前々から好きで何度も紹介してる「Shirink!」というマンガがあります。
この作品は、精神科医をテーマとしているのですが医師目線から患者を語るのではなく、「患者さん」の視点から患者を語ってくれるところが特徴的です。
登場人物たちが、上手くいってたところから、徐々に悪化していく過程を丁寧に描き、「何に困っているか」を明らかにします。そして、病気を治すというよりも「困っていることや苦しみ」にフォーカスしてそれをやわらげたり取り除くというアプローチをとります。「病気を治す」というより「困ってる人が楽になっていく」様子が描かれます。なので、精神科医にかかるほど深刻な状態でない人でも、日々悩みがある人にはいろんなヒントが得られる内容になってます。
今週のグランドジャンプでは「コロナを契機に今までのコミュニティを失った結果、疑似科学に引っかかったり、他人に攻撃的になってしまう人」が描かれています
今回の主役は小学生の娘がいるお母さんです。
コロナになる前は、大変だけど時々癒しがある生活を送っていましたが、コロナをきっかけに不安を抱えるようになります。コロナのせいで友達と会って精神をリフレッシュする機会を持つこともできなくなり、ちょっとずつ余裕を失っていきます。
そして、プレッシャーに耐えきれず、怪しげな医療情報に飛びついたり、過剰に清潔さにこだわるようになり、自分と同じくらい真剣にコロナ対策をしてない人たちを攻撃するようになります。 家族にもそれを押し付けるせいでだんだんと嫌がられるようになり、孤独な状態になってますます追い詰められていく。
強迫性障害や鬱などいろんな症状を併発した彼女は、外から見ても明らかにおかしな状態になっていたため、心配した夫から精神科医をすすめられることになってしまいました。
この漫画では、最初「強迫神経症」を改善するためのエクササイズが紹介されます。しかし、このエクササイズはなかなか効果が出るものではありませんでした。彼女は薬を飲むのをやめて、エクササイズもやめた結果、ますます症状が悪化してしまいます。
私もコロナの時、かなり追い詰められてたので、当時の記憶が刺激されてきついってなりましたね……。
結果としては、とても悩んでた彼女が「このままではいけない」と意識を切り替え、すこしずつ恢復していく様子が描かれます。
「他人のことを気にしすぎて鬱になるくらいなら、(他人に迷惑にならない範囲で)少しくらい自分勝手でもいい」
まじめすぎるゆえに苦しみ、余裕を失ったり心の安寧を求めて普段だったら絶対にはまらないような落とし穴にはまることは誰にでもあることです。実際、反ワクの人たちとか、すっごい馬鹿だなと思うんですけど一方でやたらとクソまじめな人が多いんですよね。妙に人とつながりたがるのも特徴。
こういう人たち、コロナさえなければ善良な人たちだったかもしれないんですよね……。そして、コロナがあってももう少し不真面目だったらそこまでのめりこんでハマることもなかったかもしれない。
「しんどい時に無理をして頑張っちゃうようなまじめな人」ほどドツボにはまるんです。
そうならないように「自分が本当にきついときは、他人よりもまず自分を第一にする」「自分がボロボロの状態で他人を助けようとするのはダメ」「自分が何とかしなけりゃだけだとつぶれちゃうので、他人に助けを求めることも時には必要」などなど、普段何気なくできていたことの大切さを、改めてわかりやすく表現してくれている回でとてもよかったです。
やっぱり私この漫画好きだなあ。
改めて単行本が出たらnoteの方でもう一度取り上げたいなと思いました。