トレパク冤罪の話を見て、ふと10数年前に描いた自分の漫画を思い出しました。
— 新井理恵 (@arairie_manga) 2022年4月28日
人気も知名度もある人がそうでもない人(言い方がアレですみません)を謎に陥れようとする現象、昭和の時代からいまだにあるんですねえ…。
(『机上意思マスター』より)1/4 pic.twitter.com/UfRZ7hQXJ4
5〜6ページで済むかと思ったら思いのほか長かった…。 2/4 pic.twitter.com/32XOeEjFTQ
— 新井理恵 (@arairie_manga) 2022年4月28日
ちなみにこの漫画は別に同人作家物語というワケではなく、たまたまこの回の一部分がこんなカンジだっただけです。 3/4 pic.twitter.com/6jElj2h6kT
— 新井理恵 (@arairie_manga) 2022年4月28日
長々と失礼いたしました。
— 新井理恵 (@arairie_manga) 2022年4月28日
ひとつだけ言える事は「現実はこんなモンじゃない(くらい面倒臭い)」です。笑 4/4 pic.twitter.com/B1zLxGuK6e
新井理恵先生がこれを自分から語るってるのめっちゃ面白いんですが……。
本作「机上意志マスター」はむしろ今読むとすごく面白い作品になっています。
連ツイの途中で描かれているように本作のメインは同人作家ものではなく「アダルトチルドレン」のお話です。
主人公は二人兄妹で、兄は幼いころ神童と呼ばれてちやほやされていました。母親はそんな兄を溺愛し、妹である主人公のことをネグレクトし、兄に奉仕してする奴隷しての役割だけを与えていました。
そんな主人公にとって、唯一の楽しみは絵を描くことで、小学生のころからマンガを描いていました。上の連ツイにあるように小学生のころから同人誌を出してすでに300部売れるような実力だったのですが、これも親にネグレクトされてお小遣いが一切もらえないから同人マンガを描く費用のためだったのかもしれません。
その後兄は途中で挫折し、引きこもりになってしまいます。親はその現実に向き合えず、主人公に引きこもりの兄を介護するよう命じた後家を離れていきます。主人公は引きこもりの兄とふたり置き去りにされてしまいます。*1
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んで、長年の親の虐待で自尊心が削れまくった主人公は、親から解放されたあとやけばちになったのかいろんな男と交際し、その男たちがひたすらにクズ男ばっかりだったのでますます男嫌いになります。マンガ中には今でいうところの「ミサンドリ」あふれる発言が次々と飛び出してきてなかなか面白い。
現実の男に絶望した主人公は腐女子として二次元の男を愛す日々を送っておりました。そんなある日、唐突に拾った魔法のペンで自分が好きなキャラを描いたところ、そのマンガのキャラが現実に登場し……というような展開です。
ちなみに冒頭からこれで始まるのでかなり笑いました。
これめっちゃうなづくところ。男性でも同じです。
「たわわ」論争の時にも思ったけど、二次元の描写を指して「あいつらオタクはこんなことをリアルの女性に求めてるんだー」論者の人はこれ100回朗読してほしいですね。
もう一個例出しておきますか。
このように、二次元のキャラで得られる滋養は二次元のキャラからしか得られないんですよまじで。それ現実で求めてないの。なので「たわわのJKを見て元気になる」→「現実の女子高生の巨乳を見ることを肯定する」っていう論理はその時点で全く的外れもいいところです。その理論で行くとTLは即取締対象ですよね。
そんなことを真顔で考えてるのはオタク側では青二才大先生くらいだと思いますけど彼はアホなので許してあげてください。(彼は二次元の供給が得られなくなった男は三次元にちょっかいを出すかもよ、という頭の悪すぎる仮説を提唱しており、オタクとして底辺のカスと言わざるを得ない)
とにかく序盤は主人公のミサンドリ発言と、男側からのカウンター発言のやり取りがえぐい。
ツイフェミとアンチフェミでもここまで生生しいやり取りはしないゾ、、、
ひたすらこの調子で殴り合ってます。
後半は連ツイにあるような「親にとことん甘やかされたクソ同人女」にまとわりつかれる展開に
このクソ同人女ですが、作品の設定を踏まえると「自分の自尊心を削る原因になった兄」の男女ミラーリング的存在なんですね。自分が愛されて当然、なんでも自分の思い通りになるのが当然と思っており、その通りにならないとキレ散らかすわがまま女。
あることないこと捏造したり大げさに痛がって周りからチヤホヤされたがるムーブは今のツイフェミやアンチフェミの醜い争いに通じるところありますね。さらにこの女には弟がいて、主人公以外にも身内や周辺の女をひたすらくいものにしている様子が描かれます。
なので、この女との対決は彼女にとって重要な意味があるわけですね。
最終的にはしっかりお仕置きするので、連ツイみて胸糞悪いと思った人は安心して本編を読んでみよう。
最終的には毒親が出てきてひと悶着
全体的に重たいテーマを扱っているのですが、さすが新井先生とうか良い意味で「いい加減」に描いているので、どれも深刻になりすぎない塩梅で読めます。最後の解決策もよい意味て「なあなあ」に終わらせています。とらドラ!みたいにガチでやるとしんどいですからね……。
まじめに主人公の設定を受け止めるとしんどすぎる作品ですが、こういう話題をこういう風に語ってもいいんだ……っていうユルい雰囲気が素晴らしいので、毎日正義ごっことかに明け暮れててちょっとでも傷つくと爪がヒビ割れたり目が潰れたりするような本作の同人クソ女と同じような仕草がやめられない人にこそ読んでほしいですね。
*1:フィクションですがこれ普通に保護責任者遺棄罪(刑法218条)のような気がする