「フリーレン。お前を殺すものがいるとすれば、それは魔王か、人間の魔法使いだ」
「楽しみだね。ゼーリエ。この先たくさんの魔法使いといろいろな魔法が見られるんだね」
今までなんとなく「特に読みたいと思わされる何かがない」という理由で読まなかったけど
アニメ化するっていうのでとりあえずで読み始めたら最新刊までスルスルっと読めてしまった。
こんなに読んでてストレスがない作品も珍しいと思う
本作はいわゆる中世ファンタジーみたいな世界観だが、この物語世界では
「魔王を倒す」みたいな目標はすでにヒンメルたち勇者によって達成されている。
主人公であるフリーレンたちの目標は
30年以上前に達成された勇者たちの道筋を再び歩んでその過程でヒンメルたちとの思い出を振り返ることだ。
道中でそれなりにいざこざはあるしその過程で死者もであるが
主人公であるフリーレンは非常に強いので特にヒヤヒヤさせられることもない。
どっちかというとフリーレンとともに弟子や仲間たちとの成長を見守る師匠の視点を味わえる。
まるでゴルディロックス相場のような「ちょうどいい」温度感がキープされてて職人芸を感じる。
過熱もせず冷え込みもしない、適度な状況にある相場のこと。適温相場ともいう。英国の童話「ゴルディロックスと3匹のくま」に登場する少女ゴルディロックス(Goldilocks)がくまの家で飲んだ熱すぎず冷たすぎない、ちょうど良い温かさのスープにちなむ。
「小説家になろう」的なヌルゲー的な要素がありつつも、
1話1話しっかり起承転結のあるエピソードが展開されている。ものすごくよくできてる作品だなと思う。
この作品おすすめポイントって何だろう?
ただ、この作品、他人におすすめしたいかというとうーん・・・ってなる。
クオリティは一級品なんだけどまんべんなくよい作品なので何を紹介していいのやら、となる。
「人間とは時間軸のとらえ方が違うエルフ」という要素はそれほど重要ではなく
どちらかというとヒンメルがフリーレンに与えた影響が
フリーレンを通してジワジワと広がってく「多層的」な感じが好きなんだよね。
このあたりも6巻に非常にわかりやすく描かれてる。
とにかくものすごく丁寧で親切なつくりなので、読んで損は絶対しない作品です。
ものすごく人気がある理由がよくわかりました。
8巻くらいからは「人間」の話になってくるね
私たちは人間だ。生きられる時間は限られている。
いつかなんて時は、私たちの人生には存在しない。
私たちにはもう今しかないんだよ。
(中略)
きっとデンケンは見せてくれるよ。
私なんかには到底できないような、力強く美しい最後の悪あがきを