お気に入り度★★★(お薦め度★★★★)
「君はあの時何を手にした?」
「自分の世界を」
「何を見つけた?」
「自分自身をあらわすすべを」
「それを誰に表したい?」「誰と表していきたい?」世界や全人類ではない。
もっと小さな誰かに対して自分のことを表現したい。
誰かの隣で自分を表現していきたい。
そう思っているのか。
頭にわだかまっていたものが、急速に晴れていく「君にかけているものは何だい?」
「●●だ」
「俺は●●を必要としている。
自分自身を表すその場に、●●にいてほしいと思っている」
一通り早送りでグランドルートまでクリアしました。その上で二周目やり直してるところです。
先に言うと、このゲームの「面白い部分」はすべてグランドルートに詰まってます。
前作同様、笑いあり熱血ありバトルあり、そういう展開は本作でもきちんと健在です。
個別ルートはつらい話が続きますが、ちゃんとグランドルートまでプレイしたらすっごい面白い展開になるので、みんな信じて最後までプレイしましょう。
個人的には「ぬきたし」の正統進化版だと思っています。
というか、「ぬきたし」の青藍島は本作でもかなり重要な要素としてちゃんと関わってきます。
「ぬきたし」が好きだった人は続編として楽しめる作品なので、そういう意味でもぜひプレイしてみてほしい!
共通ルートではクールで万能なツンデレだったノアが、いきなりポンコツになってしまう展開にびっくり(笑)
共通ルートでもまあお姉ちゃんのこと好きなんだろうなってのはなんとなくわかるくらいの描写はあったんですが
基本的にはクールで万能キャラだと思うじゃないですか……
個別ルートに入った瞬間に、いままでのクールさが嘘のようにポンコツになります(´;ω;`)
正確に言うと、実際のノアは共通ルートの印象以上に優秀で、とある要素だけ共通ルートの印象以上にポンコツでした。
完全にポンコツになってしまった彼女を立て直せるかがこの作品のキモになります。
「紅林ノア」ルートは、ソフィーヤシナリオでもある
乱暴にまとめると、本作品のノアルートは藤本タツキの「妹の姉」を数倍えげつなくしたような感じのシナリオでした。
妹のノアは超天才なのだが、姉のソフィーヤのことを崇拝レベルで愛しており、
姉のことは全肯定、なんでも姉と同じことをしたがる。そして、姉は自分より優れたことができて当然だと思っている。
でも、ソフィーヤは天才のプレッシャーに耐え切れずに妹を疎ましく思っている。
そんなねじれたから生まれた悲劇をえがいた居ます。文学少女の5巻も思い出しますね。
妹が憎くなって殺しそうになったので、逃げるように学校をやめて刑務所で務めるようになった。
さらに、ソフィーヤは不幸なことに刑務官としても挫折を味わい続けた。
「囚人は更生しないクズだ」「更生しても囚人に救いなどない」という考えを基盤に持つようになった。
「もはや自分が自由になるためには妹を殺すしかない」とまで思い詰めている姉と自分が姉に嫌われているなど思いもせずずっと姉を慕いストーキングし続ける妹。もはや修復不能なレベルまでねじれてしまった関係を、どうやって解きほぐしていくのかが本ルートの見どころの一つとなります。
しかし、姉妹の関係とは別に「チューリッププリズン」の看守側の権力争いや、主人公の「表現の自由」が誰かを傷つけることの話なんかも描かれます
誰にも危害を加えてないとお前らは被害者面して口をそろえる!
よくもそんなことが言えたな!
何の罪もない人に消えない恐怖を植え付けておいて!
その過程で、「このプリズンは何かがおかしい。ただの矯正施設ではありえない」と不穏な空気を漂わせ始めるが……。
受刑者たちは異常性を競い合い、格付けをする。異常であることを主張しないと、塀の中では舐められる。外とは全く別の価値観だ。これでは、更生どころか異常性をエスカレートさせるんじゃないかと
こんな感じで、この作品の導入ルートとして、非常によくできていると思います。
このあたりからは実際にプレイして確かめてみてください。
ヘンタイ・プリズン