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ADHDに処方される薬「コンサータ」「ストラテラ」「インチュニブ」の違いについて

この間知り合いの人との間でちょっとインチュニブのことが話題になりました。

www.kegg.jp

インチュニブは、コンサータ、ストラテラに続く日本では3つ目のADHD(注意欠陥多動性障害)のお薬です。2017年3月に認可され、6歳以上18歳未満への処方が認められました。先行する薬の例からも今後成人への処方が認められる可能性もあります。※2019年6月追記 18歳以上への処方も認められました。

ADHDの症状に対して処方される薬は3種類あり、それぞれ全く作用機序も効果も違うので、違いについてはちゃんと理解しておきましょう。

この記事がとてもわかりやすく整理されていてお勧めです。
www.kaien-lab.com

薬について語る時は、自分の体験を語る人と、作用機序を語る人がいて、できれば両方を把握しておいた方がいいです。

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https://www.kaien-lab.com/faq/1-faq-developmental-disorders/intuniv/

まず、交感神経と副交感神経の機能について大雑把理に理解しておきましょう。

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https://nagoya.heart-center.or.jp/div04_7_archive/div04_7_170401.html
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https://nagoya.heart-center.or.jp/div04_7_archive/div04_7_170401.html

雑過ぎると怒られそうですが、ざっくりいうと躁状態の時は交感神経過敏、鬱状態の時は副交感神経が過敏です。


上の図を見てもらえばわかるように、すべてタイプが異なります。当然効き方も適した症状も違います。

コンサータは全体底上げ

よくADHDと言われると今まではコンサータばかりが取り上げられてきました。

コンサータははっきりと効く感触があるからです。

コンサータはかつてADHDにも処方されていたリタリンと同じメチルフェニデート塩酸塩の徐放(薬物を徐々に放出するように工夫を施した薬剤)錠で、中枢刺激薬です。ADHDの不注意、多動、衝動性の全ての特性に効果が期待され、3つの中では服用後すぐに効き、効果も最も強いと言われています。一方で精神的依存のリスクや耐性、睡眠障害や食欲不振といった副作用もあります。

ストラテラは中枢刺激薬ではありません。コンサータが脳神経のシナプス間のドーパミン濃度を主に高めるのに対し、こちらはアトモキセチン再取込阻害剤(選択的ノルアドレナリン再取込阻害薬)で主にノルアドレナリンの濃度を高めます。依存性や耐性はないと言われています。不注意、多動、衝動性の全ての特性を改善しますが、効果が得られるまで数週間を要し、その後もコンサータほどくっきりとした効果は感じられない方が多いようです。


私が今まで読んできた本でもだいたいの体験談はコンサータを服用して良くなった!みたいな意見が多いです。

なので、とりあえずコンサータ!っていう人が多いんですが私はコンサータはノーリスクではないと思ってます。

コンサータはリタリンと同じ向精神薬・中枢刺激剤なんですよね。「医薬品である覚せい剤原料」です。

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https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000771395.pdf

ちゃんと用量を守らないと効きすぎて依存するようになります。
そうでなくても効果持続時間が短くて、薬効が切れた時の落ち込みがエグイので、かなり気を付けないと副作用で精神やられます。

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https://www.kaien-lab.com/faq/1-faq-developmental-disorders/intuniv/

服用に対しての制限も大きく、なかなか認可されなかったのはそれなりに理由があるんですね。実際にコンサータと似た作用機序を持つリタリンは、「適正でない使用の現状」「うつ病に関する本剤の情報が少ないこと」および「うつ病の治療は SSRI など他の抗うつ剤が充実してきていること」から処方禁止となりました。


ストラテラは「交感神経が過敏な状態を抑える」という効果がメイン

この点、ストラテラはノルアドレナリン再取り込み阻害薬であり、神経をわかりやすく刺激するようなものではありません。
ノルアドレナリンは交感神経を活性化させ、血圧を上げる作用がありますから、その効果を弱めるということですね。

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http://www.med.u-toyama.ac.jp/anesth/text/Case%2071.pdf

これはピンポイントで使わないといけない薬です。

交感神経が元々低位状態の時に何も考えずにストラテラを服用するとますます交感神経が弱くなり、疑似的な鬱状態を作り出します。
この時の気分の落ち込みで希死念慮が生じることもあるというのは聞いたことがあると思います。

使いどころが難しい上にコンサータのようにわかりやすい効果はない代わりに、身体面での依存症などはないとされ
何より身体がズタボロの人にはコンサータが使えないので、不健康な人や高齢者になるほどこちらが用いられるという傾向がありました。

同じADHDの薬なのに、コンサータとストラテラは自律神経をめぐって真逆に近い効能だということがわかると思います。



インチュニブは、「頭がすっきりする効果がある」のと、「キレやすい人をおちつかせる」効果がある。

インチュニブは後シナプス(情報伝達物質を受け取る側:受信側)のα2Aアドレナリン受容体に結合することでイオンチャネルを閉じて情報伝達物質の漏れを防ぎます。こうすることで脳内での情報伝達効率を高め、機能不全を起こしている脳の状態をよい方向に調整します。 もともとインチュニブの主要素であるグアンファシンは高血圧の薬です。交感神経の働きを抑えて神経の緊張を取り去る働きもあります。こうした特性から、ADHDとチックや反抗挑戦障害を併発していたり、衝動性の問題が目立つ人には特に効果が期待されています。

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https://www.kaien-lab.com/faq/1-faq-developmental-disorders/intuniv/

3つのADHD薬をいずれも処方する医師にお話を聞いた所「インチュニブは鎮静効果がある。でも不注意には効かないようだ。」とおっしゃっていました。

ちなみに、作用機序を考えれば薬効はジワジワでてくるものなので、根気強く使う必要があります。もし、飲んですぐに効果が出たとかぬかすやつがいたらそれはただのプラセボの可能性があります。