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引き算としてのポリコレと足し算としてのポリコレ

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アメリカ作品の「マルチバース」系の作品はの作り方は正直全然知らないので何か言えることはないです。
向こうの感覚だと、一つ一つのパラレルにおいては、作者ごとに、キャラを根本から好きなようにいじくっていいのかな?
だとすれば、キャラクター同一性ってどうなってるんだろうね。 
日本で言えばゴルゴ13がお笑い芸人をやる世界線があってもいいみたいなもの? どこまで改変が許される?とかいろいろ気になるところです。

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私が知ってるのは「スパイダーバース」でいろんなスパイダーマンが出てきて驚いた、くらいです。

あれは「いろんなキャラクターが出ててポリコレだから面白かった」とはみじんも思ってなくて
「映像が凄くて見てるだけで面白い」という作品にいろんなキャラクターが出てた、というだけです。


ポリコレとは足し算としてのものと引き算としてのものがあると思ってます。さらにいえば、どちらかというと足し算ではなくて引き算寄りの考え方が強いのではないかと感じます

私がポリコレに興味を持ったのは「ベイマックス」がポリコレ的に望ましいと絶賛され、その時セットでワンピースがポリコレ的にアウトだと叩かれていたことに違和感を感じたのがきっかけです。

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①引き算としてのポリコレ
ポリコレというのは基本的には「見る人にとっては減点要素・批判要素・作品を楽しむのに邪魔になるものを」を省くということだと思っています。

つまり、どちらかというと足し算よりも引き算寄りの考え方だと思ってます。引き算の結果、余計な「臭み」が抜けて洗練されたものになっていれば面白い作品となりますし、逆に「臭み」が好きな人には物足りない作品ということになるのでしょう。

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この記事では「ポリコレと臭み抜きは別だ」と書いてますが、その後少し考えを改めまして「引き算としてのポリコレ」という考え方を採用するようになりました。



②足し算としてのポリコレ
今回話題になっているのは足し算としてのポリコレですね。「ポリコレに配慮して〇〇というキャラクターを出せば、作品に深みが増して面白くなるはずだ」という発想だと思います。


ただ、私は足し算として、つまり「プラス要素」としてこういう考え方が機能した!と感じる事例があたまの中で思いつきません。
具体的な成功例が思いつく人がいたら教えてください。



とはいえ、アメリカのドラマには自然な形でいろんな人種の人たちが登場しているため、「特別な事と感じさせない」ということ自体が凄いのかなと。
日本の作品、特にアニメは白人至上主義が強く、アジア系キャラはテンプレ的なキャラが多かったり黒人キャラはそもそも少ないです。
日本の場合、そもそもが国民の構成に多様性が乏しいので、アメリカの感覚とは違うというだけかもしれませんが。





ともあれ、すぐれた作品は、「わざわざ付け足した」ということを感じさせないものなのではないかと思います。

個人的には、足し算としてのポリコレは引き算よりもずっと難しいのかなと思っています。
ポリコレへの配慮を無理やり付け足すと、それはそれで別の臭みになると思っていて、最近の例でいうと「ラストオブアス2」や「ミステリと言う勿れ」がそんな感じだったかなと。

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結局のところ、面白いかどうかが何より大事なので、「キャラ改悪にならない」とか「世界観にそぐわないいキャラクターでない」ことが大事なのではないかと

繰り返しますが、今回の件、私はアメコミについて無知なので良しあしは全く判断できません。


ただ、この手の議論については「主人公クラスのいい役をよこせ」「マイノリティは格好よく描かなければ許さない」というのであれば、それは「作品」よりも「主義主張の方が大事」ということになるかなと。
その結果、面白くなくって売れなくてもそれは作者さんが優先順位を間違えたというだけの話だと思います。「プリコネだから売れる」「ポリコレだから売れない」という単純な二元論ではないはずです。



特に引き算の方はともかく足し算の方は難しいかなと。「ポリコレのため」というだけであれば「文句は言わないけど読む理由にはならない」で終わり。
そうじゃなくて作者が「いろんなキャラ試してみたい」「自分はこういうキャラが好き」「私の好きなキャラが自分の作中で活躍してるところを見たい!」という考えであってほしい。
それであればよい感じのキャラになるのではないかと。




余談:ポリコレは関係ないけど、後付け設定でキャラが崩壊した「EVE The Fatal Attraction」っていうゲームがありましてね……

ここからは「EVE burst error」を知ってる人だけに向けて書きます。





EVE The Fatal Attractionの「法条まりな」はキャラ設定の後付けによって、なんか完全別キャラみたいになってしまいました……。



EVE burst errorやZEROの時点ではそんな設定はなかったはずですが、EVE The Fatal Attractionにおいて、法条まりなは「ブラックマーケットの主だった父の後を引き継いで、麻薬密売などを行う組織のリーダーになった」という設定が後付けされます。


The Fatal Attractionで追加された北条まりなの設定

・まりなの母親は法条智佳子。陸幕二部のエージェントだった。
・まりなの父親は内閣調査室の情報官であり、甲野の上司だった。


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・まりなの母親は、まりなが小学校の時に自分の目の前で銃で蜂の巣にされて殺された。


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・まりなの母親を殺したのは、麻薬組織とつながりのあった父親だった。
・まりなの父親は、母をソビエトに売った代わりに麻薬組織とのコネクションを手に入れた。
・まりなは母親を目の前で殺されたトラウマに苦しみ、覚せい剤に手を出していた。その薬は父親が与えていたものだった。
・まりなは高校生の時から父親のビジネスを手伝うようになった。
・まりなはその後、父が母を殺したことを知り、自らの手で父親を殺した。
・まりなは父親を殺す際に、その場にいた人間も皆殺しにし、父の築いた麻薬組織を引き継いだ。

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・まりなは麻薬組織を牛耳る者として世界各国の要人とコネクションを持つようになった。
・まりなは何を思ったか、まっとうな手段で日本の国家公務員試験を受け、コネを使わず1兵卒として公安で働き始める。
・まりなの両親を知る甲野が、彼女に首輪をつける目的で彼女をスカウトすることになった。


マジかよって思うかもしれませんがマジです。


EVE ZEROやEVE burst errorの彼女を知る人からしたら「誰だこいつ?」ってなるくらい様変わりしています。



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結局、この設定はなかったことになりました。めちゃくちゃ不評だったからです。

私はこの「ダークな北条まりな」、めちゃくちゃ好きなんですけどね……。原作ファンにはほとんど受け入れられなかった……。

反動なのかわかりませんが、別のマルチバースである「EVE new generation」のまりなはクソザコナメクジになってしまい、それがEVEシリーズのとどめになりました。
EVEの場合は、この時の悲劇のせいで、シリーズそのものが頓挫してしまいました。
「EVE Rebirth Terror」が出るまで、TFAからは18年、new generationからみても13年という長い期間、シリーズが凍結される憂き目にあいました。
累計20万本以上の売り上げを誇ると言われた(1998年の決算報告では売上が10億円)Eve burst errorのシリーズがこんな目に合うとは当時は全く思ってなかったよ……


この事例で何が言いたいかというと、
ポリコレであろうがなかろうが、後付け設定やキャラ設定の改変はものすごい反発を受けるのは当たり前だということです。


それと比べると、マルチバースが前提になっているアメリカの作品は、どんな人気キャラであろうとも、改変しまくりがオッケーっていうの凄い面白いなと。


EVE Rebirth Terrorは本当に面白いからみんなプレイして!