「製作の仕事で一番大事なのは、最後まであきらめないことだ。
制作の仕事を雑用やしりぬぐいというのは上っ面だよ。製作が諦めたらその時点で現場は終了だ。
でも、製作がまだやれると言い続ける限り、現場は終わらない。
作ることについて最後まで周年を持ち続けるって意味では、
製作は誰よりクリエイターとしてしぶといと言えるな。」「製作が…クリエイター?」
「もちろん。作品にかかわるすべての人間が、立派なクリエイターなんだ」
アニメ1話が面白かったので、原作の方をサクッと読んでみたのだが、これはSHIROBAKO難民救済作品と言えるのではないだろうか
本作品、「SHIROBAKO」が好きだった人に強くお勧めしたい作品である。
SHIROBAKO劇場版以上に「SHIROBAKO2」と呼んでいい作品だと思う。
超ブラック企業のエロゲ製作会社で制作として働いていた主人公。
10年前に時をさかのぼって、芸大生としてやりなおす。
そこでは10年後に「プラチナ世代」としてコンテンツ業界の第一線で活躍していた
才能豊かな天才たちの若き頃の姿があって……というお話。
基本的には「SHIROBAKO」と同じような展開だが独自要素がしっかりしている。
主人公は、才能豊かな連中と組んで、「制作」という立場から彼らをサポートしていくことになる。
ただし、SHIROBAKOと同じことを繰り返しても意味がないので
主人公自身に「エロゲ製作会社での社会人経験」を付与している。
また、基本的にSHIROBAKOは、主人公宮森は新人で、
周りのベテランたちに接しながらいろんなことを学んでいくというお話になっているが
この作品では主人公とチームを組んでいるのは、天才とはいえ同級生である。
アニメ制作会社と違って商業的なノルマもない。
なので、対等の立場で良い作品を作るためにぶつかり合っていく。
類似の作品に「これだからアニメってやつは!」とか「アニメタ」とか「映像研には~」などがあるけれど
www.tyoshiki.com
やはり「製作」の立場が共通しているため共通点が多く、
時間さかのぼりという設定をうまく活用して、青春活劇にしてくれているのがとても良い。
なにより、作者さん自身がエロゲ会社(ねこねこソフト)で活躍した人物であるため
細かい描写やアイデアに思いがこもっていてとても好きだ。
可愛い絵柄ではあるけれど、中身もしっかりしてる「NEW GAME!」みたいなものだと思ってみるといいかも。
「私は、10年後の未来からタイムスリップしてきたんだ」
私は10年後、作品を作りもしないのに、世の作品の悪口ばかりでグータラしているダメ教授になっているんだ。
ある時、それに気づいて後悔するんだが、不思議な力で10年前に戻してもらう。
子供じみた暗示だが、意外と効くんだよ。少なくも後悔しないという覚悟を持って行動できる。
タイムパラドクスゴーストライター難民も救済してくれる作品になっている
このあたりは実際にそのシーンが来たらまた話をしたい。
すでにSHIROBAKOをみた私たちにとっては新鮮な作品ではないかもしれないけれど
ウェルメイドなお仕事アニメとしておすすめしたいところ。
原作小説3巻からは同人エロゲー製作もやるので、このあたりまでアニメでやってくれたらめっちゃうれしいけど無理かなぁ……。
ちなみに、この作品読んでたら「もう卵は殺さない」っていう短編集を思い出しました。
なんて事のない話なんだけど、なぜかすごく印象に残ってます。