勝負らしい勝負をしたのがそもそも3歳。
黒船賞で一度勝負したがその後また地方巡業に戻り黒潮皐月賞ではまともに勝負すらできなかった。

3歳で黒潮ダービー(JpnⅢ)に挑戦してギリギリで勝つ程度だった。
そこから1年かけて九州遠征、そして盛岡ダービーグランプリに挑むも敗北した上屈腱炎発症。
復帰戦の東京大賞典でもまだまだ勝利は遠かった。

帝王賞でJpnⅠ初勝利を収めた時点ですでに4歳の後半になっていた。

それからも善戦はするも勝ちきれず、結局勝利は翌年の帝王賞まで持ち越し。 

ゴドルフィンマイルで金星を挙げたものの、その後も低迷。

日本の頂点に手が届かない段階ですでに6歳になっていた。

フィールやファムが世界に挑戦したのは3歳の時だったのに、マキバオーは6歳になってもまだ日本から脱出する子ことも困難。

BCクラシックで世界の壁を感じた後は
本人の中でも「自分にはここまでの熱意はない」「ここまでかな」という満足感やあきらめが芽生え始めていた。

それでも、彼自身の中にあるやり残しを片付けるためには、ここから無理にでも飛躍することが必要だった。

その目標の途方もなさから心がくじけそうになっていたが、退路を断つことで目標にチャレンジする決意を固めた。




3歳ですべてを燃やし尽くしたミドリマキバオーの物語と違って、
ヒノデマキバオーは戦い続けることの難しさと向き合う物語になっててとても興味深い。