先生に相談すると、「それは斉藤くんに理由があるのかもしれないね。だから、みんなはひと言ずつ斉藤くんの悪いところを言っていこう」と言った。
児童30人が一列になり、全員に悪口を言われた。半分以上の児童が「死ね」。先生はぼーっと見ていて、時には笑っている。
この記事で、斎藤さんはいじめてきた人間の名前を出さなかったけど別のケースでいじめられてた側が「いじめてきた人間の名前を言い逃れのできない形で表に出したとき、いじめていた側がどういう反応をするか」を描いているのがこの作品です。
いわゆるスカッジャパンみたいなマンガですが、スカッとする展開が来る前の3巻まではひたすらに胸糞悪い展開が続きます。自分が悪いところを自分で言わされるシーンすらあります。
苦手な人は先に4巻から読むことをお勧め。
いじめがあったとき、学校を去るべきは被害者ではなく加害者であるべきなんだ。
この作品の見どころは、いじめが露見したあとのいじめっ子たちの反応の違い
この作品では一人の女の子が、主犯の女の子を中心に4人がかりでひどいいじめを受ける。
その際、いじめの主犯の子はわかりやすい。
許されることではないが、それなりにいじめられている子を恨む理由はあった。
また、なんとなくではなく、ちゃんと自分が悪いことをしている自覚もある。
それよりも興味深いのは、もともとはいじめられている子と仲良しだった子の方。
いじめられっ子と友達だったのに、ちょっとした不満を表に出せず
そのうっぷんを晴らすため率先していじめ側に参加する。
しかも、主犯の子と違ってこの子は自分が悪いことをしている感覚が全くない。
そのため、自分がいじめをやってたことを暴露されると狼狽状態に陥り
急に被害者の立場で常識的なことを言っていじめられっ子側を責め出す。
いじめられていた側は、自分の友達だったはずの子が自分を裏でいじめる側に回っていたこともショックだったのに、その子が「急にまともなことを言い出す」ことが全く理解できなくて戸惑ってしまう。
このあたりのやり取りが一番面白かった。そういう意味でも4巻と5巻がおすすめです。
そのあとの本筋部分で、主人公が復讐をやるところは、主人公が有能すぎ&いじめっ子側が弱すぎてあんまり盛り上がらなかったです。
こういう話になると直接の復讐はよくないことであり、幸せになることが復讐だというが、たいていの場合、いじめた側が幸せになっていることのほうが多い
証拠をしっかりそろえていじめを告発することに成功すれば少なくともいじめは止まるかもしれないが、それでもいじめた人間が反省することはまずない。
じゃけん、本作品でも「復讐しましょうね~」という展開になる。
本作品はスカッとジャパン系マンガなので、きちんと復讐を完遂させ、いじめっ子を全員地獄に叩き落して、自分たちは生き残るという展開になります。
ただ、大人になった後のいじめっ子たちは、この作品で描かれてるほど阿呆ではないケースが多いと思われます。この漫画で描かれているようなボロは出しませんし、すぐに弁護士が出てきてその後ろ側に隠れるでしょう。世の中そんなもんです。
斎藤さんのようにいじめられっ子側がいじめっ子側の生殺与奪の権を奪えることはまずありえない。だからこそ、みんな斎藤さんと一体化したがるんだろうな。でもそういう精神性である限りはまず斎藤さんの陽にはなれないんだろうな。なんだか切ない気持ちになりますね。